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Album Review:パーマ・ヴァイオレッツ『デンジャー・イン・ザ・クラブ』 かつての英国モッズにも通じる臆すること無き感情表現の増幅

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 ロンドン出身の若き4ピース・バンドであるパーマ・ヴァイオレッツが、名門ラフ・トレードから2作目となるアルバム『Danger in the Club』をリリースした。オープニングを飾る「Sweet Violets」からして音の広がりには成長を見せているものの、青くふてぶてしい、開けっぴろげなエモーションの形を晒してゆくロックンロールは、前作『180』を踏襲している。

 2011年に結成されたパーマ・ヴァイオレッツは、サム・フライヤー(Vo/G)、チリ・ジェッソン(Vo/Ba)、ピート・メイヒュー(Key)、ウィル・ドイル(Dr)の4人組。旧くはザ・スミスを、21世紀にはザ・ストロークスやザ・リバティーンズを見出して来たラフ・トレードのジェフ・トラヴィスが即契約を持ちかけ、デビュー・シングルに収録された「Best of Friends」は、英NMEの<50 Best Tracks of 2012>にも選出されている。

 高性能化したロック・バンドが主流を占める現シーンの中にあって、パーマ・ヴァイオレッツは異彩を放つほど感情任せのサウンドを前面に押し出したバンドだ。決して高くもない演奏力でどうにか憤りや苛立ちや哀愁を描き出そうとする、歯ぎしりするような表現姿勢にこそ深い味わいを宿している。その姿はかつて、米国のリズム・アンド・ブルースに魅せられた英国の若者たちが、手探りで自分たちの感情表現を形にしようとする中で斬新なロックを育んでいった歴史とも重なってくる。

 《俺は何だって出来るんだぜ》と恐れ知らずの疾走感で新たな視界を駆け抜ける「Hollywood(I Got It)」や、恋心の詩情を焦げ付かせるサーフ・パンク「Girl, You Couldn’t Do Much Better on the Beach」といったふうに、『Danger in the Club』の序盤はパーマ・ヴァイオレッツらしい性急なロックンロールが配置されている。ただ、今作で一際耳を引くのは、ブルース・ハープとオルガン、コーラスが哀愁のサウンドを織り成すミドルテンポ・チューンの「Coming Over to My Place」や、《俺の愛の形は、日本製の秒針だよ》なんていうフレーズが飛び出す後悔のラヴ・ソング「The Jacket Song」、そしてソング・ライティングが深い痛みを伝える「Matador」といった、中盤の楽曲群だろう。

 表現力は後から付いてくればいい、とでも言わんばかりに、彼らは臆することなく感情表現のイメージを増幅させて楽曲群を生み出してゆく。目下、最新のMVが公開されている「English Tongue」は、若手のUKバンドとして逃げも隠れもしない、という姿勢が打ち出されたダイナミックなロック・ナンバーだ。なお、今夏のパーマ・ヴァイオレッツは、本作を携えサマーソニックへの2年ぶり帰還という形で、来日が予定されている。

[text:小池宏和]

◎リリース情報
『デンジャー・イン・ザ・クラブ(Danger In The Club)』
Rough Trade/Hostess
2015/05/04 RELEASE
2,561円(tax in.)
iTunes:http://bit.ly/1CHqVmP

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