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東大理III合格3兄弟の母「最近までキムタク知らなかった」

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 名門・灘校(灘中、灘高等学校)から、日本最難関といわれる東京大学理科III類(医学部/通称・理III)に合格した3兄弟の母・佐藤亮子さん。3男1女の幼児期の育て方から大学受験までのノウハウを公開し、子供の無限の可能性とともに、母親という存在の大きさを改めて教えてくれる著書が注目を集めている(『「灘→東大理III」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』角川書店)。理III3兄弟は一日にしてならず――。テレビなし、3歳まで叱らない、“お兄ちゃん”と呼ばせないなど、佐藤家の独自ルールを貫く“子育て哲学”を聞いた。【後編・家庭編】

 * * *
【学ぶのに、早すぎることはない】

――佐藤さんの教育は、幼少期から始まっていますね。絵本を「1万冊」読み聞かせたとか。

佐藤:私は「読み・書き・そろばん(計算)」を学ぶのに早すぎることはないと思っています。4人とも1歳から公文に通わせると同時に、絵本の読み聞かせをし、カセットテープやCDで童謡を流していました。絵本って簡単ですから、1日10冊読めば、3年で1万冊。あっという間なんです。絵本は日本語が美しいだけではなく、人を助けて仲良くすることを学べるなど物語も素晴らしい。精神的にもやさしくなれますよね。

 うちは、生活や勉強を主にするリビングにテレビを置いていなかったんです。テレビに時間を取られなかった分、絵本をたくさん読めたというのもありますね。

――なぜ、お子さんにテレビを見せなかったんですか。

佐藤:そもそもは、長男が生まれて子育てでドタバタしているときに、居間で主人がテレビを見ていて羨ましくなって(笑)。それで、2階の部屋にテレビを持っていたんです。2階に行けば見られるわけですが、不思議なことに、私も主人もほとんど見なくなった。テレビがない生活は、それはそれで快適で、子供たちにも見せないのが習慣になりました。だから、「テレビは見せない主義!」だったわけではなくて、自然な流れだったんです。私は最近まで「キムタク」の存在を知らないくらいでした。

「1時間だけ」「ドラえもんだけ」と、制限を設けてテレビを見せるご家庭もありますよね。でも、特番の時はどうしようかと考えなくちゃいけないし、あと10分だけ、など、なし崩しになっていく可能性もある。そういうのが面倒なので(笑)、私としては、子育ては「0か100」という考え方でやってきました。

――子供をほめて育てるか、叱って育てるか、でも悩まれたとか。

佐藤:育児書などを読んで悩んだ結果、私は「3歳までは怒らない」と決めました。子供は、大人がいないと生きていけない弱い存在です。親と対等ではない存在に対して感情的に怒るのは違うなと考えたんです。もちろん子供ですから危ないことをすることはあります。そういう時は「ダメ」ではなく「危ないよ」と言う。表現に心をくだきました。ただ、2男、3男と増えるにつれて、上には怒るようになったものですから、3歳という年齢は下方修正されていきましたが(笑)。

――やはり「0か100」なんですね。

佐藤:私も、もちろん迷ったり悩んだりするんですが、最終的に、決断することが重要だと思います。決めるというのは、親が責任を持つこと。間違いに気づいたら、その時点で修正すればいいんです。中途半端が一番よくないと思っています。

【勉強を「生活の一部」にする方法】

――他にも佐藤家には、独自のルールがあります。“お兄ちゃん”と呼ばせない、というのもユニークだと思いました。これはなぜでしょう。

佐藤:兄妹は徹底的に公平にしたいという考えからです。たまたま少し早く生まれてきたというだけで、“お兄ちゃん”を強いられるのは可哀そうだし理不尽だと思うんですね。親が死んだ後も兄妹は仲良くしてほしいというのが私の願いです。そのためにも、上下関係を極力付けないよう腐心しました。とはいえ、特に幼少期は身長などに物理的な差がありますから、どうしても上下関係はできるんです。せめて“お兄ちゃん”ではなく、名前で呼び合うことで、フラットな関係を作りたいと思いました。

