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早期治療で失明回避したい 緑内障・糖尿病性網膜症等の疾患

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 眼球の一番奥にある網膜(もうまく)は、厚さ0.2ミリほどの薄い膜で、硝子体を通して入った光情報が網膜にある視神経から脳に伝達される。カメラにおけるフィルムの役割のようなもので、網膜の病気が悪化すると失明することも少なくない。

 1991年の日本の視覚障害の原因は、1位が糖尿病性網膜症で、2位が白内障だったが、2007年では緑内障、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症、加齢黄斑変性(おうはんへんせい)の順となり、手術の普及で白内障は10分の1以下に減少している。

 日本大学病院アイセンター科長の島田宏之教授に聞いた。

「網膜の疾患による視力の障害は、視野の一部が欠けたり、ゆがんだりが徐々に進むので、気付きにくいことが特徴です。進行すれば失明の危険がありますが、早期発見で治療すれば、約60%で失明が避けられます」

 緑内障は眼圧の高さが原因といわれるが、日本人は眼圧が正常の範囲内にある正常眼圧緑内障が多い。眼圧の正常値は10~20mmHgで、それを超えると高眼圧というが、検査で15mmHgでも通常が8mmHgだとしたら、ほぼ倍なので眼圧が高いことになる。正常眼圧緑内障は、40歳以上の日本人の20人に1人が発症し、70代では10%を超える。

 眼圧が上がる原因として、房水(ぼうすい)の滞留がある。眼の中では房水が常に一定量作られ、水晶体や角膜に栄養を補給している。房水はシュレム管から排出されるが、何らかの原因で房水の産生と排出がアンバランスになると眼球の内側の圧力が高くなり、視神経が圧迫され視野の障害が起こる。一度、視野障害になると元には戻らない。治療は、房水の産生を抑制する点眼薬や水の出口を広げるレーザー治療等を行なう。

「糖尿病の増加で問題なのが、糖尿病性網膜症です。糖尿病発症後10年で、I型は100%、II型でも60%で網膜症になります。初期は網膜の毛細血管から血液成分や脂肪が滲み出し、白斑(はくはん)などが沈着しますが、徐々に出血や血管新生が起こり、次第に硝子体に新生血管が増殖し、硝子体出血や網膜剥離(はくり)の原因となります」(島田宏之教授)

 この病気は、物を見る中心の黄斑部が障害されていないと本人はあまり気付かない。治療は特殊なコンタクトレンズを付け、黄斑部を避けてレーザーを照射する。

 重症例には、眼の中に特殊な器具を挿入し、出血部分を切除して吸い取る低侵襲(ていしんしゅう)の治療が行なわれている。顕微鏡を用いて眼球に3か所、0.4ミリないし0.5ミリの細い器具を刺して治療を実施する。多くが60分以内で治療が終了し、傷が小さいので縫合の必要がなく、傷は自然に閉じてしまう。

 糖尿病性網膜症は、新生血管や出血部が増殖することで網膜剥離のリスクが高くなる。糖尿病と診断されたら、視野の障害などの症状がなくても眼科診療が欠かせない。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2015年5月22日号


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