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三鷹市の公立・小中一貫教育とは? 全国から視察が相次ぐワケ

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2回にわたって紹介する公立の小中一貫教育。前回は東京都品川区だったが、今回は東京都三鷹市の小中一貫教育を紹介する。全国の自治体から視察が絶えないということだが、どんな特徴や魅力があるのだろうか?
全ての教員が小中学校を兼務し、9年間の学力向上をサポート

三鷹市では、長年培ってきた保護者や地域住民との「コミュニティ・スクール活動」をベースとした対話・参加型の小中一貫教育を実施している。平成18年に導入して以来、小中学生の学力は向上し、中学生の不登校出現率が減少していることが、下記のグラフより分かる。

【図1】三鷹市の小学校5・6年生の平均正答率(画像提供:三鷹市教育委員会)

【図2】三鷹市の中学校1・2年生の平均正答率(画像提供:三鷹市教育委員会)

【図3】中学生の不登校率(画像提供:三鷹市教育委員会)

「三鷹市の小中一貫教育に視察が多い理由は、既存の仕組みの中でできるからでしょう。実際、三鷹市では小中学校の施設や体制はほぼそのままです。小中学校の教員同士はもちろん、保護者や地域住民に参画していただくことで9年間の義務教育の向上を図っています」と三鷹市教育委員会の教育施策担当課長は話す。

三鷹市には小学校と中学校が一体となった学校施設はない。小学生は小学校に通い、中学生は中学校に通う。
しかし、従来と大きく異なる点がある。それは三鷹市の全ての教員が中学校と小学校を兼務していることだ。
品川区の記事でも書いたが、小学6年・中学3年制における課題が、小学校と中学校のギャップの大きさだ。中学校に入ると授業の難易度が一気に上がり、ついていけない生徒が増える。その緩和のために三鷹市が行っているのが、小中学校の教員が相互に乗り入れて授業を行うことだ。

「中学校の数学の先生が小学校に行って小学6年生に算数を教えたり、中学校の数学の授業に小学校の算数の先生が生徒のフォローに入ったりしています。こうした相互乗り入れ授業以外に、全ての教員が系統性と連続性のある指導を9年間一貫して行うために作成した小中一貫カリキュラムに基づいて授業をしています」(担当課長)。保護者や地域住民が学校運営に参加するしくみ「コミュニティ・スクール委員会」

三鷹市の小中一貫教育のもう一つの特徴が市民の積極的な参画だ。三鷹市では市内を7つの学区(学園と呼ぶ)に分けて、学園内にあるそれぞれの小中学校の「学校運営評議会」を置くとともに、小中一体の運営ができるよう「コミュニティ・スクール委員会」という組織を設置している。

【図4】コミュニティ・スクール委員会を中核として小中一体運営を行う(画像提供:三鷹市教育委員会)

「三鷹市では、全ての小中学校に学校運営協議会を設置することが義務付けられています。メンバーは保護者や地域住民などで構成され、校長が作成する教育課程や基本方針を承認したり、学校運営に関する意見を述べたりします」(担当課長)。コミュニティ・スクール委員会が承認したことを学校運営に反映し、結果を検証するPDCAサイクルを年に2回まわすことで改善する。小学生と中学生、“縦の交流”で主体性や社会性を育む

保護者や地域住民のボランティア活動が盛んなことも特徴だ。「学習アシスタント」とよばれるボランティアの方が1万7807人(平成26年度)もいる。算数の九九、国語の作文、パソコンの使い方など授業中に子供に寄り添って先生の指導を補助する。

『熟議』と呼ばれる活動も盛んだ。その意味を辞書で引くと「十分に議論を尽くす」とあるが、文字通り、先生、保護者、生徒、地域住民などが議論を重ねて行う自主的な取り組みを指す。「例えば、学園内における防災の取り組みを先生や地域住民が議論して提案したアイデアを授業で活かしたり、実行したりしています。進行役を中学生が担い、小中学校の子供たちが主体的に行う『子供熟議』なども行っています」(担当課長)。

小学生が中学校の部活動に参加して中学生が小学生を指導したり、中学生が小学校低学年を世話したりするボランティアなど小学生と中学生の交流も盛んだ。「兄弟や姉妹が少なく、人間関係が希薄になりつつある現代にあって、こうした“縦の交流”は社会での役割認識や自己肯定感の向上につながります」(担当課長)。

少子高齢化が進む日本で、昔のような小中学校のコミュニティー活動を核とした人間性や社会性の育成機能は崩壊しつつある。そんな中、三鷹市のモデルは全国の公立小中教育の1つの方向性を示すものと言える。

今回紹介した品川区や三鷹市以外にも小中一貫教育に取り組む自治体は増えている。文部科学省で行われている審議会の議事録などを見ると、政府も小中一貫教育を制度化して普及に前向きな様子だ。ただ、一方で選択の自由が少なくなるなどの弊害も指摘されている。

住まい選びの際、子供の義務教育をどこで受けさせるかは重要なファクターだ。公立だからどこも同じだと思わず、自治体に問い合わせたり、学校を見学したりするなどして積極的に情報収集することが大切だ。・公立でもここまで実践的!? 品川区の小中一貫教育に注目!
元記事URL http://suumo.jp/journal/2015/05/19/84015/

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