SNSをついつい見てしまうのはある“恐れ”のせいだった!

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SNSをついつい見てしまうのはある“恐れ”のせいだった!

 「ああ、またやってしまった・・・」。集中して何かに取り組むつもりだったのに、途中で思わずツイッターやフェイスブックを開いてしまい、後悔したことのある人は多いのでは? ついついやってしまう、SNSチェック。そこに潜む仕掛けには、巧妙な“意思決定の科学”が隠されていました。

 『失敗は、「そこ」からはじまる』(フランチェスカ・ジーノ/著、柴田裕之/訳、ダイヤモンド社/刊)は、ハーバード・ビジネススクール准教授にして、経済学・経営学・社会心理学・行動経済学・組織行動学など多彩な研究を行う注目の研究者、フランチェスカ・ジーノ先生による“意思決定の失敗”を解き明かす一冊です。
 
 「キャリアを切り拓くため勉強をしようと決めたのに、先延ばしに…」、「顧客ロイヤリティを高めるための新しいマーケティングは失敗に終わってしまい…」。大企業のCEOから一般人まで、人々は往々にして当初思い描いた計画から脱線し、成功を逃してしまいがちです。本書ではコカ・コーラやサムスン、ディズニーランドなどの例が挙げられていますが、ここでは、より多くの人が身近に接する「SNS」に関係する“意思決定”についてご紹介します。

■ある「恐れ」がSNS中毒を作り上げる
 「チャンスを逃すかもしれない」という恐れ。これが、仕事でも私生活でも、人々の下す決定の多くの原動力になっているといえます。期間限定のお店に長蛇の列を作ったり、クーポン情報のために大量の店のメーリングリストに登録したり…。
 現在では、多くのアプリが新規顧客開拓や常連客サービスのために、簡単なゲームによってオマケを貰えたりポイントを貯めることによって割引が効いたりといったプログラムを提供しています。お客さんがこういったアプリを使う理由は、楽しい機会やサービスを利用しないで「チャンスを逃すのがもったいないから」です。
 現在市場に出回っているソーシャル・ソフトウェアの形態のほとんどが、「チャンスを逃す」のではないかという人々の恐れを煽りもすれば取り除きもします。楽しい催しがあることを知らなければ自宅で読書したりTVを見たりすることで満足しているかもしれないのに、その催しのことを知っているがために、その日が近づくとフェイスブックのアップデートを1つとして見逃すまいと躍起になり、ツイッターでつぶやいてしまうのです。
 そうこうしているうちにまた新しい催しや割引を見つけてしまい、「他のチャンスを逃さないように」とSNSに張り付くはめになる。…そんな経験、心当たりありませんか?

■強力な比較装置・フェイスブック
 さらに、フランチェスカ先生は、「悲しいかな、人は比べずに自分を知ることはできない」といいます。自分たちの自己評価は他者との比較に根ざしている、という事実はそれほど意外ではないかもしれません。
 「私は賢いだろうか?」「私は美しいだろうか?」といった自分に対する問いは、普通、周りの他者のそれと比較することでしか得ることができませんよね。そういった他者と自己との比較は、嫉妬や自尊心への脅威といった、人間関係に響く感情を引き起こします。
 ある会社で行われた「仲間内の投票で最も多く票を得た者が表彰される」という実験では、たとえ賞にふさわしい仲間がいたとしても、人々の心には “仲間が受賞している姿を思い浮かべる”と“嫉妬心”が沸き、“その仲間を推薦する可能性が低くなる”ということがわかりました。
 こうした社会的比較は、人々の心に不快感や嫉妬心といった感情を引き起こします。フェイスブックでは、自分と他人を比べることが容易にできます。友だちの数、いいねの数、他人から受ける評価の違い…。人間は、他者をランク付けしたり、他者が自分をどう評価するかを知ったりしたくてうずうずしています。
 フェイスブックはこの欲望を満たしながら、嫉妬や憎しみといった強い感情を引き起こすことで、私たちの冷静さや計画を乱す可能性を持っていると言えそうです。

 本書では、“意思決定の失敗”によって生じた数々の事件例だけでなく、豊富な心理学実験の結果と、企業で試した結果が重ねて紹介されています。意思決定の指南書、またはケーススタディとして、ビジネスマンから心理について学ぶ学生まで、多くの人に手にとって欲しい一冊です。
(新刊JP編集部)


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