 また、兄妹を比べないというのも私のポリシーでした。受験は“自分との闘い”なんだと、子供たちに言い聞かせてきましたね。

――子供部屋を作らず、居間で勉強させるなど、環境も佐藤家ならではです。

佐藤:食事と勉強に、できるだけ距離を持たせないためですね。居間に勉強机を置いておくと、食事の後に、子供がだらだらすることも少なくなりますし、私自身も勉強の様子を見やすいんです。食事と勉強を同じ空間にすることで、勉強は特別なことではなくて、より「生活の一部」になるとも考えました。

【最後にお父さんが出てくると失敗する】

――佐藤家の教育は、母親である亮子さんがすべての責任を持っていたんですね。お父さんが果たされた役割は何でしたか。

佐藤:主人は本来、子供たちの勉強を見たり、世話を焼きたいタイプなんですが、それだけに、父母で子供の勉強を中途半端にシェアすると、責任がどっちつかずになると思ったんです。ですから、子供の勉強の責任はすべて私が持つことにしました。塾の送り迎えなどは主人も手伝ってくれましたが、私が子供の黒子だとしたら、主人は黒子の黒子。灘の通知表や、模試の順位などは、主人は一切、見たことがありません。

 一方で、主人も、子供たちに自分の希望を押し付けるようなことはしませんでした。主人は弁護士なのですが、子供たちが理IIIを受けるときも「そうか、法学部じゃないのか」と、ぽつりと漏らしただけ。塾の先生は「最後にお父さんが出てくると失敗する」と仰っていましたね。

――父親が教育に参加している家庭も多いと思いますが、なぜ、最後にお父さんが出てくると失敗するのでしょうか。

佐藤:毎日とか、定期的に出てきていればいいんです。仕事などでそれができないのに、最後にだけ出てきて「こんな大学を受けるのか」とか、「なんであの大学じゃないんだ」とかいうから、揉めるんです。受験って、3年なら3年で完成させる一つのプロジェクトなんですね。仕事でも、現場を把握していない上司が、会議にだけ出てきてやいやい言ったら、そのプロジェクトは失敗しますよね。それと同じです。私は長年、子供たちと二人三脚でやってきたから、彼らの勉強に責任が持てるのです。

――最近は、仕事や趣味、自分磨きに頑張る母親も増えています。佐藤さんはそうしたお母さんをどう思われますか。

佐藤:私の場合は、専業主婦ではありましたが4人の教育にコミットしてきましたので、正直、自分の時間はほとんどありませんでした。そもそも、自分の趣味を楽しみたいという気持ちもなかったんですけどね。人それぞれ考え方は違いますし、子供が何人いるか、働いているかなど、環境によっても変わってくるとは思いますが、子育てや受験って、そんなに甘いものではないと私は思っています。もし子供に学力を求めるなら、親が何かを諦めてでも子供の教育に賭けると、腹をくくることも大事ではないでしょうか。

 私にとって全身全霊をかけて子育てをするのは、産んだ責任がある以上、自然なことでしたし、やりがいのあることでした。高校生の娘がまだいますので、現在も楽しんでいます。

■プロフィール/佐藤亮子(さとう・りょうこ)
奈良県在住。主婦。津田塾大学卒業後、大分県内の私立高校で英語教師として2年間教壇に立つ。その後結婚し、長男、次男、三男、長女の順で3男1女を出産。長男・次男・三男の3兄弟が全員、名門私立の灘中・高等学校に進学。3人それぞれが体育系のクラブに所属し青春を謳歌、ガリ勉とは無縁の学生生活を送る。高校では塾に通いつつも、高3の夏からようやく本格的な受験勉強を始めた。その後、3人とも日本最難関として有名な東京大学理科III類に合格。秀才を育てる子育てノウハウや家庭の教育方針などが注目を集めている。今、最も注目されるお母さんの一人。


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