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【後編】大小23基ものパラボラアンテナが咲き乱れる”パラボラの郷”に社会科見学に行ってきた

パラボラは動くのがお好き?

山口県にある国内随一の衛星通信施設「KDDI山口衛星通信所」を訪ねるレポート、今回は後編。前編で語り尽くせなかったパラボラアンテナの驚きのヒミツの数々を紹介していきたい。

小さなもので直径1m以上、大きなものだと30mを超す巨大なアンテナは、じっと衛星からの電波を待ち受けているようで、実は小まめに動いている。というのも、「静止衛星」の方が宇宙空間で星の重力や太陽風などさまざまな影響を受け、静止していることができないからだ。衛星は「ビーコン」と呼ばれる信号を地上に向けて発し、アンテナはその信号強度がもっとも強くなるように微妙に向きを変える。一度に動くのはだいたい数ミリ程度。ミリ単位の精度のために、巨大な人工物を動かし続けているわけだ。

衛星から発せられる「ビーコン」は、地上のアンテナで受信できないこともあり、そんなときでも通信を途絶えさせないための仕掛けがある。

「衛星は、地球の重力のほか、月や太陽の引力および太陽の輻射圧等によって、1日周期で”8の字”を描いて動いています。ビーコンの受信ができないときは、過去の衛星の動きを示すデータから衛星の動きを予測するプログラムを利用して、アンテナの角度を微妙に調整しています」(牧尾雅明山口技術保守センター長)

アンテナの向きを変えるための装置が、巨大なレールだ。アンテナの土台部分にグルっと1周敷かれ、アンテナを水平方向に回転させる。

アンテナをわずか数ミリ動かすために、こんなに巨大な仕掛けが必要なのかと驚くかもしれないが、太平洋上を向いていたアンテナをインド洋上に向けることもあれば、その反対のことが必要になるケースもある。アンテナを動かせるようにしておくことで、そのときどきの状況に合わせて、用途を柔軟に変えることができるというわけだ。なお、アンテナの向きを変える動力は、通常はモーターだが、保守点検でモーターを交換する際は人手だけが頼り。「ビーコン」の受信強度が最大になるように、人間が手動でアンテナの向きを調整する。

アンテナは、水平方向だけでなく垂直方向にも向きを変える。太平洋上の衛星と通信するには空を仰ぎ見る必要があるが、インド洋上の衛星と通信するには地平線すれすれにアンテナを向ける必要がある。


所内最大、直径34mのアンテナを動かすためのレール。アンテナも巨大ならレールも車輪も巨大。車輪だけで1mぐらいの大きさはある

所内でもっともダイナミックに動くアンテナは、2001年に国立天文台(NAO)に寄贈された直径32mの「電波望遠鏡」だ。観測対象の星が変われば、アンテナの向きも変わる。「水平方向から真上の天頂角を向くまで、だいたい5分ぐらい。動いている様子をお見せできるといいんですが……。今日はあいにくその予定がありません」と盛田昌樹マネージャー。巨大アンテナが動く様子はさぞ壮観に違いない。


国立天文台(NAO)に寄贈され、今は「電波望遠鏡」として活躍する直径32mのアンテナ(左)


直径32mのアンテナが真上を向くとこのようになる(写真:KDDI資料)

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