ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

SIMロック解除の理想と現実

DATE:
  • ガジェット通信を≫

総務省指導の下、5月1日以降発売される機種に対し、キャリアによるSIMロックの解除が義務化されました。これまでキャリア主導で垂直統合型だった携帯電話のビジネスモデルに風穴を開け、利用者がより自由に端末・キャリア(MVNO含む)を選択できるようにしようという試みでもあります。
ですが、台頭してきたMVNOに契約者を奪われたくない大手キャリア側の思惑もあり、そう簡単には進んでいないのが現実。各キャリアの対応を比較してみました。

 

2015年5月以降に発売される機種の対応

 

ドコモ

au

ソフトバンク

最低利用期間

6ヶ月

180日

未発表

手続き方法

Web、電話、ドコモショップ

Web、auショップ

未発表

手数料

Web:無料
電話:3,000円
ショップ:3,000円

Web:無料
ショップ:3,000円

未発表

その他条件

契約者本人の購入履歴がある機種であること

ドコモを解約済みの場合、解約日から3ヶ月以内であること

特に無し

未発表

 

各社の対応を見ていきましょう。

 

ドコモの場合
ドコモはこれまで最も柔軟にSIMロック解除に応じてきたキャリアでした。手数料は3,000円かかりましたが、その他は特に制限なく解除が可能でした。が、5月以降発売の機種に関しては、購入後半年経たないと解除できず、更に「契約者本人の購入履歴がある機種」という但し書きがあり、中古で購入したドコモ端末を持ち込んでのロック解除は不可能になりました。以前よりも制限が厳しくなっていますが、他社がこれまでロック解除にほぼ応じていなかったことを考えるとこれまでが寛容過ぎた、とも言えます。

 

auの場合
auはこれまでSIMロック解除に応じていませんでした。ただ、3Gの通信方式(CDMA2000)がドコモ・ソフトバンク(W-CDMA)と異なっていたこともあり、解除する意味が薄かった(解除しても他社ネットワークで利用できない)ことも一因と思われます。

基本的には5月以降発売の機種でロック解除を提供しますが、4月23日に発売開始された「Galaxy S6 edge SCV31」も対象となっています。通信方式が3GからLTEに移行し、他キャリアでの運用もやりやすくなったau端末ですが、現実はそう単純ではないことを後半で述べます。

 

ソフトバンクの場合
上記表の通り本稿執筆時点(5月8日)で、ソフトバンクは5月以降発売の機種に対する対応を発表していません。総務省のガイドラインでは「5月1日以降発売の機種では原則解除に応じること」となっているため、新機種が出ていない段階での発表はしないのでしょう。

これまではごく一部の端末(BLADE Q+、301F、201HW、009Z、008Z)に対してのみロック解除を提供していたソフトバンクですが、今後発売される機種に関しては原則ロック解除に応じることが義務付けられます。ドコモと近い通信方式を採用しているソフトバンクとしては、ドコモ、あるいはドコモのネットワークを使用するMVNOにユーザーを奪われる懸念があるのかも知れません。

 

ロック解除だけでは超えられない「周波数帯」の問題
auのSIMロック解除に関するサイトを見ると、「※NTTドコモとソフトバンクモバイル(Y!mobile含む)が使用している通信方式・周波数帯は総務省ホームページをご覧下さい」という表記があります。

このリンクを開くと、「各携帯電話事業者の通信方式・周波数帯」というPDFがあり、以下の表が掲載されています。

 

 

どうでしょうか。各キャリアがLTEで使用している周波数帯を記したものですが、3社で被っているのはバンド1のみです。

そして、auではすでにSIMロック解除対象となっているGalaxy S6 edgeの対応周波数帯について以下の表を掲載しています。

 

 

LTEのバンド1、3、18/26に対応していることがわかりますね(グレーの部分はauとして使用していないバンド)。上の表と照らし合わせると、ドコモやソフトバンクのSIMを挿してもバンド1と3しか使えず、いわゆるプラチナバンドと呼ばれる700〜900MHz帯は一切使えなくなることがわかります。

なおauはWiMAX2+も提供しており、このGalaxy S6 edgeも対応しています。WiMAX2+はTDD LTE互換でバンド41と呼ばれるのですが、この表には記載がありません。WiMAX2+を提供するUQコミュニケーションズはKDDIのグループ会社ではありますが、同バンド帯を利用してのサービスについてはオプション扱いとなっているため、この表での記載がないものだと推測されます。

Galaxy S6 edgeはドコモからも販売されていますが、こちらはどうでしょうか。

 

 

バンド1、3、21、19の4つ。上の表でドコモが使用している周波数帯についてのみ触れられています。海外での使用を考慮してこれ以外のバンドにも対応している可能性もありますが、この表だけではわかりません。

さて、ここで同じ機種の海外モデルを見てみましょう。以下は中国・香港モデルのスペック

 

 

LTEの項目を見ると、FDD LTEだけでも16のバンド、更にTDD LTEの4バンドに対応しています。国内キャリアから販売されるモデルと大きく違いますね。

 

立ちはだかるキャリアの壁
国内ではまだまだキャリアの立場が強く、キャリアに端末を買い取ってもらっているメーカー側としては顧客の要望を聞かざるを得ません。SIMロック解除が義務化されても、「他のキャリアで使いにくい端末」が増えてしまっては、本来の目的であったキャリアと端末の自由な組み合わせも、MVNOの利用促進も絵に描いた餅です。

私達利用者としては、どの端末がどの周波数帯に対応しているのか、きちんと確かめる必要があるでしょう。キャリアはより分かりやすい情報を提供してほしいと思います。

カテゴリー : デジタル・IT タグ :
SIM通の記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP