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桑田真澄「少年野球から蓄積した投げすぎは日本野球の弊害」

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 日本球界随一の“頭脳派投手”桑田真澄氏は38歳で米大リーグに挑戦した。メジャー挑戦でわかった日本野球との違い、少年野球による弊害について、桑田氏が語った。

 * * *
 僕の場合、選手としての全盛期ではなく最晩年のメジャー挑戦でした。ですからメジャーのマウンドに立つことに加えて、「アメリカの野球をメジャーからマイナーまで直接見て、その後の野球人生に役立てること」を目的にしていました。

 メジャーは「パワーとスピード」がすべてというイメージで渡米しましたが、実際にプレーしてわかったのはトップ選手は細かい技術も日本以上だったことです。エース級はフォームも良くコントロールも素晴らしい。好打者は地道な練習を丹念に積み重ねていた。

 その上メジャーの首脳陣は日本野球を研究していて、エンドランやバントなどスモールベースボールを吸収している。「体格が段違いなのに細かい野球までやられてはかなわない」というのが正直な感想でした。

 ただしメジャーに日本流のスモールベースボールが「根っこ」まで浸透しているかは疑問です。それは相手を思いやるプレーのこと。たとえば捕球した相手が次の動作に移りやすい位置にタイミングよくボールを投げたりといった繊細な配慮は日本の選手のほうが何倍も優れています。メジャーの大多数はやはり「オレが、オレが」の世界で、バントや中継プレーの真髄をどこまで理解しているか疑わしいところがありました。

 こうした差は日本の野球の長い歴史、特に高校野球で培われたものでしょう。日本人選手のきめ細やかな配慮はグラウンド外でも目立ちます。グラブの手入れも、練習前の入念なウォームアップも日本人は特別です。メジャーは大雑把な選手が多く、道具の手入れは担当者任せ、試合前練習も連戦で疲れていると一切やらない。僕が若手中心のパイレーツで受け入れられたのは、そういった入念な準備が彼らにとって驚きだったからだと思います。
 
 退団翌年に評論家としてパイレーツのキャンプを訪れると、僕がしていた準備運動は「KUWATAストレッチ」として練習メニューになっていました(笑い)。

 しかし日本の野球には弊害もあります。肘や肩の酷使です。ダルビッシュ有君や田中将大君の故障も、少年野球の頃から蓄積した投げ過ぎが一つの原因になっていると僕は見ています。

 あくまでも経験論ですが、高校時代に強豪校のエースだった投手は、プロ入り後約10年が危険な時期となるのでは。少年野球の段階から指導者が肘や肩に負担のないフォームを研究し、連盟は球数や連投を制限するルールを徹底するなど、関わる大人が考え方を根本的に変えない限り同じことが繰り返されるでしょう。

■くわた・ますみ/大阪府出身・47歳。PL学園から読売巨人軍に入団。2007年にピッツバーグ・パイレーツへ移籍。2008年に現役引退後、早大院卒。現在は野球解説者。

※週刊ポスト2015年5月29日号


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