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「格差社会」に警鐘を鳴らすピケティ氏 「若い世代を優遇する税制」を日本に提唱

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世界中で大ヒットし日本でも14万部発行のベストセラーとなっている「21世紀の資本」。著者でフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏が「資本主義は放っておくと格差社会は拡大する」と説いた本だ。

2015年4月20日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、米国・韓国・中国など世界の「格差社会」の現場を取材、池上彰氏が解説した。
ニューヨークのデモ「会社の利益が労働者に回っていない」

ニューヨークには、トップ1%と呼ばれる人だけが入れる富裕層クラブがある。入会金600万円で年会費180万円。スタバのCEOや有名スポーツ選手などが名を連ねる。

セントラルパークを一望できる高級マンションが34億円で売り出されている一方、そこからほど近いダウンタウンでは、古くから街で親しまれていた飲食店が家賃の高騰で閉店を余儀なくされている。

格差に不満を訴えるデモ隊は、高級住宅街の前で「ヘッジファンドよ、税金払え!」と叫び続けていた。デモ隊の隊長はスーツ姿できちんとした身なりのビジネスマン風の男性だったが、取材者にこう訴えた。

「会社の利益が、労働者に回ってきていない。賃金は上がらないから、消費に回せない。米国は、格差で分断されている」

西海岸のシアトルは、マイクロソフトやアマゾン、スターバックスが本社を構えることでも知られるが、その郊外にはきちんと職があっても家賃を支払えない人々がテント村をつくっている。

米ヒューストンの超高級住宅街に居を構えるゴードン・ベスーンさん(73歳)は、元コンチネンタル航空のCEOだ。総資産は80億円以上で、自宅の広大な敷地内に石油の掘削場まである。米国の格差社会について訊かれると、「スティーブ・ジョブズが何十億稼いでも異論はないですよね。なぜなら、自分で努力して稼いだものだからです」と答えた。
長者番付10位でも「生涯に1日たりとも働いたことがない」

しかし池上彰氏は、雑誌フォーブスが発表した「2015年・世界の長者番付」を示して疑問を示した。1位はマイクロソフト社の共同創業者ビル・ゲイツだが、注目すべきは8位でウォルマート創業者の次男の妻、9位のウォルマート創業者の3男などだ。

彼らは自分が財産を作ったわけではなく、「資産を受け継いだだけ」という人たちだ。ピケティ氏の指摘によると、10位のロレアル創業者の娘は「生涯に1日たりとも働いたことがない」そうだ。

なぜこんなにも格差が広がってしまったのか。池上氏はこの構造を結婚式で見られるシャンパンタワーに例えた。頂点のわずかな富裕層グラスにシャンパン、つまり金が注がれると、あふれた分が中間層そして低所得層に、と金は行きわたっていくはずだった。

ところが、最近では金が儲かれば儲かるほど、頂点の富裕層がシャンパングラスをもっと大きなものに買い替えて、シャンパンを独り占めしている。すると下に流れることがなくなり、「結果的に、資本主義のもとでは富める者はますます富み、そうでない者との格差が開いていく」と説明した。

番組では、韓国、中国でも格差社会の深刻な現状を伝え、日本でもこのような格差が広がり始めていることに警鐘を鳴らす。池上氏は「年収が低い人が増えている」とし、その原因についてこう述べている。

「高齢化もあるが、派遣・パートなど非正規労働者が増えていることが大きな問題です。日本で働く人の約4割は非正規労働者で、20年前の2倍。収入が不安定で新商品を買えず結婚もできないとなれば、経済にとっていいことではない」

ピケティ「資産がなく所得も少ない若い世代を優遇せよ」

この問題について、ピケティ氏は来日した際、「日本もこのままいくと格差が拡大する。米国のようになる前に手を打つべきだ」として次のように提唱した。

「若い世代を優遇する税制に変えた方がいい。特に資産がなく所得も少ない若い世代を優遇しないといけない」

具体的には「資産家への累進課税」だという。お金持ちから税金を取り、例えば若い人への教育費に使うなど「富の再分配をもっとやるべき」というのがピケティ氏の主張だ。

安倍政権にはぜひこの提唱を受け容れてもらいたいものだが、残業ゼロ法案などを見ていると「頂点の人びと」に有利な状況を整えているように見えて不安になる。

その一方で、日本の場合は米国のような大資本家よりも、手厚い社会保障を受けている高齢者との「世代間格差」が問題という指摘もある。ピケティ氏のスローガンに煽られるのではなく、日本特有の問題をきちんと見つめて手を下すことも大事だろう。(ライター:okei)

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