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フィンランド教育改革に見る「ゆとり教育」の意義

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フィンランドが画期的な教育改革を発表

教育先進国として有名なフィンランドが、画期的な教育改革を発表しました。2020年までに数学、理科などの教科を廃止し、すべて「テーマ」に基づいた授業に切り替えていくというものです。

日本の小学校教科に目を向けてみれば、戦前から存在していた教科は国語、算数、理科、体育でした。社会科は戦後、戦前の国史地理修身を合わせて教科として定められ、家庭科は戦前の家事裁縫が名称と内容を変更してできたものです。さらに、図画工作は戦前の図画と工作が合わさり、生活科は1989年に新たにつくられました。

半分ほどの教科は、戦後に生まれたことになりますが、教科の枠組み自体は戦前とさほど変わっていません。そもそも、教育基本法第一条には、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」とあり、これが学校教育の目標になります。ということは、教科を決めるのであれば、この目標を達成するためと解釈できます。

必要なのはさまざまな教科を横断した知識への理解

そこで問題になるのが、どんな知識や技能を持った人を育てればいいのか、ということです。例えば、読み書きなどの言葉を使う能力が必要だということになれば、それが国語になります。計算をしたりグラフを読んだり図形がわかる必要があるということなら、算数が必要です。

では、環境問題を考える能力はどうでしょうか。環境問題は、地学や生物だけでなく政治経済の知識理解も必要です。どれか一つの教科の知識理解だけでは考えが偏ってしまい、うまく考えることができません。必要なのは、さまざまな教科を横断した知識への理解です。そうした問題を解決するのが、教科の壁を取り払った新たな枠組みです。

日本でも教科の枠を取り払った教育が行われていた

前述したフィンランドの取り組みは、まさに日本でも必要とされている新しい枠組みといえます。実は、日本でも教科の枠を取り払った教育が行われていました。それが、「総合的な学習の時間」です。これは、既存の教科を意識せず、子どもが課題に取り組む時間です。

もちろん、課題解決には各教科で習う知識が必要ですが、どの教科のどの知識技能を使うかは定められていません。だからこそ、使える知識技能は何でも使えます。

「ゆとり教育」へのイメージも変わる?

現在、日本が直面している問題を考えるためには、そうした総合的な思考が必要なのではないでしょうか。教科を全て取り払ってしまうのは少し過激な考えではあるかと思いますが、横断した教育活動を推進していくことは、一考の余地があると考えます。

ちなみに、「総合的な学習の時間」を行うために導入されたのが、既存教科の内容削減、つまり「ゆとり教育」です。今では「ゆとり世代」などと揶揄されることもありますが、一方的な指導を受けるのではなく、「自ら学ぶ」との点で、子どもにとっても教師にとってもより大変な教育です。そう考えれば、「ゆとり教育」へのイメージも変わってくるように思えます。現在、「総合的な学習の時間」は、「ゆとり教育」への批判を受けてなくなっています。個人的には非常に残念な思いです。

(船越 克真/教育カウンセラー)

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