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山口紗弥加 「夜はホステス」の派遣社員演じて存在感示した

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 ドラマを牽引するのは主役。しかし、ドラマが際立つのは脇役の力あってこそ、でもある。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

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 いよいよクライマックスに近づいてきた春ドラマ。主役もがんばっている。けれど、ふと気付くと、なぜか脇の人物に視線が釘付けになっているということ、ありませんか? 独特の光を放つ、気になる脇役。魅力あるバイプレイヤーに注目してみたい。

 まずは相葉雅紀主演の『ようこそ、わが家へ』(フジテレビ系・月曜午後9時)。主役・倉田健太(相葉)の父、倉田太一(寺尾聰)の部下役、山口紗弥加さん。私が注目するのは、この人です。

 ドラマでの役柄は、総務部の西沢摂子。電子部品を扱う中小企業の契約社員でバツイチ。地味めのOL制服姿で登場。しかし、真瀬部長(竹中直人)の悪事をズバっと見抜き、正義を信じて対策・解決策を上司に進言していく。

 山口さんの演技は、何とも奇妙な質感、存在感を持っています。一定の体温、感情を保っている、不思議な冷静さ。フラット感。特に印象的なのが、抑えたアルトの声です。棒読み調ともいえる、台詞回し。必要以上に感情の乱れといったものを感じさせない。

 おそらく山口さんは、「西沢摂子」というキャラクターを細部まで作り込んでいるのでしょう。そして声や表情を、丁寧に演出している。「自分をしっかりとコントロールする強い意志」や「ブレない良心」を、アルトの声を通じて的確に表現している。だから、「西沢摂子」からたしかな透明感が滲み出てくる。

 でも、「西沢摂子」は真面目一本の堅物ではないのが面白いところ。夜はミニスカ姿でホステスのアルバイト。「シルビアちゃん」と呼ばれるキャラと、西沢摂子。このギャップがまたグッとくる。

 山口さん無くして総務部、いや、このドラマは成り立たない。そう思わせてくれる味わい深いバイプレイヤーです。私のように感じている視聴者、きっといるのではないでしょうか?

 そう、ドラマ鑑賞の醍醐味の一つはキラリと光る役者を見つけ出すこと。ではもう一人挙げるとすれば……出番は西沢摂子ほど多くはないけれど、『アイムホーム』(テレビ朝日系・木曜午後9時)の中でキラリと光るあの人。

 主人公・家路久(木村拓哉)と同じ第十三営業部に所属する、これまた派遣社員の小鳥遊優愛を演じる吉本実憂さん。

 小鳥遊は、誰かから家路の行動を監視するよう命じられた、いわばスパイのような人物。どこかミステリアス。そんな役柄を演じる吉本さん、若いのにニコリともせず硬質なキャラクターを完徹。ブレずに演じ切っている。その根性が、いい。

 西沢摂子、小鳥遊優愛。二つの役に共通するのは「派遣社員」。これもまた、時代を映しているのかもしれません。組織に所属するうまみやメリットは享受できない、外側の存在。その一方、組織の論理に絡め取られず、距離を置きながら、観察する存在。だから、ぐずぐずと感情的に崩れてはいけない。くっきりとした人物の輪郭を維持しなければ。ぴりっとスパイスのような役割を果たすことが、求められるのです。

 でも、そうしたキャラクターを演じるのはなかなか難しい。全体の物語の中で、自分の役がどんな位置や意味を持つのか、正確に把握し理解していないとできない。そんな深い仕事。こうして、優れたバイプレイヤーたちがドラマ世界に奥行きを与えていく。

 もしかしたら……今の大河ドラマに足りないのは、そのあたりかも。登場人物がみな同じ比重で横並び。平板。キラリと光る脇役やドラマを下支えする味わい深い裏方が少ない。それが退屈さの要因かも……。

 難しい仕事に真摯に取り組む、脇役たち。キラリと光る役者たちの存在が、次のクールのドラマを、また輝かせていく。果たしてこの先、どんな人物になって、再び私たちの前に現れてくれるのか。楽しみです。


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