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Album Review:スヌープ・ドッグ『Bush』は彼をファンク・ミュージックの後継者に位置づける

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 ファレルとタッグを組んで製作された、スヌープ・ドッグの『Bush』がとても面白い。スヌープと言えば、近年はラスタファリ・エイリアスのスヌープ・ライオンを名乗ってレゲエ作品を製作したり、スヌープジラ名義でダム・ファンクとコラボレートしたアルバム『7 Days of Funk』を発表したりといったふうに、キャリア20年を越えてより自由な表現領域を開拓しているところ。ファレルとは「Drop It Like It’s Hot」(2004・US1位)などのコラボ作品があるが、今回の『Bush』は、ズバリとファンクのど真ん中を狙い撃ちした超キャッチーなアルバムだ。リリックの中で強調されているように、これは他の誰でもない、スヌープ・ドッグの王道を辿る新たな一歩でもある。

 軽快なディスコ・ファンク・チューンの「Peaches N Cream」(ザ・ギャップ・バンドのチャーリー・ウィルソンもゲストに迎えられている)をファースト・シングルに始まった『Bush』の季節だが、アルバム本編はスティーヴィー・ワンダーの味わい深いブルース・ハープと歌声がフィーチャーされた、メロウでレイドバックした1曲「California Roll」で幕を開ける。ニュー・ソウルの伝説スティーヴィーと、ギャングスタ・ラップ/Gファンクの申し子スヌープ、そしてUSポップ界きっての名プロデューサー/シンガーの座に登り詰めたファレルがミックスされた、美味しいカリフォルニア・ロールといったところか。もしかするとこのタイトルは、以前スヌープが客演したケイティ・ペリーの「California Gurls」(2010・US1位)に引っ掛けたシャレかも知れない。

 そもそもGファンク全盛の20年前から、スウィートなトラックを乗りこなしてきたスヌープである。ただ『BUSH』では、“歌う”という技術のアプローチが、明らかにこれまでとは違う。ブーツィ・コリンズを血縁に持つギャングスタ・ラッパーのスヌープが、『G I R L』という自然体の温故知新ポップをモノにしたファレルの手を借り、改めて自らの音楽性をファンク・ミュージックの歴史の中に位置づけること。80年代エレクトロ・ファンクやエレクトリック・ブギーの訴求力が見直される昨今、スヌープは“歌う”ことによってごく自然に、ファンク・ミュージックの後継者であることをアピールしている。アーバンなクルーズ感を漂わせて気持ち良さそうに歌う「I Knew That」の響きはどうだろう。『BUSH』は、いわばスヌープ・ドッグが最新の技術を駆使して作り上げた、彼の“エピソード・ぜロ”とでも呼ぶべき作品なのである。

[text:小池宏和]

◎リリース情報
『Bush/ブッシュ』
2015/05/12 RELEASE
2,376円(tax in.)

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