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【変わりダネ基地局探訪記 その2】 南国・高知にそびえる、ロケットみたいな基地局

スマホやケータイは電波でネットワークとつながっている。その中継地点となっているのが「基地局」だ。全国にある基地局の多くは電柱のようなコンクリート柱や鉄塔にアンテナを付けたオーソドックスな形をしているが、なかには個性的な特徴をもったものもある。こちらの連載では、TIME & SPACE編集部が各地をめぐり、そういった「変わりダネ基地局」紹介していきます。

見た目も技術も、近未来を先取り

今回、編集部は南国・高知へ向かった。そこに、一見するとロケットのような近未来デザインの基地局があるという。なんでも、アモルファス太陽電池を丸い支柱に”巻きつけた”基地局なのだそうだ。

その基地局の写真がこちら。高知県南部、香南市夜須町の太平洋を望む高台の一画に、空に向かって今にも飛び出さんばかりにそびえ立っている。ワインレッドの部分が、アモルファス太陽電池が巻きつけられている部分だ。



南国の青空を背景にそびえる基地局の姿はまるでロケットのよう。柱の長さは36m。高台にある分、大きく見える(写真:KDDI資料)

巻き付け式のソーラーパネルは、当時も今も最先端の技術で、おそらく日本初の導入事例。そのあとも、曲面にソーラーパネルを巻きつけたケースは報告されていないようだ。見た目も近未来なら、技術も近未来を先取りしているというわけだ。

それにしても、こんな写真を事前に見せられたら、取材に行くのに気分が弾まないわけがない。さんさんと降り注ぐ太陽の光を浴び、せっせと電気をつくる基地局の姿をこの目で見られるものだと、取材班の誰もが信じて疑わなかったのだが……。

曇ときどき雨、ところにより霧。のち、肩透かし……

取材のはじめにまず向かったのは、香川県高松市にあるKDDI四国支社。夜須町のソーラー基地局の建設・品質管理を行うエンジニアの方に詳しい話を聞くためだ。

高松に着くと、待っていたのは灰色の曇り空。時折、雨もちらつき、うっすらと霧が立ち込めてさえいる。誰も口にはしないが、取材班を取り巻く雰囲気が一気に重くなる。
(いや、高知では晴れているかもしれないし……)
そんな一縷の望みを胸に、エンジニアの方との打ち合わせに臨む。

取材班に対応してくださったのは、山本圭作さんと尾方勇雄さんのお二人。

お話によると、夜須の基地局が建てられたのは、携帯電話が一般に普及し始めた1996年のことだという。その頃、「au」はまだ存在していない。当時は、KDDIの母体企業であるIDO(日本移動通信)とDDIセルラー電話グループが携帯電話サービスを提供しており、同グループの「四国セルラー電話」が夜須の基地局を建てた。

その後、2000年にDDIとKDD、IDOが合併してKDDIが発足し、携帯電話サービスの統一ブランドとして「au」が誕生する。夜須局にソーラーパネルが巻き付けられたのは、さらにそれから10年近く経ったあとのことだ。

ちなみに、夜須局の鉄塔の中は、人が入って上まで登っていけるようになっているのだとか。普通の基地局は、電柱のように柱に固定されたボルトを伝って登っていく単純な構造をしているが、夜須局の特殊な構造が、ソーラーパネルを巻きつけるのに十分な太さを提供することになったのだという。

エンジニアの山本圭作さん(左)と尾方勇雄さん(右)。山本さんはDDIグループの「関西セルラー電話」の出身、尾方さんは「四国セルラー電話」出身だ

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