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解説書には書かれていない百人一首に隠された本当のメッセージとは?

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 「百人一首」といえば、一度は学校で行ったことがあるのではないか。最近ではマンガ『ちはやふる』(講談社/刊)のヒットによって競技かるたに注目が集まり、より身近に感じられるようになった。

 鎌倉時代初期の歌人である藤原定家が編纂した百人一首は、100人の歌人から優れた和歌を一首ずつ選んだものだ。定家が京都の小倉山で編纂したことから「小倉百人一首」という名で親しまれている。
 その百人一首だが、一首一首、深く詠んでいくと、普通の解説書には書いていない飛鳥時代から平安時代までの“社会像”が浮かび上がってくると指摘する人物がいる。国史研究家の小名木善行さん、通称“ねずさん”だ。

 『ねずさんの 日本の心で読み解く「百人一首」』(小名木善行/著、彩雲出版/刊)は約500ページ以上にわたって、百人一首を一首ごと解説する一冊。本書では、これまで私たちが知らなかった本当の和歌像と百人一首像が説明されている。

 まず「百人一首」は、100人の歌人と和歌を使って天皇と貴族が統治した約500年間を表現した一首の抒情詩だとねずさんは解釈する。どうしてあの順番に並んでいるのか? 彼らが生きた時代はどんな社会だったのか? 百人一首を読めば読むほど、それが分かるようになるのだ。
 また、和歌の神髄は「本当に伝えたいことをあえて隠し、相手に“察し”てもらう」ところにあるとも述べる。和歌には常に大切なメッセージが隠されていて、読み手は詠み手の真意を察していかなければいけない。表にはあらわれない相手の心を察し合うというこの文化が、「おもてなし」や「思いやり」という日本人の美徳を育んできたことは想像するに難くないだろう。
つまり、「百人一首」には、日本人の美しい文化そのものが表現されているのだ。

 では、ねずさんは本書の中で和歌をどのように説明しているのか? 一首ピックアップしてご紹介しよう。

■四十九番歌:御垣守 衛士のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ(大中臣能宣朝臣)

意味:皇居の諸門を警護する衛士たちの焚くかがり火が一晩中燃え、日中は消えることを繰り返しています。そのことを深く思っています。

 一般的な解説書では、この歌はよく恋愛の歌だと説明されているが、ねずさんはそうは見ていない。
 その鍵は「御垣守」にあるという。「御垣守」とは、諸国から集められ、宮中の各門で寝ずに番をしている衛士たちのことだ。彼らは一日二十四時間絶えず宮中を警護し続けてきた。さて、この「御垣守」だが、彼らは普通の民間人。どうしてそんな人たちが立派に務めを果たしていたのか?
 それは、この仕事が大変な栄誉だったからだ。ねずさんは、衛士は一族の誇りであったと述べ、誰もが胸を張って務めを果たしていたとつづる。暑かろうが寒かろうが、夜にはかがり火を焚き、昼間は消して皇居を守る厳正な警護。しかし彼らは強制徴用ではなく手弁当、つまり自主的に奉仕していた。そう、これは恋愛の歌ではなく、宮中を守っている衛士たちがなぜそこまでの誇りをもって警護するのかを、深く考えなさいという意味の歌なのだ。

 それぞれの歌から見えてくるのは、それぞれの立場における悩みであったり、想いであったりといった、人間そのものの感情だ。ねずさんの洞察は非常に深く、百人一首に込められた本当のメッセージを新たな視点から切り取り、日本に受け継がれる文化の素晴らしさについて教えてくれる。
 日本という国の良さを学べるとともに、百人一首の趣深さにも気づくことができる、日本人必読の一冊だ。
(新刊JP編集部)


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