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外国人事件パート3

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 おいしい中華料理屋があり、よく食べに行っていた。経営者はその国の人である。そこに出入りしている人たちとも顔見知りになった。その中にAなる人がいて、刑事事件で逮捕されたBとの接見弁護を依頼された。そんなに変わった人であるようにも思わなかったので、気軽に引き受けた。

 いつもは、私の知り合いに通訳を頼んでいるのだが(弁護士会登録通訳人)、Aは自分の知り合いの日本人で通訳をできる人がいる、通訳料も安いので、その人に通訳をお願いしたいという。警察や拘置所は弁護士を信頼しており、通訳となる者に特段の制約もなく、弁護士会登録通訳人でなくとも問題はない。しかもその人は日本人女性であったことから、その人を通訳人として接見を開始した。

 まずは、弁護士会が出している小冊子に掲載してある刑事手続の概要、身柄拘束を受けた人の権利などを通訳人に読み上げてもらった(各国語で書かれている)。その後事件のことなどをいろいろと質問するのだが、どうも私の一言の質問を、通訳人は二言も三言も話し、相手もそれ以上に話をしている。念のため、通訳人に私の言ったことだけを機械的に通訳してくださいと頼んだのだがどうもおかしい。ただ、法廷通訳でも、通訳の業務を忘れて同国人を叱咤しているような人もいたことから(裁判所から注意されてもやめなかった)、おかしいなという程度の疑問で接見は終了した。

 その後、私は中華料理屋でAから日当をもらう手筈になっていたので、そこに行くことを女性に告げると、自分もAに用事があるので同行するという。待ち受けていたAから日当を受け取って、鳩の肉をつまみにビールを飲んでいると、隣のテーブルでAと女性が話している。あちらの言葉なので内容はまったく分からないが、そのうち女性が泣き出した。雰囲気がおかしくなってきたので、いつも使っている通訳人にそっと連絡をとり、時間があるならその中華料理屋に来てくれるように依頼した。

 しばらくして、その人が来たので、料理を追加注文して、小声で今回の通訳同行と通訳状況のあらましを話して、隣のAと女性が何を話しているのかを聞き取ってくれるように頼んだ。
 その結果、何と、通訳を買って出た女性は逮捕されている被疑者Bの妻であり、今後どうなるのか心配でAに相談をして泣いているということが分かった。驚くよりも、怒り心頭であった。被疑者にはもちろん接見禁止が付いており、それをかいくぐるために通訳人として接見をしたのだ。体よく私はそれに利用されたということである。Aや通訳人をうかつに信じた私にも大きな落ち度がある。

 隣のテーブルに行き、本物の通訳を介してAと話をし、また偽通訳の日本人妻とも直接話をした。この際Aが仕組んだことなのか日本人妻が仕組んだことなどはどうでもよかった。私を騙したことに対しての文句を言いまくるだけであった。興奮していた私は、警察に事情を説明しに行くと言ったが、日本人妻から泣いて懇願されたので、それだけはかろうじてやめておいた。今思い出しても腹が立つし、自分のうかつさが情けない。よもやそんなことがあるなど思いもしなかったが。
 何でもありが、この国の人たちのやり方などである。

 受領した日当をそのままAに返して、中華料理屋を後にした。受け取っておいてもよかったかな、とは思いつつ。

元記事

外国人事件パート3

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