ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

第1回:森の図書室 森俊介さん(前編)

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 本と人を繋ぐ人、本を通して人と人を繋げる人。新たな人と本の関係を造り出してしている方々にお話を聞く連載です。第1回は「森の図書室」の森俊介さんに会いに行ってきました。

森の図書室は、「渋谷に、本と人がつながる場所」を作るためにオープンしました。本が読めて、借りられて、お酒が飲めて、語り合える。深夜まで営業の今までにない読書空間です。渋谷の道玄坂を駅から約7分上がっていくと、ビルの3階に、周囲の雑踏が嘘のような居心地のよいスペースが用意されています。

 取材スタッフは、半年ぶりにお会いした森さんのぐっと引き締まって精悍なスポーツマン然とした雰囲気にまずはビックリ。ジムのトレーニングにより3ヶ月でなんと20キロも痩せたそう。「健康な身体になって集中力を高めたかったから。」とのことですが、思い立ったらすぐに集中して目的を達成してしまう森さん。仕事と同様、相変わらず凄い行動力です。

書店ではなく「図書室」にしたこだわり

――まず、どうして書店でなく「図書室」という形態にしたのですか。

 本をあまり読まない人にとって本を買う値段って高いなって思ったのが一番大きな理由です。普段あまり本を買わない人にとって、文庫ならまだしも、1000円とか2000円といった値段の本ってなかなか手を出しづらいのかなと。それだったら、あの本読みたいのだけど、行ったら無料で借りられるというほうが、本を手に取ってもらうにはいいのかなと考えたのが一番大きな理由です。

――リクルートに勤務していた時から、本に関わる仕事で起業しようと考えていたのですか。

それは思ってないですね。就職で出版社を訪問した時も自分には向かないなと思って受けなかったくらいですし。本はあくまで趣味として。単に読んでいて楽しかった。

リクルート時代はホットペッパーの営業をしていたのですが、独立するにあたって、飲食関係の知識はありました。それでお店をやるつもりで物件を探していたのですが、この場所を見たときに「あ、これは図書室に向いているな。」と思ったのです。実は中学校のときに私設図書館の人の本を読んで、それまで図書館とかはパブリックなものだと思っていたので、個人で図書館を運営できるんだと驚き、将来老後とかに自分もやれたらいいなと漠然と憧れていたということもありました。

――そこで資金集めを始められたわけですが、にどうしてクラウド・ファウンディングという手法を選んだのですか。

 一番大きな理由はお金がかからないからですね(笑)。
というのも、リクルート時代に営業をしていて感じていたのですが、webに広告等で情報を乗せるというのは、結構お金がかかる。クラウド・ファウンディングなら登録だけなら無料なのでやってみようかな、と思ったのです。

――どうしてここまで注目を集めたのでしょうか。

 クラウド・ファウンディングは、最初に友人に支援してもらい、そこでクレジットが生まれてくると、その後だんだん見知らぬ第三者からも支援が集まるのがセオリーだと聞いていたのですが、自分の場合は最初のタイミングから見知らぬ方からも支援をいただきました。しかもその方々のうち何人かが、ちょっと有名な企業の経営者であった為、その方達がインフルエンサーとなってくれて、次にネットメディアが取り上げてくれて、雑誌、ラジオ、テレビと順番に拡散していきました。

 そもそもそんなに沢山お金を集めたいと思ってはじめませんでした。なので。
目標金額を10万円と低めに設定していたのですが、2日で100万円、最終的には1000万円まで集めることができました。

 

「深夜の渋谷」という新しいコミュニティへ

――お店の場所は当初から渋谷に拘ったのですか。

リクルート勤務時代にずっと住んでいて、土地勘があったというのも理由です。それとこの図書室をオープンするにあたって、いろいろなタイプの人たちに来てもらいたいなと思いました。銀座とか六本木とかは、街によっている人のカラーがはっきりしていますよね。渋谷なら様々な種類の人がいるので。しかも日本の文化の発祥の地ですし。それもこの街を選んだ理由です。

しかも当初想定していたよりずっと良い場所が見つかってよかったな、と思っています。基本的に駅から道一本ですし。渋谷で物件見つけるのってほんとなかなか難しいのです。そもそも物件が出てこないし。

――深夜まで営業しているのも渋谷という土地柄からですか。

 自分が学生の頃はよく図書館に通っていたのに、サラリーマンになってからは勤務後に行きたくても、もう閉まっていていけなかった。なので、昼間勤めている人でも仕事が終わってから気軽に行ける図書室だったらいいな、と思ったのです。

 いろいろな目的で来てくれていいと思います。本を借りるためだけでなく、お酒を飲みにとか、おしゃべりするためだとか。友人の家に遊びにきて、本棚に面白そうな本を見つけて「これ、ちょっと貸して。」みたいな感覚で本に興味を持ってくれればいい。奥の壁の本棚は会員の方によるお勧めの本が並んでいるのですが、本って他人に勧められて手に取ることが多いじゃないですか。あのコーナーの本は全部誰かが「良かった」と勧めている本ばかりなので、手に取られることが多いですよ。

後編では、森の図書室 森俊介さんの新たな取り組みについてもうかがいます。

(プロフィール)
森 俊介

1984年生まれの30歳。子供の頃から外で遊ぶよりも家で本を読むのが好きで、中学生の頃に読んだ本に出てきた「田舎に私設図書館をつくったおじいちゃん」に憧れ、いつか自分の図書館を作ることができたら、とこっそり夢を持つ。早稲田大学を5年間かけて卒業後、リクルートに入社。ホットペッパーにいた4年間で20キロ増量。退職後2年弱、留学やNPOのお手伝い、ももクロの追っかけ日本一周旅行などを経て、2014年7月、渋谷に「森の図書室」をオープン。

■関連記事



BOOKSTANDの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。