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「命令型のリーダーに、人はついて来ない」。天才指揮者に学ぶ、素晴らしいリーダーの条件

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指揮者というのは、自分の才能だけあっても上手くいきません。奏者の実力を十分に引き出せた指揮者だけが、最高の音楽をつくり出すことができます。それは、ビジネスにおけるリーダーにも同じことが言えるのではないでしょうか。

ここでは、イスラエル出身の世界的な指揮者イタイ・タルガム氏がTED Talksで行ったスピーチをご紹介していきます。

タイプの異なる指揮者5人の例をユーモラスに取り上げ、「リーダーシップの在り方」について語ってくれます。人を率いる立場であるすべての人に、素晴らしい教訓を教えてくれています。

彼のスピーチを簡単にまとめると、

1.人がついて来ない「命令型」
リーダー自身に才能があっても、一人一人を駒のように扱っていては誰もついてこなくなる。

2.やる気が感じられない「放置型」
全く干渉せず、自分からは何も発信しないのでは、ビジョンも共有されず素晴らしい結果は生み出せない。

3.不安で前に進めない「プレッシャー型」
自分で真意を読み取れと無言でプレッシャーをかけるようなリーダーの元では常に不安でいっぱいになる。メンバー同士で確認し合って、そろそろと進むしかなくなる。

4.一体感を生み、実力を引き出す「パートナー型」
上手に褒めて伸ばし、特には威厳を見せることで、特に指示をしなくても、同じ乗り物に乗ったかのように自然と一体になり、よりよい結果が生み出せる。

5.演奏者たちを飛躍させる「信頼型」
一人一人を信頼し、自由にやらせる。そうすることで彼らは自らストーリーを作る側にまわり、最大限の才能を発揮する。

(記事の下部に、TED Talksの実際のスピーチ映像があります。映像を見ながら記事を読むとさらに分かりやすく理解できます。)

指揮者は魔法使いのようです。何もないところから、雑音を音楽に変える。その瞬間はあまりに素晴らしく、僕ってすごい!と舞い上がってしまうほどです(笑)

コンサートがこんなにも素晴らしいのは、ストーリーがあるからです。オーケストラがいて観客がいて、それぞれが個人として存在していて、さらにはホールをつくった人、楽器をつくった人のストーリーまでも同時に感じられる瞬間なのです。それが、みなさんがわざわざ足を運ぶ価値だと思っています。

しかし、それを実現できる指揮者とそうでない指揮者がいるのです。

01.
命令型のリーダーシップ
人はついて来ない

例えば、大御所だった指揮者リッカルド・ムーティ。

彼の指揮はとても権威があり、命令的な感じが伝わってきます。彼は自身のスタイルに関して「モーツァルトに対する責任があるからだ」なんて答えていました。

しかし3年前、彼はスカラ座の全従業員700人連名の手紙を渡され、こう言われました。「あなたは偉大な指揮者ですが、私たちはあなたと働きたくありません。どうか辞任してください。あなたは私たちをパートナーではなく楽器として扱い、音楽をつくらせてはくれません。」

それで彼は辞めざるを得なくなりました。彼はリーダーのあり方を間違えてしまったようですね。

02.
放置型リーダーシップ
やる気を感じられない

次は、指揮者リヒャルト・シュトラウス。彼は、演奏者には干渉せず、自分で生み出させるという考えでした。

演奏中に楽譜をめくりますが、まるでそれは、「これは自分の音楽でも君らの音楽でもない、楽譜の通りにやろう」とでもいう雰囲気です。本来指揮者がその音楽の解釈を行うのでしょうが、彼はそれ自体しようとしませんでした。

彼が30歳くらいの時、「指揮者の10箇条」というのを書いたのですが、その1番目はこうでした。「もしもコンサートの終わる頃に汗だくになるのであれば、その指揮者はやり方を間違えている。」

03.
プレッシャー型リーダーシップ
不安で前に進めない

ドイツの有名な指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンを見てみましょう。彼はずっと目を閉じていますね。そして手の合図も曖昧な感じです。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏者たちもいつ演奏を始めていいか分かっていません。だから、演奏者同士で顔を見合わせたりして、各リーダーが仕方なく演奏をリードするのです。

彼は、こう述べています。 「私がオーケストラに与えうる最大の害は、明確な指示を与えることだ。それはアンサンブルの妨げになってしまう。演奏者が互いの音を聞き合うのは、オーケストラにとって必要なことなのだ。」と。

しかし、これでは真の音楽はカラヤンの頭の中にしかなく、楽団員はいつも彼の心を推し量らなければなりません。彼は無言のプレッシャーをかけてしまっているのです。

04.
パートナー型リーダーシップ
一体感を生み、実力を引き出す

そろそろよい例にうつります。指揮者カルロス・クライバーの映像を見てみましょう(記事下部の映像を参考ください)。明らかに全然違いますよね。

彼はこうしろと指示しているのではありません。音楽に心を委ね、みんなの解釈が広がるようにしているんだと言います。全く新しい方法です。

指示をしなくても上手くいくのは、まるでジェットコースターみたいなものだからです。具体的な指示がなくても、同じ乗り物に乗り、自然と一体になり、演奏を進めていきます。

こうして演奏者と指揮者はパートナーになり、最高の音楽が作り出せるのです。

しかしもちろん、モチベーションやエネルギーをたくさん与えるだけではいけません。プロフェッショナルである必要があります。

彼はミスしたトランペット奏者に向けて、分かりやすく威厳を示しました。「この後ちょっと残って、言うことがあるから。」そんな風なボディランゲージでしたね。威厳は大切なリーダーシップでもあるのです。

そして彼は、演奏中に目で「あぁ、とってもいいね」と褒めているような、賞賛の眼差しを送ります。そういった場の空気をつくり出すのが彼の力なのです。だから演奏者は楽しく、自分の仕事に誇りを持ち、クリエイティブさを発揮することはできます。

そうして、他の指揮者とは全く別のレベルで演奏者全員を上手くコントロールしています。勝つか負けるかではなく、一人一人が自身の演奏をコントロールし、それを指揮者としてまとめあげ、最高の音楽を作り上げているのです。

05.
信頼型リーダーシップ
演奏者たちを飛躍させる

最後に、私の恩師であるレナード・バーンスタインの指揮をご覧いただきましょう。

彼の顔には音楽が見えるでしょう?この苦悩の音楽では辛そうな顔をしています。そして彼の手にはもはや指揮棒はありません。

彼の場合、指揮者と演奏者は逆転しています。演奏者たちがストーリーをつくりあげるのです。とことん、演奏者を信頼しているのです。そして会場全体がそのストーリーに耳を傾けます。バーンスタインがそれを可能としました。とても素晴らしいことです。

最後に友人言葉を借りて、このビデオに最も合うタイトルをつけたいと思います。

「何かを愛しているなら、それを与えなさい。」

ありがとうございました。

Top photo by NEXT Berlin / Reference:TED Talks

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