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西友 6年連続増収増益でも喜べない「ウォルマートの呪縛」

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 小商圏に攻め入るコンビニが生鮮食品を扱うなどしているために苦戦中のスーパーマーケットだが、そんな中で6年連続増収増益を記録しているのが「西友」だ。

 好調の秘密は、「EDLP(エブリデー・ロープライス=毎日安売り)」を掲げた究極の低価格戦略にある。

 これまで消費者から値下げしてほしい商品をツイッターで募る「サゲリク」キャンペーンを実施したり、「KY(カカクヤス)」、「家安(家のものを安く)」、「バスプラ(バスケットプライス)」といった西友独自のキャッチフレーズを作って値下げ商品のPRをしたりと、消費者が目を引くド派手な安売りマーケティングも奏功した。

 現在では、牛乳や食用油、米、ティッシュなど生活必需品約200品目の価格を6か月間据え置いて固定する「プライスロック」を実施中。原材料の高騰などで値上げ商品が相次いでいることもあり、増税後の節約志向で価格に敏感な消費者を巧みに取り込んでいる。

 しかし、なぜ西友はここまで低価格路線を貫けるのか。流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏が解説する。

「西友は2002年に世界最大の小売業、米ウォルマート・ストアーズの傘下に入って以降、店内オペレーションから商品調達、物流、人事制度に至るまで、すべてのコスト構造を効率化させるウォルマート流に変え、ディスカウントストアとして新たな成長を遂げました。

 低価格で利幅の大きいPB(自主企画)商品の比率を高めたり、生鮮食品を購入して満足できないお客さんに全額返金する制度を採ったりしているのも、日本では斬新に映りますが米国では一般的な販売手法。つまり西友は名前こそ昔のままですが、完全に外資系スーパーの“ウォルマートジャパン”として本国のグローバル戦略に組み込まれているのです」

 ならば、いまの西友の好調ぶりはさぞ本国の覚えがめでたいのだろうと推察できるが、実はそうでもないらしい。鈴木氏が続ける。

「世界中のウォルマートが各国でM&Aを繰り返しながら年間の売上規模を50兆円にまで拡大しているのに比べると、西友の規模は微々たるもの。本当は西友もM&Aをして日本の小売業界の中でもっとスケールメリットを発揮してほしいというのが本国の願いです。そのミッションがまったく実現できていないことで存在感は次第に低下しているのです」

 かつてダイエーの争奪戦に名乗りを挙げ、西友の最大のターゲットと見られていたこともあったが、あっけなくイオングループに持っていかれてしまった。

「ウォルマートは買収企業で大規模なリストラをしたり、取引先を変更したりするなど、従来の商慣習を無視した改革を断行するため、日本の小売業オーナーでもウォルマート流に強いアレルギーを持つ人は多い。イオンのダイエー買収は、そんな強烈な改革でかき回され、歴史あるスーパーを外資の手に渡らないようにするための『防衛策』でもあった」(業界関係者)

 西友にとって逃した魚は大きかったわけだが、引き続きM&Aによる規模拡大は狙っていくのか。

「既存店舗の改装や不採算店の閉鎖、ネットスーパー事業の強化など、いまの西友は高収益体質になるべくスクラップアンドビルドを続けていますが、M&Aも決して諦めているわけではないでしょう。

 主要なスーパーはすべてイオンかセブン&アイの傘下に入っているので、残るは地方で業績の振るわない中規模スーパーか、万年不況で苦しんでいるホームセンターなどが狙い目。特にホームセンターは店舗が大きく加工食品を扱っているところも多いので、ウォルマート流に展開させるには最適といえます」(鈴木氏)

 5月12日、西友では4年ぶりの日本人トップとなる上垣内猛CEOが誕生した。同氏は外資系日用品メーカー・ユニリーバの日本法人社長を務めた経歴を持つ。外資仕込みのドラスチック経営で、“ウォルマートジャパン”のブランド力をどこまで高めることができるか。


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