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大阪・千里ニュータウンで進む団地の建て替え最新事情

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大阪・千里ニュータウンで進む団地の建て替え最新事情

築50年前後の古い集合住宅とどう向き合っていくのか。建て替えには多くの時間とお金、手間もかかりなかなか前に進まないことも多い。しかし、日本初の大規模住宅都市として1962年にまちびらきが行われた大阪・千里ニュータウンでは多くの団地が建て替えられている。その現状をレポートしよう。
まちびらきから半世紀。日本初のニュータウンで急速に進む、団地の建て替え

冒頭の写真は千里ニュータウンの一角にある阪急千里線・南千里駅の真横で建設が進められている分譲マンションと、すでに完成した建て替えマンション群。駅のホームからも見える真新しいマンションは、ほとんどが建て替えによって誕生した建物だ。

また、隣の山田駅では、駅に隣接した5階建て団地型社宅の取り壊しが始まった。ここ数年、無人のまま放置されていたのだが、いよいよ計画が決まり工事が始まったようで、跡地には14階建て2棟の大型分譲マンションが建設される。

筆者は千里ニュータウンの一角に住み始めて10年あまり経つが、特にこの数年間で街並みが大きく変化していることに驚いている。いわゆる「団地」とよばれるハコ型の集合住宅がかなりのスピードで建て替えられているのだ。そこで、街をまわりながらその実態を調べてみることにした。【画像1】取り壊し前(左)と、工事が始まった団地型社宅(右)。阪急千里線山田駅に隣接した立地で、14階建てマンションとなる計画だ(写真撮影:井村幸治)

【画像1】取り壊し前(左)と、工事が始まった団地型社宅(右)。阪急千里線山田駅に隣接した立地で、14階建てマンションとなる計画だ(写真撮影:井村幸治)

最初に訪れたのは阪急千里線南千里駅前、「南地区センター」の再開発によって建てられた「千里ニュータウンプラザ」。この建物は吹田市の出張所や図書館、市民ホール、郵便局などが入居する複合施設だが、吹田市立千里ニュータウン情報館も入居している。【画像2】千里ニュータウンプラザ(左)と、阪急千里線南千里駅前で進められているマンション建設。公共施設の移転・再開発によって生まれた土地を再利用している。南千里もこの数年で大きく変貌したエリアでもある(写真撮影:井村幸治)

【画像2】千里ニュータウンプラザ(左)と、阪急千里線南千里駅前で進められているマンション建設。公共施設の移転・再開発によって生まれた土地を再利用している。南千里もこの数年で大きく変貌したエリアでもある(写真撮影:井村幸治)すでに1万戸近い集合住宅が建て替えによって誕生!

建て替えの実態を把握するために、千里ニュータウン情報館でいただいた住宅マップをベースにして、住宅のタイプ別に最新の状況を色分けしてみた。

1)分譲型団地住宅の建て替え(マップ赤色部分)
分譲型団地住宅の建て替え。所有権者の合意形成によって建て替えが行われるケースで、主要駅の近隣を中心に大規模な物件も多いことが分かる。ニュータウン内だけでも10件以上の団地が新しいマンションとなって生まれ変わっている。

2)公的賃貸住宅の建て替え(マップ紺色部分)
OPH(大阪府住宅供給公社)や大阪府営の賃貸住宅団地の建て替え。敷地の一部を民間デベロッパーなどに売却し、その資金を活用して建て替えているケースも多い。OPHは千里ニュータウン内の建て替え計画がほぼ完了し、大阪府営住宅でも多くの事業が進行中。

3)社宅、官舎、公共施設などの建て替え(マップ水色部分)
社宅や寮、公共施設や商業施設などの建て替えによってマンションが建設されているところ。所有企業や官公庁、自治体が自ら建て替え事業を行うケースもあれば、土地を売却して新たに分譲マンションなどが建設されるケースもある。【図1】千里ニュータウン再生連絡協議会が2013年に作成したマップを元に、筆者が加筆して作成 ※筆者の独自調査なので、間違いなどがあれば訂正いたします

