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「被告人を死刑に処する」から言渡しが始まった裁判があった?

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「被告人を死刑に処する」から言渡しが始まった裁判があった?

Q.

 裁判所が死刑判決を言い渡すとき、慣例上、「被告人を死刑に処する」との主文の言渡しは後回しにされ、まずは判決文中の理由から読み上げられ、主文は最後に言い渡されています。

 では、平成以降、主文が先に言い渡された例はあるでしょうか?

(1)1度はある
(2)1度もない

A.

正解(1)1度はある

 刑事訴訟規則は、判決にあたっては主文と理由を朗読しなければならないなどと定めています(35条2項)。ただ、この規則は主文を先にとか理由は後にというような朗読の順番まで規定しているものではありませんから、理由から朗読を開始したとしても法令上問題があるわけではありません。

 通常は判決書の記載の順に従って主文、次に理由が朗読されます。しかし、死刑判決については、主文の言渡しは後回しにされて理由から朗読するのが一般的になっています。それは、いきなり「被告人を死刑に処する」との主文が告げられると、被告人が心の平穏を失って、死刑と判断した理由に真摯に耳を傾けることができなくなるからと言われています。理由をきちんと理解することは被告人の上訴のためにも重要なことなのです。

 ところで判決宣告にあたっては、被告人は法廷にいなければならないのが原則です。例外として裁判長から退廷命令を出された場合には、被告人不在のまま判決が言い渡されます。
 大阪池田小学校無差別殺人事件の被告人は、判決宣告前に自分の意見陳述を要求し大声を張り上げるなどの行為をしたため裁判長から退廷命令を受けました。被告人が不在となると、先に説明した心の平穏などということを考慮することなく判決言渡をすることができるため、死刑判決にもかかわらず主文から朗読がなされました。

 ところで、主文が後回しになることが慣例となると、逆に理由から朗読された場合「俺は死刑」だと分かってしまいます。それも心の平穏を害することになります。そこで最近では、無期懲役の場合でも主文後回しという方法が採用されています。被告人にとっては死刑は回避されて無期懲役かもしれないとの望みがあり、心の平穏を保てるとの考えだと思います。やや姑息な方法であると思わないこともないのですが、やむをえないでしょう。

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「被告人を死刑に処する」から言渡しが始まった裁判があった?

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