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ASEAN諸国 中国寄りに見えるが諦めることないと櫻井よしこ氏

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 中国はいま、南シナ海での基地建設といった軍事面やAIIB(アジアインフラ投資銀行)をはじめとした金融面などあらゆる分野で、世界の秩序を変えようとしている。巨大な経済力を背景に勢力拡大を狙う隣国に世界各国が翻弄される中、日本はどう対処すべきか。ジャーナリストの櫻井よしこ氏が緊急寄稿した。

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 中国と領土・領海問題を抱えるASEAN諸国は、軒並み中国が金融面で覇権拡大を打ち出してきたのがAIIBへの参加を決めました。

 中国をナチスドイツになぞらえたフィリピンでさえ、「(日米主導の)TPPには加盟しない」「日本はなぜAIIBに参加しないのか」と言い出しています。親日的なASEANの国々が一転して中国寄りになってしまったように見えます。が、東南アジア各国が中国に取り込まれたと諦めることはありません。

 自らの生き残りのためにどちらにも転ぶのが国家というものです。特に経済的に余裕がないASEAN諸国は、時に中国にもいい顔をしなければならないのが現実です。かといって彼らは決して中国に心を許しているわけではありません。

 AIIBは中国だけが突出した影響力を持ち、運営も極めて不透明です。肥大化した中国企業を儲けさせる意図があることも間違いないでしょう。「中国だけが儲かる仕組み」であることが顕在化すれば、各国から不満が噴き出す可能性は十分あります。そうなれば、ASEAN諸国はまた中国から離れていくでしょう。

 日本とアメリカに問われているのは、今後も世界経済の中心に居続けること、「本当にASEAN諸国に役立つのは中国ばかりが儲けるような恣意的で無駄が多い投資ではなく、日米の合理的な手法である」ことを現実の形として示し得るのかということです。

 日本は、アジア開発銀行(ADB)を主導してきましたが、審査・融資決定が遅く、ASEAN諸国からは不満の声が上がっていました。また、財務省と日銀の天下り機関になってしまっていたことも事実です。それではアジアの信頼を取り戻すことはできません。

 反省すべきは反省し、実効性のある組織へと改革して「やはり日本に頼るほうがよい」とアジア諸国が思うような存在になるべきです。

※週刊ポスト2015年5月8・15日号


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