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第10回 留置場生活の終了

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 11月9日の夜から始まった宮崎北警察署での生活は、12月25日の午前9時に終了した。宮崎拘置所へ移監となったのだ。ここで移監と言っているが、刑事訴訟規則での正式な名称は「移送」である。平成18年の改正で移監が移送に変更されたが、従来どおり移監で進めていく。

 さて、移監の前日である24日の昼に、係官から「明日移監だよ」との告知を受けた。正直なところ、移監されるとはまったく思ってもいなかった。移監するかどうかの決定は検察官が行うが、裁判長の同意が必要とされている。裁判長の同意など形骸化しているに決まっているから、実質的には検察官だけの判断による。ただ、私の場合、弁護人を通じて裁判所に対して、検察官からの移監について同意をしないでもらいたい旨の上申をしていた。担当していた宮崎の事件でも、私は同様の上申をしていた。東京からの接見では、拘置所接見よりも、警察留置での接見の方が便宜がはるかにいいからである。

 というのも、日曜祭日を問わず警察は年中無休24時間営業であるから、日曜祭日の接見も許されているし、夜の接見も可能である(就寝時間前であれば)。これに対して、拘置所での接見は、土日祝日はダメで時間も決められている(夜の接見などできない)。東京からの弁護人は、休みを利用して宮崎に来ることができる点で、移監先の拘置所よりも、警察の方が接見がしやすいのである。だから上申書で移監に同意しないでくれと頼んでおくのである。

 このような上申をし、しかも、私よりもはるか前に起訴され、移監されてもおかしくない者が幾人もいたことから、移監はないと思っていた。それでも移監となった。実質的決定権者による嫌がらせではないかと思ったし、裁判官は上申を無視したなと思った。

 24日の午後に入浴があったが、私は一番最後で(最後にしてくれた?)、風呂場では11室にいたヤクザ屋さんと一緒になった。後ろがいないことから、相互に湯船に入ったり、シャワーを浴びたりと、ゆっくりしながらいろいろ話をしていた。彼は、私が弁護士であると知っていて、自己の犯した傷害致死事件について、「どのくらい行きますかね」と聞いてきた。他の事情も併せて、「10年ならいい方かな」と答えた。「悪くすればどうですか」と聞いてくるので、「15年以上もあるよ」と答える。彼との間で「私の弁護士も同じような意見でした」なんていう会話をしていて、30分以上も入っており、のぼせて出てきた。後日知ったことだが、彼の弁護人は、私の弁護人でもあった。

 夕食時には、お茶で乾杯をしてもらって、同房者と別れの宴となった。まったく盛り上がらないけれども。同房者は、拘置所は食事がいいと言い、いろいろな菓子や飲み物を自弁で購入できるなどと言い、拘置所への移監を羨んでいた。しかし、私は食事にはさほどの興味がないので、弁護人接見の不自由さを考えて意気消沈していた。

 その夜は、出房のための所持品の検査があった。すべての持ち物を確認して、確かに返還を受けたという証に、また写真を撮られた。

 翌朝は、9時ころに移監とのことで、運動時間は朝食後一番とされた。拘置所ではタバコを吸えないなと思いながら、最後の一服、否二服をした。タバコはまだかなりの量が残っていたが、拘置所には持ち込めないからということで、廃棄処分となった。予定どおり、9時過ぎにお迎えが来て、手錠腰縄状態で地下駐車場で待つバンに乗り込む。久々の外出である。

 11月11日に勾留質問で裁判所に行って以来、1か月半近くも見たことのない外の景色を見ることができた。書き忘れたが、運動時間のベランダの壁には風を通すためのワンブロックほどの穴がいくつか開いているだけで、外を見ることはできない。外を見ることができないようにというよりも、外から見えないようにしてあるのだ。だから本当に久しぶりに見る外の景色であった。

 ちょうど通勤時間か、出社後の外回りか、多くのスーツ姿の人が歩いており、一般世界と隔離され、自分の回りだけ違う時間が流れているようで、どうしてこんな状態でここにいるのかと夢のように思いながら、47日間の代用監獄生活は終了した。バンは、大淀川に沿って一路宮崎拘置所へと進んでいく。(つづく)

元記事

第10回 留置場生活の終了

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