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守られない時間

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 弁護士には弁護士時間というものがある。弁護士は様々な会合に出ることが多い。しかし、きりのいいところまで仕事を片付けてから出かけたいとの思いから、ぎりぎりまで仕事をしており、会合時間に全員が集まるなどということはほとんどない。
 最初は一般常識にしたがって遅くとも開始5分前には到着するようにしていたのだが、まだ誰もいないなんてことはざらだった。大体が10分は過ぎてからの会合開始となる。弁護士時間とは6時からの会合だと6時15分開始ですよという意味である。最初から6時15分開始にすればいいと思うが、そうすると6時30分開始となってしまう。
 弁護士の身内での会合を弁護士時間という概念をもって規律しても何の問題もない。弁護士時間が弁護士の間だけでのみ通じるものであることは弁護士自身がよく理解しており、裁判はもちろん依頼者と会うときなどは、当然時間厳守である。

 裁判官の中にも時間を守らない人が幾人かいた。裁判は午前中は大体10時開廷となる。この10時の指定で複数の事件が入っているので、後の事件は10時15分とかになることもあるがそれは仕方ない。
 関東のとある地方裁判所の裁判官は10時の開廷時間を10分遅れて入廷してくる。しかも毎回である。彼だけの裁判官時間である。3回目あたりに書記官にどうなっているのか不満を述べたが改善なし。偉いさんは後から悠然と登場するという特権意識があるからではないか?東京地裁の裁判官専用エレベーターは10時前になると大混雑となる。私が修習生であったとき、修習担当裁判官は混雑を予想して早目に出ていたがそうあるべきだろう。

 他人の時間を気にしない裁判官もいた。
 知人Aが貸金返還請求の被告となったときのことである。もう一人Bも被告とされていた。私はAの代理人となり、知り合いの弁護士に頼んでBの代理人となってもらった。
 どうみてもこちら側に有利で、こんな訴訟をよく提起したなと思えるような事件だった。案の定第1審は我々の全面勝利で終結した。控訴され東京高裁に係属したが、裁判所を交えた事前打合せで裁判長から和解の打診があったものの、我々が応ずるような事案ではなかったのでお断りした。
 高裁の期日は1回だけだなと思いつつ第1回期日に臨むと、裁判長は和解しろと言う。私は何のための事前協議だったのか、和解はできないと反発したのだが、職権和解勧告だと押し切られた。
 その和解期日、午後2時ころだったような記憶。まずは控訴人(元の原告)が和解室に呼ばれ待つこと30分以上。次に被控訴人Bの代理人が呼ばれて30~40分。私の気性を知っているBの代理人は和解室から出てくるや私に対して「怒っちゃだめだよ。次の期日を決めるんだって」と言ってきた。
 では私は何のために事務所からの往復の時間をかけここで1時間以上も待っていたのか。事前協議の時間もそうだがまったくの無駄である。
 和解室に入ると裁判官が「次回の期日ですが」と言いかけたのを遮って、「どういうことですか?私は時間をかけてきているのです。無理矢理和解と言われ、何もすることなく次回期日というのはおかしくないですか?まずは謝るべきでしょう」と言ってしまった。
 裁判官は謝り、次回の和解期日に私は出席しなくともよいということになった。その後和解は成立せず、高裁も我々の全面勝訴で終結した。

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