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ブータンは本当に幸福な国なのか?旅する雑誌『LOCKET』が紐解く

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Photo credit: Yosuke UCHIDA「10DAYS IN BHUTAN!

「幸せとはなんですか?」と聞かれたら、あなたはどのように答えますか? 幸せとは、数値化できるものでも、目に見えるものでも、共通するものでもありません。しかし、それは人生を左右するほど大切だと、誰もが認めるのではないでしょうか?

今回「しあわせのありか」をテーマに、雑誌『LOCKET』を作った内田洋介さん(23歳)に、誌面で多くのページを割いているブータンという国、そして内田さんの価値観などを中心に話しをお伺いしました。

ーなぜブータンを選んだのでしょうか?
旅雑誌は場所を中心に考えて特集することが多いと思うのですが、今回、自分で雑誌を作ろうと思ったときに「場所」ではなく、ひとつの「価値観」を持って複数の地域を見たいという気持ちがありました。既存の平面的な世界地図から飛び越えて、新しく立体的な姿に描きたいと思ったのです。そこで「幸せ」というキーワードを設定し、世界で最も幸福な国と言われているブータン、そしてデンマークと小値賀島を選びました。

ーブータンに行って強く感じたことはどんなことですか?
それが事実かどうかは別として、彼らの考え方である「受け入れること」というのが、幸福大国と言われる大きな要因なのかなと感じました。背景には、仏教の価値観の「寛大な心」が基礎にあることや、ヒマラヤ山脈の端に面した地理的要因が挙げられます。何があっても慌てない、工事などで渋滞していても「しかたない」「待とうよ」という余裕を常に持った、おおらかな国民性なんです。また、過酷な自然環境の中での生活が強いられるため、それに適応した伝統住宅や食文化なども多いです。そのようにして生活の中で培われた「受け入れる」という姿勢が「幸せ」のヒントだと思いました。

ーブータンは世界一幸せな国でしたか?
僕は世界一とは言えないと思っています。「世界で最も幸福な国」というのも、ブータンが宣言したものではなく「自分たちは国民総幸福量(GNH)の1位を目指す」と言っただけで、世界一幸福な国という印象を世界から勝手に持たれただけです。他国と比較して世界一と思われることをブータン人がそこまで望んでいるとは思えないし、正しい見方ではない気がします。

ただ、彼らに「幸せですか?」と聞くと、彼らは「幸せです」と言うんですよね。彼らの「幸せ」というのは「今日は家族と一緒に唐辛子とご飯が食べられた」とか「年を取って、畑仕事の代わりにお寺に参拝する時間が増えた」というようなことなんです。「今日を受け入れる」「今日を肯定する」という気持ちを持っています。僕からしたら正直、幸せには思えないことも多いですが、「彼ら自身が幸せだからいいのかな」と思ってはいます。

Photo credit: Yosuke UCHIDA「10DAYS IN BHUTAN!

ー世界各国を旅して、国によって価値観は違うと思うのですが、それに関してのエピソードはありますか?
仏教国であるミャンマーでタクシーに乗っていたとき、ドライバーが仏塔を通り過ぎる刹那、突然会話を止めてハンドルから手を離して両手を合わせたことがありました。それは一瞬の出来事だったのですが、ミャンマーの旅の中で最も強く仏教信仰という自分の外にある価値観を感じた瞬間でした。
トルコでは、イスラームに「旅人 (=巡礼者)をもてなす心を持ちなさい」という教えがあります。僕が東端のワンという街の郊外でヒッチハイクをしていたとき、車を止めてくれた家族が、僕を夜空の下での一族のピクニックに招いてくれました。そういった瞬間や体験があったときに、その国が凝縮されたような深い価値観の違いを感じます。

インタビューの後半では、内田さんが「価値観」というものに意識を向けるようになったきっかけなどについてお伺いします。

[内田洋介(うちだようすけ)1991年生。中学2年生から国内一人旅を始め、大学在学中のフリーペーパー制作をきっかけに、雑誌や書籍の編集に携わる。2015年3月に旅雑誌『LOCKET』を創刊。旅行記の他、ノンフィクション作家・探検家の角幡唯介氏や山伏の坂本大三郎氏などのインタビューを掲載し、全国30軒以上の書店で展開中。 http://locketmag.tumblr.com]

ブータンの旅行記はこちら

*内田洋介「10DAYS IN BHUTAN!

(ライター:赤崎えいか
Photo by: 赤崎えいか

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