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美容師を口コミサイトで名指し批判したら名誉棄損?

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Q.

 口コミサイト(公然の場)で、美容院などの担当者を名指しで批判した場合は名誉毀損で訴えられますか?美容院自体の批判は法人として扱われるため裁判になった場合、名誉毀損は認められないと思うのですが、個人の場合はどうなるのでしょうか(例:○○美容院の担当○○さんにカットしてもらいましたが、仕上がりも対応も悪く二度と行きたくありません、など)。

(20代:女性)

A.

 ご相談内容では、「訴えられますか?」とだけの記載しかありません。そのため、民事上のお話なのか、刑事上のお話なのかわかりかねますので、両方お答えいたします。

 まず刑事上のお話について。ご相談内容にあるように「○○さんのカットは仕上がりや対応が悪く、二度と行きたくない」と口コミサイトに記載した場合、名誉棄損罪(刑法230条)か侮辱罪(刑法231条)のいずれかに当たる可能性があります。
 名誉棄損罪が成立するには、「公然と」「事実を摘示(内容の真偽を問わない)して」「人の名誉を毀損した」場合に成立します。
 公然とは、不特定多数の人が認識しうる状態を示します。口コミサイトなどへの投稿はこの要件を満たすことになります。事実の摘示とは、社会的信用を低下させる具体的事実です。ご相談にあるような「カットの仕上がりが悪い」などの内容があてはまる可能性はあります。その結果、社会的信用が低下した場合、人の名誉を毀損したという要件を満たすことになります。

 ただ、「カットの仕上がりが悪い」「対応が悪い」という内容の場合、「事実」ではなく「主観的な評価」とも言いうる状況です。となると、名誉棄損罪は成立せずに、侮辱罪(刑法231条。事実を摘示しなくても公然と人を侮辱した場合に成立。公然性については名誉棄損罪と同じ)が成立する可能性があります。
 したがって、どのような内容を書き込むかによって名誉棄損罪か侮辱罪のいずれかが成立する可能性がある点には注意が必要です。ちなみに、名誉棄損罪も侮辱罪も法人、個人いずれに対しても成立しうるものとされています。

 次に、民事上の点についてお答えします。ご相談のように口コミサイトに美容師さんの対応の悪さやカット技術の低さを書き込んだ場合、不法行為責任に基づく損害賠償請求をされる、つまり「訴えられる」可能性はあります(民法709条710条723条など参照)。不法行為とは何がしかの手法によって相手の権利を侵害することを意味します。名誉毀損の場合、言動などによって人格的価値についての客観的評価を低下させる行為となります。

 名誉毀損による不法行為(に基づく損害賠償)が成立するためには、「名誉毀損などの行為」「それに対する故意または過失」「社会的評価の低下などの権利侵害」「損害の発生」「一連の因果関係」などが挙げられます。口コミサイトに書き込みを行い、それによって来客者数が減少したり、名指しで書き込まれた美容師さんが精神的な苦痛を受けた、などのことがあると不法行為が成立しうるということになります。

 このように口コミサイトへの悪評の書き込みは法的にかなり問題があるといえます。様々な口コミサイトが乱立し、お店側もこれらを容認していたりする背景があるため、問題が表面化していないだけとも言える状態です。
 仕上がりや対応が悪かった場合、いきなり口コミサイトに書き込むのではなく、たとえば店長などの責任者に相談して改善を求めたり、美容師さん本人に真摯に要望を伝えるなどして、満足いく結果を得られるように工夫するというのも一つの方法ではないかと思います。

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美容師を口コミサイトで名指し批判したら名誉棄損?

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