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7%の経済成長続ける中国でも「心の病」が深刻な社会問題に

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 情報化社会ゆえなのか、経済成長を続ける国でもメンタルヘルスの問題は小さくないようだ。中国の情勢に詳しい拓殖大学教授の富坂聰氏が指摘する。

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 日本でも高齢化社会の到来とともに介護など、家族間の負担の問題が深刻となってきている。高齢の認知症患者を抱える家族の問題はあまりに深刻だ。そうしたなか、日本の後を追いかけるように高齢化が進み、また都市化の進展で家族の問題が大きな歪みを生み出している中国で、あらたな問題がスポットを浴び始めている。それが、精神疾患の患者の問題だ。

 中国メディアがこの問題を扱うのはそれほど多くはないが、5月18日付『華商報』は、〈中国の精神病重症者は1600万人もいるのに入院はわずかに12万人〉というタイトルで大きく取り上げた。

 分母の大きな中国の事情であり、また精神病患者のうちの重症者ということなので容易に比べることはできないが、日本における精神疾患の患者数は平成23年時点で約320万人。うち、34万4000人が入院している(厚生労働省ホームページ)とされる。

 認知症、統合失調症、うつ病、不安障害など日本の社会で頻繁に聞かれる病名で、新入社員が長期間休むといった現象が話題になったこともあった。

 数字を見る限り、いまだ7%も経済成長している中国が、その面で日本と同じような状況に陥っていることもうかがえるのだ。

 実際、この問題が大きく悲劇を各地で引き起こし、社会問題化している。そして、そのほとんどが社会と断絶する若者の暴力によって引き起こされていて、『華商報』によればその数は2011年には1万件を超えているのだという。

 記事では精神病患者が加害者になるケースと被害者になるケースをそれぞれ紹介しているが、被害者となった事件としては2010年7月13日、無職の患者が父親と弟によって縄で縛り付けられたまま死亡したものがある。原因は、患者の暴力がひどくそれを押さえつけるために過剰に縛ったことだと考えられた。

 また加害者となるケースでは2013年7月2日、63歳の老人夫婦が眠っている間に息子がこん棒と包丁で殺害した事件があげられている。こうした事態に当局も患者の入院ベット数の拡大に動くべきだとの訴えも多いが、問題はそう単純ではない。

 精神病患者の家族は、統計によればその約7割が家族に患者がいることを知られたくないと考え、さらに入院となったときに生じる金銭的な負担を嫌うというのだ。

 実際、入院したときの家族の負担は毎月4000元(約7万6000円)といわれていて、それは農村部の労働者の収入の7割弱、都市部のサラリーマンの半分にもなるから大変だ。かくして小さな家庭のなかで、家族がすべてを受け止めなくてはならなくなる。今後高齢化の進む中国で、この問題はますます大きな悩みになることだろう。


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