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旅が氾濫する現世で103ヶ国を旅した竹沢うるまが思うこと[前編]

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TRiPORTライターのKANAです。

今回は「1021日103ヶ国を巡る旅」を終え、数々の写真集や旅行記を出版している写真家の竹沢うるまさんにインタビューしてみました。約3年間、世界中を歩き回り、その時々で感じた心が突き動かされる感覚とは…?

ーまず、旅に出ようと思ったきっかけを教えてください。
18才のときに沖縄に行き、初めて海の中の世界を見たんです。そこには陸とは違う、自分が全く知らなかった世界が広がっていました。当時の沖縄には知らない食べ物などもたくさんあり、自分が生まれ育った環境と全く違う文化や伝統がありました。そこから異文化や異世界で何かを経験していくことに魅力を感じたのがきっかけです。

ー1021日間103ヶ国を巡る旅をまとめた旅行記「The Songlines」の中にある、うるまさんが旅で感じたものについての話が深く心に刺さってきました。一番感動した忘れられないエピソードはありますか?

一つのエピソードだけを切り取ることはできないですね。旅自体が一つの思い出なので、その中にある一つの出来事や経験だけを切り離すことはできないんです。今の時代では何でもランキング形式にして順位をつけたがりますが、自分の経験はそういったものではないし、こっちのほうが良かったとか、比較するものではないと感じています。

「絶景=素晴らしいもの」ではない

ー近頃は世界の絶景などに関心がある人も多くなってきていますが、雄大な自然を目の前にしたとき、何を感じますか?
「雄大な自然=何かを感じる」という固定概念は持っていないんです。「絶景=素晴らしいもの」ではないと思うんです。大切なのは、風景そのものではなく、自分の「心の動き」を感じること。自分にとって印象的な風景に出会えた瞬間は、自分もその場の一部に存在しているかのような感覚になります。迎えられているような感じです。そういった「感覚」を掴むことが大切だと思います。

ーネット上では絶景のまとめ記事などが溢れていますが、実際に経験しなければ感じられないものもありますよね。「心の動き」を感じさせるものとは何だと思いますか?
人との出会いかな。風景は飽きるけど、人との出会いは飽きません。人との出会いの中には文化や考え方、価値観など様々な違いがあり、自分が知らなかった心の存在を知ることができるので、心の振幅を得られやすいと経験を通して思います。実際に帰国して思い返してみても、記憶として蓄積されているのは風景よりも、人との何気ない会話だったりします。
旅に出るためには何かきっかけが必要だと思うので「絶景を見たい」というものでもいいと思います。しかし、その絶景スポットまで行く過程の中で「出会い」がありますよね。困ったときに助けてもらったり、逆に襲われたりするかもしれない。本当はそこに「旅をする意味」があり、それに気が付いて「過程」に視点をシフトできたら、同じ旅でもより立体的に厚みが出ると思います。海外に行きやすくなって、旅が氾濫している中ではそれが欠けているなと。

主観に満ちた旅をすべき

旅は主観であり、客観では捉えられないものです。だからもっと主観に満ちた様々な人の考え方があっていいと感じています。例えばウユニ塩湖に関しても、そこに行ったら「感動しなくてはいけない」という雰囲気みたいなものがある。そこに行った人は皆、どこかで聞いたような感想を口々に言いますよね。でも本当は「その場所でその人は何を感じたか」が知りたい。行った感想を聞くにしても、人それぞれの価値観が表れているほうが楽しいなと思います。
旅はその人そのものです。誰のものでもない。どう語っても自由。世間的に変とされているモノを素晴らしいと言うのも、素晴らしいとされるものをボロカスに言うのも自由です。そのような自由度の高い、人それぞれの旅なら覗いてみたいと思うし、それを感じてみたいなと思う人も増えるような気がしますね。

[竹沢うるま:1977年生まれ。写真家。同志社大学法学部法律学科卒業。ダイビングの専門誌「ダイビングワールド」(マリン企画)のスタッフフォトグラファーを経て、2004年独立。「竹沢うるま」として活動を始める。2010年日本を旅立ち、1021日103ヶ国を巡る旅を終え、2012年12月31日帰国。代表作はその旅の記録をまとめた写真集「Walkabout」(小学館)と旅行記「The Songlines」(小学館)。「うるま」とは沖縄の方言で、珊瑚の島という意味。]

(写真:赤崎えいか)
(取材・文:KANA「HOTな海外オシャレ旅LIFE」「TRAVEL PHOTO集
1か国に1か月ずつ暮らす旅をするトラベルフォトライター。地図片手に世界を歩き回り、ガイドブックには載っていないHOTな場所やその土地で感じたことを記事やブログで発信。)

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