マンガサロン『トリガー』で「仕事を頑張れるマンガ」をオススメしてもらってきた。

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看板

マンガは日本を代表する文化だ。そして渋谷は日本を代表する文化の発信地である。

去る6月17日、渋谷に新たなマンガの聖地が誕生した。全てのマンガ好きに運命の一冊との出会いを提供するマンガサロン『トリガー』。そこでしか体験できない、“マンガコンシェルジュ”サービスの模様をお伝えしよう。

“マンガサロン”とは、飲食とマンガを楽しめる”高級なマンガ喫茶”である。

トリガー全体

マンガサロン『トリガー』はJR渋谷駅新南口から徒歩で約5分に位置する。新南口といえば「間違えて降りたら何もない出口で困る」なんてボヤきも聞かれるが、今はもうマンガの新聖地があるのだから何の心配も要るまい。

新南口を出て真っ直ぐ突き当たった歩道橋からに曲がればほどなくして、1Fに中華料理屋のあるビルが見えてくる。そのビルの4Fがマンガサロン『トリガー』だ。エレベーターの扉が開いたとたんに拡がるシックな空間。ここでドリンクと軽食を楽しみながら、じっくりとマンガを読むことができる。通常の営業時間は17:00~24:00で年中無休だ。

“マンガコンシェルジュ”に「読みたいマンガ」をオーダーしよう!

『トリガー』では”マンガコンシェルジュ”が
4000タイトル12000冊の中からマンガを選んでレコメンドしてくれる。

『トリガー』にはマンガに精通した“コンシェルジュ”が常駐している。店長の永田希さん、副店長の兎来栄寿さんは両人とも年間1000冊以上の読書量を誇るマンガ読みのスペシャリストだ。安心して、どんなマンガを読みたいか伝えよう。オーダーは具体的なジャンルの指定でも、抽象的なお題でもOKとのこと。

このごろ仕事の徹夜や会社での連泊が続いて疲れ果てていた筆者はゲーム業界人であることも告げて、「仕事を頑張れるマンガ」をオーダーした。

待つこと数分
「こちらは、読まれたことはありますか?」

編集王2

永田さんよりスッと差し出されたのは土田世紀・作『編集王』
正装のコンシェルジュに差し出されるマンガは、フレンチのコース料理のように厳かでゼイタクな味わいがある。これはマンガ喫茶では絶対に味わえない感覚だ。

恥ずかしながら、筆者はマンガに詳しくなくタイトルはおろか作者も未知の作品である。奥付を見ると、1994年……およそ20年も前の作品だ。オススメされなければ決して出会うこともなかっただろう。

環八

『編集王』は、『あしたのジョー』に憧れてプロボクサーになった青年”桃井環八”が網膜剥離による引退を機に、マンガ編集者に転身する物語である。夢半ばにしてボクサーの道を諦めた環八は、大人の事情と停滞と諦めのはびこる、夢の無いマンガ業界に体当たりで立ち向かっていく。

「拳闘始めて来年で10年」という台詞に業界10年目の自分がダブったり「面白いマンガを作りたい!」という純然たる思いに燃える環八の姿にいつしか失っていた、情熱を呼び覚まされる。そうだよ、僕らも面白いゲームを作らねば……。

さらなるオススメで運命の一冊にグッと近づける!

レコメンドは1冊だけでなく、継続的に別のマンガもオススメされる。
古い作品だけでなく、最新の作品まで添えてくれる心配りがありがたい。

トイボックス

2冊目はうめ・作『東京トイボックス』

筆者も身を置くゲーム業界を舞台にした人間ドラマだ。少々、現実のゲーム業界よりもSFっぽく盛られてはいるが、これもまた大人の駆引きや現場の情熱が織りなす緊張感や泥臭さに心揺さぶられる。そう、従ったり逆らったり色々あるけれど、僕らは面白いゲームを作りたいんだ!ああ……先が気になる。

スティーブズ

そして3冊目は、先日2巻が発表された『STEVES(スティーブズ)』

筆者個人には、このマンガがまさに“ドンピシャ”であった。今や世界を代表するコンピュータメーカー“Apple”の創業者である“スティーブ・ジョブズ”“スティーブ・ウォズニアック”、2人のスティーブの奮闘を描いたIT革命物語だ。事実は小説よりも奇なりというが、これは事実をマンガにできちゃうほどの奇跡の軌跡というべきか。ITの歴史の勉強にもなる上に、群像劇が面白い一挙両得な作品だった。

事実を元にしているから、Appleやジョブズの行く末もライバルであるマイクロソフトのビル・ゲイツとの対決やその結末だって、我々は知ってはいる。なのに、ジョブズの気迫や交渉術、ウォズニアックの飽くなき技術探究心、2人の活躍にぐいぐいと引きこまれる。本当に、ものづくりって素晴らしい

レコメンドされた3作品を読んで「嗚呼、僕も仕事を頑張ろう!」という気持ちがこんこんと湧いてきた。翌日が月曜日であろうとも、頑張れる!それが使徒が襲来する6月22日であっても……。(来店日は2015年6月21日の日曜日)

なるほど、これは確かに運命の一冊との出会いといえるのかも知れない。

副店長がゲーム好きにオススメするマンガ『メイドインアビス』

もう一人のコンシェルジュ兎来さんにもレコメンドをお願いした。

とらいコンシェルジュ

ゲーム、特にRPG好きな筆者にオススメいただけたのが、作・つくしあきひと『メイドインアビス』。

『メイドインアビス』3巻、素晴らしかったです。
もったいなくて一日一話ずつ読みたいと思ってしまうレベル。
読み終わりたくないんだ……!(兎来さん)

世界に空いた大穴『アビス』の奥に少年少女が母を探す冒険に出るというまさにRPGのプロットのような物語。「可愛い絵柄ですが、話の内容は重いですよ」というコメントがまた気になる度をアップさせる……次回はきっと読む!そしてきっとまた買いたくなってしまう。マンガ資金の為に、ますます仕事を頑張らなくてはならないようだ。

高精度なオススメの秘訣は”浅くて広い”蔵書にあり

3巻まで

『トリガー』は同作品を全巻置かず、原則的に3巻までしか置いていない。

これだけ、ドンピシャなマンガをセレクトする秘訣は卓越したコンシェルジュの知識だけでは成り立たない。同作品は3冊以内という広く浅い本棚にすることで、王道作品からマニアックな怪作、新進気鋭の新作まで幅広いラインナップからレコメンドが可能になっている。出会えるマンガの幅を広げたいというゲストへの配慮と、気にいった作品を本屋で買ってもらう“きっかけ”すなわち“トリガー”にしたいというコンセプトに基づいているのだ。

どんなにマンガが好きでも、一生のうちに読める作品の数は限られる。プロに一期一会の作品を近道で紹介してもらえれば浮いた時間や手間やお金を、また新しい出会いや、他のことで充実させることができる。信頼できる専門家によるアドバイスは、人生をより濃密にし、余暇を豊かにしてくれる。それをマンガという娯楽を通して感じられるのは、本当にゼイタクだと身に染みた。

皆さんも、マンガサロン『トリガー』で運命のマンガに出会ってみては。

マンガサロン『トリガー』ホームページ
http://mangasalon.com/

※画像は全て筆者撮影。
(C)土田世紀 (C)うめ (C)うめ・松永肇一 (C)つくしあきひと (C)TRIGGER

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