水・牛乳・野菜などの安全性について

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 収束後(つまり、新たな放射性物質は原発から放散されなくなった後)には、地面などに堆積された放射性物質や空気中に再び浮遊した放射性物質からの体外被曝よりも、どちらかと言うと、水や牛乳や野菜などを介して体内に取り込まれた放射性物質からの放射線を内臓が浴びる体内被曝の方が懸念されます。
 今日現在は、収束前ですから、原発至近距離の人は体外被曝、原発から少し離れた距離の人は体内被曝が懸念材料となります。前回は、体外被曝について主にコメントしましたが、今回は体内被曝について解説します。
 
チェルノブイリ原発事故では、汚染された区域で多くの子供が甲状腺に異常を呈しました。これは汚染された地区では、放射性物質が付着した牧草を牛が食べ続けた結果、牛乳を介して子供の体内に放射性物質が大量に取り込まれたからでした。このように、放射性物質が体内に取り込まれて留まり、内臓に放射線を放射することを体内被曝と言います。

体内被曝の原因

 
体内被曝の原因となるのは、体内に取り込まれる、空気・水・牛乳・野菜・穀物・肉・魚などです。それらの媒介物質に含まれる放射性物質の種類と量によって、媒介物質の放射能の強さが決まります。放射能が強い物質からは強い放射線が放射されて被害をもたらします。放射能が弱い物質からは弱い放射能しか放射されず、被害はもたらされません。原発の事故が無くても、通常の食品から年間に0.3ミリシーベルト程度の体内被曝を受けているとされています。体内に放射性物質が少々取り込まれたからと言って驚くことではありません。
 
物質の放射能の強さは、ベクレルという単位で表現されます。

1ベクレル:固体や気体に放射能が含まれる量を表す単位で、1秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量が1ベクレル。 以前はベクレルではなくキューリーという単位が
使われた。1gのラジウム226の放射能の量は364億ベクレル。
1ベクレル=370億キューリー
1ベクレル/㎥:固体や液体や気体に含まれる放射能の濃度を表す単位で、1㎥当たり1ベクレルの放射能が含まれるのが1ベクレル/㎥。
1ベクレル/kg:固体や液体や気体に含まれる放射能の濃度を表す単位で、1kg当たり1ベクレルの放射能が含まれるのが1ベクレル/㎥。

例)水が10kg(=10リットル)あるとして、含まれる放射能の量(あるいは強さ)が50ベクレルの場合、放射能の濃度は5ベクレル/kg。この濃度の水30kg(=30リットル)の放射能の量(あるいは強さ)は150ベクレル

ベクレル/kgという形で使われるケースがもっとも多いでしょうが、ベクレル/k㎡などという単位もその内、出てくるでしょうから、混乱しないでください。原発事故が収束した後、その土地がどの程度放射能汚染されたかを表現する時には、ベクレル/k㎡という単位がよく使われます。これは1平方キロメートルの広さ当たりに蓄積された放射性物質の放射能の強さを意味します。この数字が大きいと、永住はできない……などの指標となります。原発事故が収束してから、暫く経ってからの話ですが。

 ほうれん草の話に戻ります。3月19日に茨城県で検出された最高値は放射性ヨウ素については15,000ベクレル/kgでした。つまり、このほうれん草を1kg食べると15,000ベクレルの放射性ヨウ素を体内に取り込むという意味です。一方、暫定基準値の2000ベクレル/kgは、この強さのほうれん草を一生食べ続けると放射線被曝障害が出る可能性が有る・・・という基準で設定されています。
15,000ベクレル/kgは基準の7.5倍です。仮に一生を75年とすると、このほうれん草を10年食べ続けると放射線被曝障害が出る可能性が有る……という計算になります。ですから、こういう放射能の強さが長期間続くとすれば、食べることも出荷することも控えた方が良さそうです。ただし、放射性ヨウ素は半減期が8.0日(ヨウ素131の場合)と短く、80日もすれば無害化しますから、こういう放射能の強さが続くとは考えにくい。つまり、神経質になるほどの値ではなさそうです。むしろセシウムの方が半減期が30年(セシウム137の場合)と長いので、気になります。検出されたセシウムの最高値は約500ベクレル/kgで、暫定基準値200ベクレル/kgの2.5倍です。仮に一生を75年とすると、この放射能レベルのほうれん草を30年食べ続けると放射線被曝障害が出る可能性が有る・・・という計算になります。ですから、こういう放射能の強さが長く続くとすれば、食べることも出荷することも控えた方が良さそうです。しかし、神経質になるほどの値ではありません。
 福島で検出された牛乳の値は放射性ヨウ素の場合は約15,000ベクレル/kgで、暫定基準値300ベクレル/kgの50倍でした。仮に一生を75年とすると、この放射能レベルの牛乳を1.5年飲み続けると放射線被曝障害が出る可能性が有る・・・という計算になります。ですから、こういう放射能の強さが長く続くとすれば、食べることも出荷することも控えた方が良さそうです。しかし、ほうれん草の場合と同じように、ヨウ素は速やかに放射性を失いますので、こういう放射能レベルが長く続くとは考えられません。やはり、気になるのはセシウムの方です。福島県で検出された牛乳のセシウムの放射能レベルは18.4ベクレル/kgで、暫定基準値200ベクレル/kgの10分の1以下ですから、問題は無さそうです。

 いずれにしても、今現在は、放射性物質が原発から強く放出され続けている状態です。原発から近い所で、あるいはやや離れた風下で、この程度の放射能レベルが検出されるのは想定の範囲内です。脅えるような数字ではありません。茨城県の人や栃木県の人が慌てて退去するような数字ではないと思います。言わずもがなのことですが、退去する人には夫々の事情が有って、心は残して体だけを一時的に移したのでしょうから、退去した人とも心を一つにして立ち向かいたいものです。

 原発事故はやがて収束し(つまり原発からの放射性物質の飛散が止まり)、放射能汚染がほぼ安定し、そして徐々に拡大します。ほぼ安定した時点(1カ月後くらい)での放射能汚染レベルの分布が正確に測定されて発表されますから、その数字に基づいて方針を定めればいいと思います。
 

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