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偽名を使った場合の法律問題

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偽名を使った場合の法律問題

 岐阜県警北方署は5月21日、商業施設で計4465円相当の商品を万引きした疑いで5月13日に逮捕した自称「福山雅治」容疑者の身元が判明したと発表しました。同署の発表によると、男性は容疑を認めており、調べに対し、「新聞などに名前が載るのが恥ずかしくて、偽名を使った」と供述しているという。この男性は2013年に窃盗の疑いで逮捕されたときも「福山雅治」を名乗っており、身元の特定ができないまま起訴され、裁判でもそのまま通したそうです。
 今回は、偽名を使った場合にどのような問題があるかについてみてみたいと思います。

 今回のように逮捕されて偽名を名乗り、調書に署名、指印をした場合には、私印偽造・同不正使用の罪に問われることになります(刑法167条)。この場合3年以下の懲役に処される可能性があります。

 これ以外にも、偽名を使用した場合に法律で処罰されるケースが多くあります。

 例えば、速度違反のような交通違反で摘発された際に、知人の名前を詐称して交通反則切符に署名をした場合は、有印私文書偽造・同行使の罪に問われます(刑法159条)。
 偽名を使って就職しようと考えて、偽名を記載して自分の顔写真を貼った履歴書と雇用契約書を作って提出した場合にも、私文書偽造罪・同行使の罪に問われます。偽名を使って大学入試を受ける(なりすまし受験)場合も、同様です。
 数年前にあった珍しいニュースでは、資格試験予備校で講師をしている司法書士が2度にわたって偽名受験をしたケースがあります。筆記試験には合格したものの、口述試験に姿を見せないことで発覚したとのことです。この司法書士は、刑事処分こそ受けなかったものの、社会的信頼を損なったという理由で2週間の業務停止を法務局から受けています。

 ホテルに宿泊する場合に、自分の個人情報を渡したくないとして、偽名を用いる場合はどうでしょうか?
 私文書偽造罪の「私文書」とは「権利、義務、若しくは事実証明に関する文書」を指しますので、ホテルの宿泊カードはそれには当たらないといわれています。しかし、旅館業法は、宿泊者にホテル側から請求があった場合は、宿泊者名簿に指名、住所、職業その他の事項を記載することを義務付けています(旅館業法6条1項、2項)。違反した場合には、拘留又は科料に処される場合があります。このように刑法では処罰されなくてもその他の法律で処罰される場合もあります。(もっとも旅館業法で処罰をされた人はいないそうです。)

 では、偽名を使って異性と交際をする場合はどうでしょうか?
 このような場合を罰する法律は存在しません。しかし、交際した態様によっては、相手からの慰謝料請求に応じなければならない可能性が高いでしょう。

 いずれにしても偽名を使ってもいいことはないようです。今回の事件は、使われた福山雅治さんにとってもいい迷惑ですね。

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