つくりおいたおかずをお弁当に詰めても大丈夫なの!?

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つくりおいたおかずをお弁当に詰めても大丈夫なの!?

 慌ただしい新生活、毎日のご飯づくりが大変だったり、自炊やお弁当づくりを始めた人もそろそろマンネリ化したり、息切れしてくる時期では?そんなときに役立つのがレシピ本です。書店には、多種多様なレシピ本があふれていますが、自分にマッチした、本当に役立つレシピ本にはなかなか出合えなかったりしますよね。

 そんな中、(日常生活での)使い勝手を考え抜いたレシピと調理法で、累計65万部を超える人気を集めているのが、料理家の小田真規子さんが提案する「つくりおきおかずで朝つめるだけ弁当」シリーズです。1週間日もちする「つくりおきおかず」には、毎日のご飯やお弁当づくりをラクにし、保存することでよりおいしくなるメソッドがいっぱい。
 今回は、「つくりおきおかず」の第一人者とも言える、小田さんご本人にご登場いただき、シリーズ最新刊『つくりおきおかずで 朝つめるだけ! 弁当 〜ラク手間!簡単おかず編〜』(扶桑社/刊)について、毎日の料理をおいしく、無理なく作り続けるための秘訣について、語っていただきました。

――『つくりおきおかずで 朝つめるだけ! 弁当』シリーズは、毎日忙しくてご飯やお弁当づくりに時間をかけられなかったりする「読者の立場」に徹底的に寄り添っている点が、色んな料理本の中でも際立っていると感じました。このシリーズがうまれた時代背景を伺いたいのですが。

小田:今回の本はシリーズ4作目なのですが、1作目の『つくりおきおかずで朝つめるだけ!弁当 決定版』が出た2009年頃までは、お弁当の本といえば新生活が始まる4月にしか書店に並ばないものでした。そもそも「つくりおき」という言葉もまだありませんでした。どちらかといえば「常備菜」だとか「お袋の味」といったキーワードのものが多かったですね。
2008年8月に起きたリーマンショックの影響で消費が落ち込み、「節約」がにわかに脚光を浴びたり、共働きの家庭が増えたりと、人の生活パターンやお金の使い方も変わってきました。それとともに「週末に贅沢するために、平日のランチはお弁当に」「毎日作るのは大変だけれど、時間があるときにおかずをつくりおけたらラクになる」というような考え方が生まれた時期でした。
そんな時代背景と、食に対する皆さんの考え方の変化に応える形で生まれたのが「つくりおきおかずで朝つめるだけ弁当シリーズ」なんです。

――このシリーズでは毎回レシピの改良を重ねているそうですが、今作に至るまでどのような変化がありましたか。

小田:1、2冊目は「朝をラクにするため、つくりおきできる色んなおかずを紹介する」というコンセプトで、まずは「1週間日もちさせること」と「時間が経ってもおいしいこと」をクリアしないといけませんでした。つまり、衛生面と味の部分ですね。今でこそつくりおきの本はたくさん出ていますが、当時は、お弁当は朝つくって朝つめるものだったので、安心して食べられるよう、油を多めに使ったりとか、味付けを濃いめにするとか、保存するための「昔ながら」のテクニックを使いました。

つくりおいたおかずをお弁当に詰めても大丈夫なの!?

――「日持ち」ということでいえば、本書のレシピは、どれくらい日持ちするか、おいしさがきちんと保たれているかを検証されたそうですね。

小田:このシリーズで紹介しているレシピは、すべて、作った日と5日後、1週間後、10日後に食べて、味の変化を検証しています。「つくりおき試食日」を作って、スタッフと一緒にいろいろなつくりおき料理を食べるのですが、スタッフの中には調理に参加していない人もいて、そういう人からは先入観のない率直な意見が出てくるので参考になりましたね。作りたてがおいしい料理もあれば、作ってから数日経つと味がなじんで一番おいしい料理もあるのですが、しっかり検証して、大体、1週間おいしく保存できるレシピを提案しました。

――読者の意見も参考にしたのでしょうか?

小田:はじめ、多めの油や調味料に抵抗がある読者もいらっしゃって、「味が濃い」「油が多い」といった意見もいただき、さらなる改良の参考にしました。3冊目は「太らないつくりおきおかず」がテーマだったのですが、調味料の保存性や特徴を勉強し直すことで、徐々に、油や塩分が多くなくても保存性を高められることがわかってきました。たとえば、多めの油で食材の表面をコーティングして酸化しにくくするという「昔ながら」のやり方のほか、代わりに酢を少し入れることで保存性を高めながら味を良くできます。また、醤油などの調味料を多めに使って味つけする代わりに、お肉や魚を柔らかく調理することで、冷蔵庫で保存する過程でほどよく繊維に味が入り、おいしくなることもわかりました。そういった改良を経て、さらに今回の本では「大きく作る」といった工夫もしています。

――「大きく作る」というのはどういうことでしょうか?

小田:お肉も魚も、普通は食べやすいようにあらかじめ小さく切り分けてから調理するのですが、あえて大きいまま調理するということです。このやり方だと、保存中に味が入りすぎて濃くなることもなく、外側は味がしっかりついているけど中は薄味でソフトな味わいになるので、切り方によって味の変化も楽しめるんです。しかも、おいしいだけでなく、作るのもグンとラクになるんですよ。

――おいしく保存できるだけでなく、つくるのがラクというのは、とっても助かりますよね。

4冊目となる今作は、「つくりおき生活を実践したいけれど、時間がない」という、忙しい主婦の切実な声に応えるために「おいしさや保存性はそのままに、いかに手間を省くか」をテーマにレシピを考えました。大きくつくったり、保存容器の中で味を含ませたりといった、一見、手抜きにみえる作り方は、実は日本の割烹や料亭が古くからやってきた手法でもあったんです。日本人が伝統的にやってきた料理の極意のようなものが、調理の手間を省いてラクにつくるためのポイントにつながっていたのは、私にとっても面白い発見でした。

つくりおいたおかずをお弁当に詰めても大丈夫なの!?

(後編につづく)


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