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北大路欣也 愛妻との老人ホーム入居決断させた両親との経験

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 21歳の時に見初めた一般女性と34歳の時に結婚した北大路欣也(72)。『半沢直樹』(TBS系、2013年)の銀行頭取役で重厚な演技を見せ、『三匹のおっさん2~正義の味方、ふたたび!!~』(テレビ東京系、現在放送中)では町内を守る自警団というコミカルな役回りを担当し、ソフトバンクのCMでは「お父さん犬」の声優を務めるなど、芸の幅がますます広がりを見せている。

 2007年の紫綬褒章受章記念パーティでは、「受章は30年にわたって支えてくれた妻のおかげ」と語った。その愛妻との終の棲家に選んだのは都内の老人ホームだった。

 東映時代劇の映画俳優で片岡千恵蔵らとともに戦前・戦後の大スターだった市川右太衛門の次男として生まれ、13歳の時に映画『父子鷹』でデビュー。以来、スター街道を突っ走ってきた北大路だが、昭和の映画スター然として、プライベートはあまり明かしてこなかった。

 そんな北大路は今、妻とともに介護付き有料老人ホームで暮らしている。その老人ホームは都内にあり、高級ホテルさながらの設備を誇っている。ロビーには高級ソファが並び、食事は都会の夜景を見下ろすダイニングで、専属シェフの手による日替わりメニューを味わえる。ほかにもジャグジーやラウンジなどを備えている。

 また、ホームドクターと専属の看護師がいて健康管理は万全なうえ、介護が必要な状態になった時にはケアスタッフによる介護を受けられる。サービスも施設も至れり尽くせりだ。

 入居には一時金として数千万円、加えて食費など月々の費用が数十万円かかる超高級施設だという。

 だが、リタイア後ならいざしらず、現役バリバリの北大路が老人ホームで暮らしているとは意外である。北大路は東映撮影所のある京都で育ち、中学生の時に東京に移ったが、再び故郷の京都に住んでいた時期もあった。数年前までは北関東の高級別荘地でも北大路の姿が目撃されている。老人ホーム入居という選択の裏には、どのような心境の変化があったのだろうか。北大路の知人が語る。

「彼は仕事が忙しくて、しょっちゅう家を空けなければならない。奥さんは6歳年下で健康にも問題ないようですが、愛妻家の北大路さんとしては自分の留守の間に妻に何かあったらと心配でならない。それで万が一の時でも安心なホームに入ることを決めたようです。入居したのは1~2年前だったと聞いています」

■両親の施設探しに妻と東奔西走

 72歳と66歳。北大路が夫婦とも元気なうちに老人ホームに入る決断をしたのは、「ある経験」が影響したのかもしれない。

 1998年、北大路の両親は千葉県館山市にある老人保健施設に入居した。だが、そのことが「北大路が実の父を老人ホームに押し込んだ」という論調で報じられた。国民的スターだった父親を施設に入れたことが“姥捨て”“冷血”とまでいわれたのである。

 当時、北大路は一切反論しなかったが、2002年に『婦人公論』(7月22日号)のインタビューに答え、事情を打ち明けた。

 両親は都心のマンションで2人暮らしをしていたが、母親の足が不自由になり、ガス器具や電気製品の取り扱いに不安が生じる状況になった。

〈僕ら(編集部注・北大路夫妻のこと)は両親のことが心配でたまらない、両親も毎日の生活がこころもとない、互いに不安をかかえて生活していくのはマイナスじゃないか。なんとかしなければ、と考えるようになっていました〉(〈 〉内はインタビューより引用。以下同)

 これからの生活をどうするか。両親と向き合い、10年以上にわたって話し合った。その過程で同居を提案したこともあったが、〈2人で独立してやっていきたいという気持ちが強く、受け入れてはもらえませんでした〉という。

 すでに親が施設に入っている知人や友人に意見を聞き、耳寄りな施設の情報があれば、夫婦で確かめに出かけた。

「両親が少しずつ老いていく姿を目の当たりにして、北大路さんは相当苦しんでいました。だからこそ両親の思いを尊重して、2人が安心して暮らせる環境を見つけるために東奔西走していた。信頼できる介護士を見つけ出して自宅に来てもらう、安心できる施設を探すなど多くの選択肢を夫婦で検討したようです」(前出の知人)

 俳優として多忙な北大路がそこまでしたのは、〈両親の安全と安心を常に確保できる方法、命の尊厳をいつでも守れる環境を提供しなければならない〉との思いがあったからだった。そうして巡り合ったのが、館山の老人保健施設である。

 自らの足で探し、自分の目で親の終の棲家を見つける。そうした経験から、いざとなったら介護なども万全な今回のホームを見つけるに至ったのだろう。両親への思いが今度は妻への思いとなり、さらに遺される者の苦しみもよくわかることが入居を決断させたのかもしれない。

 先のインタビューではこうも語っていた。

〈僕の両親は、とにかく2人で一緒にいたい、という夫婦でした〉

※週刊ポスト2015年6月12日号


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