大工・とび・塗装…子どもたちの“わくわく”職人体験記

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【画像7】(おそらく)人生初ののこぎり体験(写真撮影:寺島由里佳)

住宅業界では、職人不足が問題となっている。1990年に約73万人いた職人が、2010年には約40万人と半減した。そんな中で、ユニークなイベントを始めた企業がある。大工、左官、塗装、とび、建具などのプロの職人が、家づくりのノウハウを子どもたちに直接教えるというものだ。面白そうではないか! さっそく、潜入してみた。
今ではキャンセル待ちが出るほどの人気イベント

職人不足とはいえ、「将来は大工さんになりたい」ーーそう答えた子どもは5%近くいる。これは、ランドセル素材などを製造・販売するクラレ(東京都千代田区)が昨年末に調査したもの。

この春、小学校に入学する子ども4000人に「将来就きたい職業」を聞いたところ、男子の1位は当調査開始以来17 年連続で「スポーツ選手」(26.1%)。以下、「警察官」(11.4%)、「運転士・運転手」(7.8%)と続くが、「大工・職人」(4.4%)も6位と健闘している。

人気の職業といっていいだろう。しかし、実際は人手不足となると、子どもたちが大きくなるにつれ、心変わりをしてしまうのだろうか。

とにもかくにも、先述のイベントを実施しているのは、多摩地域を中心に家づくりを手がける相羽建設(東京都東村山市)だ。その名も「わくわく家づくり体験 こども工務店」。子どもたちが大工さんなどの職人から直接家づくりのノウハウを学べるワークショップだ。

【画像1】参加者がもらえる冊子(写真撮影:石原たきび)

【画像1】参加者がもらえる冊子(写真撮影:石原たきび)

「こども工務店は『家づくりに携わる職人さんの手仕事を、より多くの地域のお子さんたちに知ってもらいたい』という想いから、4年前に相羽建設と職人さんたちの手によって立ち上げられました。開催当初は参加者がなかなか集まりませんでしたが、職人さんたちが毎回工夫を凝らしてつくる体験ブースの魅力に、だんだんとリピーターの方や口コミも増え、今ではキャンセル待ちが出るほど大人気のイベントとなっています」(広報部・吉川碧さん)「エイエイオー!」でスタート

今年の開催は4月19日(日)で、会場は相羽建設の工場・AIBAワークス(東京都東村山市)。午後の部に顔を出すと、多摩地域在住の子どもたち(5歳以上)約50人と、そのご両親でにぎわっている。

参加費用は材料費の500円のみ(保険料含む)。事前準備や当日の対応を含め、職人さんたちのボランティアで成り立っているイベントだ。

【画像2】支給される大工さんや職人さんがよく腰につけている道具入れ(くぎ袋)とカラフルな軍手もかわいい(画像提供:相羽建設)

【画像2】支給される大工さんや職人さんがよく腰につけている道具入れ(くぎ袋)とカラフルな軍手もかわいい(画像提供:相羽建設)

さて、スタッフによる簡単な説明と注意事項の伝達ののち、いよいよイベントが始まった。

【画像3】みんなで元気よく「エイエイオー!」(写真撮影:石原たきび)

【画像3】みんなで元気よく「エイエイオー!」(写真撮影:石原たきび)切り落とした木切れは記念にもらえる

会場内には、左官、タイル、内装、建築家、塗装、建具、大工、電気、とび、エクステリア、水道という11のブース。それぞれにはプロの職人さんがおり、完全に家1軒を建てられる布陣だ。

【画像4】タイル貼りはパズルのよう(写真撮影:石原たきび)

【画像4】タイル貼りはパズルのよう(写真撮影:石原たきび)

【画像5】大工ブースでミニ家づくり(写真撮影:石原たきび)

【画像5】大工ブースでミニ家づくり(写真撮影:石原たきび)

【画像6】こちらが完成形(写真撮影:寺島由里佳)

【画像6】こちらが完成形(写真撮影:寺島由里佳)

【画像7】(おそらく)人生初ののこぎり体験(写真撮影:寺島由里佳)

【画像7】(おそらく)人生初ののこぎり体験(写真撮影:寺島由里佳)

【画像8】切り落とした木切れは記念にもらえる(写真撮影:石原たきび)

【画像8】切り落とした木切れは記念にもらえる(写真撮影:石原たきび)

【画像9】人気だったショベルカーコーナー(写真撮影:石原たきび)

【画像9】人気だったショベルカーコーナー(写真撮影:石原たきび)「ふだん子どもに教える機会はないので、僕らの方が楽しい」

【画像10】かんな掛け体験も(写真撮影:石原たきび)

【画像10】かんな掛け体験も(写真撮影:石原たきび)

見ていると、子どもたちはみな夢中だ。そして、飲み込みが早いのだ。かんなもするすると削っている。じつは、この後で筆者もやらせてもらったが、正直、子どもの方が上手い。

かんなブースを担当していた阿部昌行さんは、「ふだん子どもに教える機会はないので、逆に僕らの方が楽しんでやっています。そして、この中の何人かが将来職人になってくれれば(笑)」と言っていた。

子どもたちにも「何が楽しかった?」と聞くと、「のこぎり」「タイル」「ショベルカー」とそれぞれ答えが違う。その調子でうまく分散すれば、住宅業界も安泰だろう。

また、このような体験をすることで、ひとつの風景として見てきた”家”が、じつはさまざまな人が力を合わせることによって出来上がるということにも気づくに違いない。

【画像11】ほとんどの子どもが「修了済み」はんこをコンプリートする(写真撮影:石原たきび)

【画像11】ほとんどの子どもが「修了済み」はんこをコンプリートする(写真撮影:石原たきび)●取材協力
・相羽建設/相羽建設と職人さんたち
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/05/21/84237/

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