【図1】千里ニュータウン再生連絡協議会が2013年に作成したマップを元に、筆者が加筆して作成(2015年5月時点)

分譲型団地の建て替えは1000戸を大きく超えているほか、OPH(大阪府住宅供給公社)は2300戸以上の建て替え事業をほぼ完了させ、府営住宅も約3000戸が3月までに完了済み。さらに社宅などを加えると、すでに1万戸に近い住戸が建て替えによって生まれていると思われる。

建て替えの現場を写真でご紹介しよう。

【画像3】新千里東町の分譲型団地建て替えマンションの一例。左にはURの賃貸団地(写真撮影:井村幸治)

【画像3】新千里東町の分譲型団地建て替えマンションの一例。左にはURの賃貸団地(写真撮影:井村幸治)
【画像4】北千里駅前のOPH(大阪府住宅供給公社)の賃貸住宅。売却された隣接地では分譲マンションが販売中だ(左)。その隣には高層化された府営住宅(右)(写真撮影:井村幸治)

【画像4】北千里駅前のOPH(大阪府住宅供給公社)の賃貸住宅。売却された隣接地では分譲マンションが販売中だ(左)。その隣には高層化された府営住宅(右)(写真撮影:井村幸治)
【画像5】千里藤白台住宅(府営住宅)の建て替え工事現場。住棟を順次高層化しながら工事が進められている(写真撮影:井村幸治)

【画像5】千里藤白台住宅(府営住宅)の建て替え工事現場。住棟を順次高層化しながら工事が進められている(写真撮影:井村幸治)建て替えのエンジンは、余裕ある容積率とアクセスのよさ・住環境

なぜ、これほどまでに建て替えが進むのか? 千里ニュータウン情報館で、その理由を伺ってみた。

「千里ニュータウンには建ぺい率や容積率に余裕をもった団地が数多くあります。分譲住宅では容積率の剰余分で建物を高層化、増えた住戸を売却した資金で建て替え費用をまかなうケースが多いようです。公的賃貸住宅でも、住棟の高層化と集約によって余る敷地を再活用し、不動産会社などへ売却することによって建築費を捻出しています。
2007年には地元自治体や都市再生機構によって“千里ニュータウン再生指針”がつくられ、プランに基づきながら再生計画が進められています」とのこと。

なるほど、容積率に余裕があったことがポイントのひとつ。しかし、建て替えで増えた住戸に住み手がいなければ計画は成り立たないはず。もうひとつの大切なポイントは、旺盛な需要があるということだろう。

千里ニュータウンは北大阪急行線(大阪市営地下鉄御堂筋線と直通)、阪急千里線の2本の鉄道が都心部とのアクセスを担い、ニュータウンを東西に横切る大阪モノレールは大阪空港とも直通という交通アクセス抜群の立地。また、計画的につくられてきた街並みは年月を経ることで、緑が豊かで優れた住環境を生み出している。

さらに、千里中央、北千里、南千里駅周辺の「地区センター」エリアでも再開発による商業・公共施設の建て替えが進み始めている。千里中央や南千里では、駅前でのマンション建設も進行中だ。その結果、2007年に9万人を切ったニュータウン内人口が、2014年には9万6000人と増加に転じている。

この千里の地に「住まいとしての価値」を見いだす人が多いのだ。

ただ、個人的には高層住宅が増えることで空が狭くなることを、とても残念に思っている(勝手な意見で申し訳ないですが)。ニュータウン内に9000戸の管理住戸があるUR賃貸住宅では、建て替えよりもリノベーションやDIY賃貸へのシフトを進めているようだ。多様な選択肢を残すという意味でも、古い団地にもがんばってほしい!【画像6】UR千里青山台団地の交差点、団地の空はとても広い(左)。UR千里津雲台団地ではDIY賃貸のモデルルームも公開中だ(右)(写真撮影:井村幸治)

【画像6】UR千里青山台団地の交差点、団地の空はとても広い(左)。UR千里津雲台団地ではDIY賃貸のモデルルームも公開中だ(右)(写真撮影:井村幸治)●取材協力
千里ニュータウン情報館
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/05/28/91040/

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