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“たび” に出るということ 『Travelers Box』編集者が考える

筆者撮影

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皆さんは「マンネリ化した日常を打破したい」と考えたことはありませんか。いつもの通勤電車に乗って、ルーティーン化した業務をこなし、気が付けば一週間が終わっていたという人も少なくないかもしれません。

そんなときは「仕事着を脱いでどこか“旅”に出よう!」と声高らかに叫びたいところですが、いつもの日常と決別するのは難しいと感じる人が大半ではないかと思います。

私自身、旅の魅力を伝えるWebマガジン『Travelers Box』の運営に関わる中で、旅に出ることの意義を認識しつつも、一歩踏み出すことを躊躇してしまう人がたくさんいると実感してきました。

人はなぜ旅に出るのでしょうか? 「自分探し」や「現実逃避」など、その理由は十人十色。理由や動機はそれぞれなので、この場で偉そうにあれやこれやと結論を出すものではないと思います。

今回は、あくまでも私の個人的な見解として、旅に出ることの意義やこれまでの経験がどのように今に役立っているかなど、経験談を交えて書いてみました。皆さんの日常に小さな刺激をもたらすきっかけになれば幸いです。

感性のトビラを開き、生き方の解像度を上げる

思えば、私が大学生活最後の夏休みに初めての一人旅で北海道を一周したのも「それまでのルーティーン化された日常を打ち破りたい」という気持ちからでした。モノクロ化しつつあった学生生活を彩るべく広大な大地を目指したのです。

その旅では、それまで出会うことのなかったタイプの人々や、野生の動植物のイロドリに触れ、雄大な自然に囲まれながら自分の中のリズムに逆らうことなくゆっくりとした時間の中に身をおくことができました。果てしなくまっすぐ続く国道を前に、生き急ぐことなく「もっと歩く速度を緩めて周りの景色を楽しもう」と心に決めたのは今でも鮮明に覚えています。

新しい場所を訪れ、行く先々で見聞きしたことからの学びや感情を他者と共有することを楽しむことができ、興味の幅が広がっていく実感がありました。そして、以外にも人と話すことが好きである自分を発見し、自身の秘めたる可能性にワクワクしたものです。

「知らないことを知りたい」「見たことのない景色を見てみたい」という思いで動いたからこそ、さまざまな出会いを通して感性のトビラが開かれたのかもしれません。

鳥肌が立つような経験もして、何が好きで、どんな場所に居心地が良いと感じるのか、そして、嫌いなものは何かという答えがシンプルになったように思います。机に向かって悶々と自己分析に取り組んでいた就職活動では見えてこなかった「生き方」の解像度が鮮明になりました。

筆者撮影

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常識を覆し、事象を異なる視座から見つめ直す

北海道一周の一人旅を経験し、新しい景色を見に行くことにヤミツキになった私は、フットワークが軽くなり、軽くなりすぎたことで、苦労してゲットした内定を一蹴し、地球一周の旅に出ることを決意。そして、その旅の途中で「日本の常識は世界の非常識」という、頭では理解していたことを実際に体験することになります。

東南アジアのカンボジアを訪れたときのことです。カンボジアと言えば、アンコールワットやクメール文化など、日本人にも馴染みの深い観光地として知られています。その一方で独立と内戦を繰り返し、ポルポト政権下の思想改造の時代には数百万の死者を出すという暗黒時代も経験した国でもあります。それを象徴するかのごとく、ドクロマークが至るところに点在していました。「地雷」という負の遺産です。

地雷検証のツアーに参加した私は、被害者の体験談を聞き、地雷が人々の心に残した爪痕やその恐ろしさを想像し、何もできない自分の無力さに苛まれたのです。そして、気が遠くなるような地雷撤去の作業現場や爆破処理による爆風を全身に浴びる中で、「一日も早く、一つでも多くの地雷撤去を」という想いとともに涙が頬を伝ったとき、一人の作業員がポツリと言いました。

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