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Album Review: ルーカス・サンターナ 色彩豊かなブラジリアン・サウンドとその魅力が詰まった秀作

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 魑魅魍魎とした音楽の密林。ブラジルの音楽シーンを表現するなら、そんな言葉が似合うのではないだろうか。ボサノヴァやMPBといった洗練されたサウンドが日本では取り上げられる機会も多いが、サンパウロやリオ・デ・ジャネイロを離れて北に向かうと、ディープなフォークロアな世界が横たわり、それらを日々アップデートしていくミュージシャンが蠢いている。

 2000年にソロ・デビューを果たしたバイーア州サルヴァドール出身の鬼才ルーカス・サンターナも、そんな革新的なミュージシャンのひとりといえるだろう。ブラジル屈指の変人であるトン・ゼーと親戚関係にあるということからも、なんとなく想像が付くかもしれない。いずれにせよ、フランスのレーベル、No Formatと新たに契約を交わして制作された通算6作目のオリジナル・アルバム『夜と昼に』は、昨今ユニークな作品を続々と生み出しているブラジルの中でも、かなりレベルの高い作品であることは確かだろう。

 そこには、しっかりとヴォーカルを押し出しながらも、ロックやエレクトロな味付けを施したブラジリアン・サウンドがたっぷり詰まっている。サンバやボサノヴァの要素もあるが、「Mariazinha Morena Clara」などにはノルデスチといわれるブラジル北東部の薫りもたっぷりと含まれているのが特徴。また、ラッパーをフィーチャーしたアッパーなナンバーもあれば、女優のファニー・アルダンがアンニュイに語る声まで聞こえてくる。とにかくめくるめくカラフルなブラジリアン・サウンドが詰まっており、濃厚な味わいに圧倒されるだろう。誰にも代えられない独自の姿勢は孤高の存在ともいえるが、それだけに混血文化の極北であるブラジル音楽の魅力が、よりいっそう伝わる秀作なのだ。

Text: 栗本 斉

◎リリース情報
『夜と昼に』
ルーカス・サンターナ
2015/04/05 RELEASE
3,024円(tax incl.)

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