3秒ルールに隠された普遍的な真理とは

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サイエンスあれこれ

今回は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

3秒ルールに隠された普遍的な真理とは
日本にも、落ちた食べ物を3秒以内なら食べても大丈夫という3秒ルール(アメリカでは5秒ルールと呼ばれ、実は大丈夫じゃないという報告も *1 )というのがありますが、この3秒ルールの3秒間にはある普遍的な真理が隠されているのではないかと研究者たちは考えているようです。なぜ3秒なのか?

*1: 5秒ルール『フリー百科事典ウィキペディア』より
http://ja.wikipedia.org/wiki/5秒ルール

その研究の発端は、1911年に遡ります。それによると、人間の基本動作、例えば「バイバイ!」と手を振るとき、赤ちゃんの片言、ほっとしたときの「ふぅ〜」という一息、心に残る音楽のフレーズ、これらすべて3秒間続くことが多いというのです。

この3秒ルールに縛られているのは、人間だけではないようです。1994年の報告 *2 によると、動物園で飼育されているキリンも、オカピも、ノロジカも、アライグマも、パンダも、カンガルーも、皆、咀嚼(そしゃく)から排便に至るまであらゆる動作が、程度の差こそあれ、平均してほぼ3秒を一単位としているとのことです。

*2:「Evidence of a time constant associated with movement patterns in six mammalian species」『Deep Blue』
http://deepblue.lib.umich.edu/handle/2027.42/31468

イギリスの心理学者で、熱心なスポーツファンでもあるEmese Nagy氏は、2008年の北京オリンピックを見ていて、あることに気づきました。試合後の選手たちの抱擁も、この3秒ルールに則っているのではないかと。彼女は、録画した21種の競技について、32か国のアスリートたちによる188の抱擁を1フレームごと詳細に解析した結果、それは出身や性別に関係なく一様に平均3秒間だったと、今月号の『Journal of Ethology』(行動生物学の専門誌)に発表しています *3 。ただし、抱擁する相手がコーチだとチームメイトよりやや長く、対戦相手だと最も短いという違いはあったようですが。

*3:「Sharing the moment: the duration of embraces in humans」 『Journal of Ethology』
http://www.springerlink.com/content/864j03x6w6q01101/

心理学者らは、この3秒間を動物が“今を感じる”のに長すぎず、短すぎない、ちょうどいい長さなのではないかと考えているようです。例えば、これが0.01秒だったとしたら、弾丸も投げられたボール程度にしか感じられないほど、世の中がじれったいだろうし、逆に1分だったとしたら、世の中のちょっとした変化にもついていけないだろうというわけです。

そう考えるとこの3秒ルール、色々と応用できそうです。相手の興味を引くためには、話し始めの3秒間が勝負だとか、その後も興味を持続させるためには、一文を3秒で話すように工夫するとか。電話の呼び出しは3秒でやめると相手に不快感を与えないとか。美味しいものは、3秒かけて味わうといいとか。真の恐怖を味わいたければ、それから3秒間は目をそらさないとか……もうそろそろこの応用例を挙げるのはやめにするとか?

参考文献:「Hugs Follow a 3-Second Rule by Rebecca Kessler」 2011.1.28 『Science NOW』
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2011/01/hugs-follow-a-3-second-rule.html

執筆: この記事は神無久さんのブログ『サイエンスあれこれ』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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