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小藪千豊 「夢は追ってるだけではカッコイイにはならん」

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 イキる、とは調子に乗る、勢いづく、威張る、偉そうにするなどの意味。吉本新喜劇・座長の小藪千豊は「イキる奴」が嫌いだという。その小藪が国際情報誌・SAPIOで始めた連載コラムが「イキる力」。新連載第一回をお届けしよう。

 * * *
 最近、芸人目指す普通の若者がすごく増えているように感じていて、芸人ながら言うのもおかしいですが、すごく怖い! 京大卒のロザン(お笑いコンビ)の宇治原みたいに賢い奴まで芸人目指すような時代になってると考えたとき、これは「国家転覆罪」に相当するんちゃうかと。はっきり言って国力の低下につながってると思います。
 
 だって、仕事に優劣なしとは言いながら、芸人なんか世の中で要らん仕事ランキングベスト3には入るでしょう。
 
 何も生産せずテレビや舞台の上でアホみたいなことを言うて金もらってる、「ゲスゲスな職業」だということを、世間にもう一度分かってほしい。
 
 それは単に芸人のことをバカにして欲しいということではなくて、家で自分の子供に「こんなんなるなよ」とか、「ちゃんとまともな仕事に就けよ」とか言って欲しいなと。子供が「芸人になる」なんて言ったら勘当するくらいの社会にもう一度戻って欲しい。昔は芸人なんて今よりどこか蔑まれているものだったような気がしますし、それで良かったんです。
 
 だから、最近は「新喜劇に入りたい」とか「芸人になりたい」という子供には「なったらアカン」と言うようにしてる。
 
「おっちゃん今たまたまテレビ出ているけど、20代は地獄のように貧乏やったし、結婚したときも奥さんにお金渡せなくてシクシク泣いてたんや」
 
 と、ちょっと過剰に言って、「なったらアカンよ、社会に役立つ仕事に就くようにしなさい」みたいに言うんです。この前は4歳の息子が「芸人になりたい」と言い出したから、とうとうと同じように言いました。

 当たり前の話やけど、誰かがお米を作ってくれて、それを誰かが運んでくれるから、毎日お米が食えるわけです。
 
 逆に、人が困窮したときに最初にカットされるのがテレビなんかの娯楽の部分であり、衣食住あっての娯楽なはずなのに、いまは価値観が逆転しはじめている。
 
 いまの若い子たちは、芸人にしてもアイドルにしてもプロ野球選手にしても、ごく一部の成功者に憧れて、「夢を追うのはカッコイイ」ってなってる気がする。
 
 けど、ちょっと待ってほしい。夢を追って成功した人は確かにカッコイイかもしれんけど、夢は追ってるだけではカッコイイにはならん。夢を追って、結果貧乏になることはめちゃくちゃカッコ悪いし、ほとんどの人はそのカッコ悪いことになるってことを、誰かがはっきり言わないといけない。僕だって周りにさんざん迷惑かけたし、テレビに出れるようになったのだって、たまたま周りに恵まれて、運が良かっただけですから。
 
 テレビに出るような不安定で生産性のない仕事より、安定してお金がもらえて、何かを生み出して社会に貢献することのすばらしさを唱える大人が増えてほしい。子供たちには、熟練の伝統工芸職人のVTRとか、糖度の高いトマトを作ってる人のVTRとかを観せてほしい。
 
 いま恐れているのは、このままだと孫の孫の孫世代くらいには高校も出ずに芸能界に憧れる若者が日本全体の半分くらいになって、アルバイトばかりで正社員がいなくなり、労働力がなくなって、それで移民が増えてどこ行っても外国人が働いていて日本人が貧乏ってことになるんじゃないかと。これ以上芸人に憧れる若者が増えると、いつか日本は滅びますよ(笑)。

※SAPIO2015年6月号


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