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第6回 被疑者の一日

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第6回 被疑者の一日

 運動時間の後、取調べ未了の者は、刑事又は検察官による取調べが入る。当初のうちは、刑事による取調べである。担当刑事がやってくると、留置係官から「○○番取調べ」との声がかかり、部屋を出たところで、手錠をされ腰縄を打たれて留置場を出ていき、そこで待ち受けている2名の刑事に引き渡され、取調室へと連れていかれる。このような取調べのない者には長い一日となる。

 留置場を出たすぐ左手に、タバコを入れたボックスが置かれており、そのボックス中の私の番号を書いてあるケースから、もう一人の刑事が私のタバコを取り出し、それを持って取調室に行く。初めてのときは、「よし。タバコが吸えるぞ」と思ったものである。ここで私のケースの確認も必要である。タバコがどの程度残っているかを確認し、残り少ない状況であれば、運動時間に注文をしなければならないからである。

 取調室内では、喫煙が自由で、若い方の刑事にライターを頼めば、いくらでも吸えた。その当時は、外にいるときよりは少ないものの、一日一箱は吸っていたと思う。取調べがない者、つまり起訴された者は、運動時間の2本以外にタバコを吸うことができない。そこで、起訴された者の中には、親しくなった刑事に頼み込んで、実質のない取調べをやってもらってタバコを吸う者もいる。これを「面倒見」という。刑事が被疑者・被告人の面倒を見るということだろう。取調中の喫煙が禁止となった現在は、「面倒見」もなくなったのだろうと思う。

 取調室内に入ると、奥の窓側(鉄格子付)に座らされ、手錠が外される。腰縄はそのままで、椅子に一方の端が括り付けられる。逃亡防止である。机をはさんで向かいには取調べを担当する刑事が座り、若い刑事はその後ろ、時には私の横に控えている。

 午前中の取調べは、大体11時過ぎ遅くとも11時20分ころには終了した。昼食が11時30分からだからである。昔のように、取調室で「かつ丼でも食うか」とはいかない。留置場の部屋に戻っての昼食となる。さて、厳守すべき日限表によれば、昼食は12時とされていると前に書いた。しかし、11時30分である。厳守されていない。

 昼食後、早ければ12時30分ころから取調べ再開となり、手錠腰縄で引かれていき、夕食までの時間は喫煙しながらの取調べとなる。夕食も日限表の定める17時30分ではなく、16時30分からである。
夕食後洗面をし制限時間20分の範囲内で日記を書こうとしていると、再度取調べの呼出しがくる。一日の最後の取調べは、就寝時間の9時よりも前に終了する。原則として、これを超えてはいけない。長引くと、留置係官が「時間です」と呼びにくる。
 起訴されて被告人となり、取調べがなくなるまでの間、私は自分で布団を敷いたことがほとんどない。というのも、8時になると「就寝用意」となり、布団ロッカーから各自布団を運び出すのだが、取調べに呼ばれて不在となっている人の布団は同房者が運ばなければならないからである。

 布団を敷けば、9時を待たずして寝たい人は寝てもよい。もっとも、昼間も寝ている人は多いが。9時少し前になると係官が、本やメガネの回収を開始し、9時ジャストに消灯となる。消灯とはいっても、場所柄完全な消灯となるわけではなく、減灯というのが正しい。
 就寝時間の9時を過ぎると静かになるのかと思いきや、皆さん大体12時ころまでは、ひそひそと話をしている。特段のお咎めはない。取調べのない者や本を読んでしまってすることのない人は、房内が寒いこともあって、日中でも毛布をかぶって寝ていることが多い。だから、到底9時には寝れないのである。これが一日の流れである。

 宮崎北警察署は、宮崎駅から徒歩でも10分ほどの場所にある。寂しい所ではないので、必然的に、外を歩く一般人の声や物音が聞こえてくる。一般社会から隔離され、この時間だとどんなに忙しくとも、自分はどこかの料理屋だとか飲み屋にいるはずだなと、悲しくまた悔しい思いをしながら、そして悪い夢でも見ているのかと思いつつ、寝付かれない毎晩となるのであった。次回からは、留置場生活でのスポット的なことを記そう。(つづく)

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