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大前氏「目のつけどころがシャープでしょ」の自画自賛を批判

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 かつては亀山モデルなどで世界の液晶市場を席巻したシャープだが、現在は大規模リストラその他の経営再建策ばかりが話題になっている。なぜシャープは今のような転落を味わうことになったのか、大前研一氏が解説する。

 * * *
 シャープが危急存亡の秋(とき)に直面している。2015年3月期の連結決算が2223億円の赤字に転落し、債務超過による上場廃止の瀬戸際に追い込まれているのだ。

 このため同社は経営再建策として、1218億円の資本金を5億円に減資し、主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行などから出資を受けて借入金返済と成長戦略実行の資金に充てるほか、国内を対象に5000人規模のリストラを断行して大阪市の本社も売却し、15年度に営業利益800億円、2016年度に黒字化を目指すという中期経営計画を発表。高橋興三社長は「聖域はない」「不退転の覚悟」と強調した。

 当初は、資本金を1億円に減資し、「中小企業」となって税制上の優遇措置も受けられるようにするという奇策を打ち出したが、批判を浴びて5億円で決着したという経緯がある。

 はたして、これらの経営再建策でシャープは復活できるのか?

 私はすでに自分のライブやネット連載などでこの問題を取り上げ論じてきたが、単に資本を増強して負債をなくせばいいという話ではない。経営そのものに問題があったのは明白であり、社員を大量リストラしておきながら、現在の経営陣が居座ることは許されない。1回倒産させて会社更生法を適用し、外部から経営者を招いて全く新しいシャープを作るべきだと思う。

 そもそもシャープの問題はかつてのキャッチコピー「目のつけどころがシャープでしょ」のように自社製品を自画自賛したところで思考停止してしまったことにある。デジタル家電はすぐにコモディティ化(*注)するのに、技術陣が強い会社であるため、わずかな技術アドバンテージにあぐらをかいてしまった。

【*注:コモディティ化/機能、品質、ブランド力などで競合する商品との差別化が困難になり、消費者に価格だけで選択されるようになること】

 その象徴が「亀山モデル」だ。三重県亀山市の工場で製造しているだけなのに、あたかも特別なブランドであるかのように宣伝した。

 ブランドとは「価格」に反映できる「価値」があるということだ。逆に言えば、そういう「価値」のないワン・オブ・ゼムになったら、ブランドではなく単なる商品コードになるのだ。ところが亀山モデルは、自分たちに特別な「価値」があると錯覚してしまった。

 そういう間違いは、往々にして技術者がやりがちだ。つまり、技術的には優れていてもユーザーから見ると差がないのに、それを差別化だと思い込んでしまうという間違いだ。しかし、価格に反映できない(ユーザーから見ればどうでもよい)技術は、差別化とは言わない。

 たとえば、すでに液晶テレビは人間の目が認識できる解像度を上回るまでに高性能化しているから大半の人々は、解像度よりも価格で商品を選んでいる。つまり、コモディティ化した領域においては、日本的なコスト積み上げ方式で競争したら、価格を維持できる差別化はできないのだ。

※週刊ポスト2015年6月12日号


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