ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

MIYAVI『The Others』インタビュー

DATE:
  • ガジェット通信を≫

昨年LAに拠点を移し、またもや更新された、MIYAVIの新次元。MIYAVIのニューアルバム『The Others』は、プロデューサーにグラミー受賞チームであるドリュー&シャノンを迎え、彼らのホームであるナッシュビルに渡り刺激的なセッションによって作り上げられた。MIYAVIは本作でギターをテレキャスターに持ち替え、専売特許であるスラップ奏法を“必然的に”抑えている。そして、楽曲全体がリズムであり、グルーヴであり、歌であるという境地を開拓した。それでもMIYAVIは“まったくもって満足してないよ”と言う。とめどなく上昇する男の今を、ストレートな言葉で語ってもらった。

 

——また飛躍的な更新を果たしたね。手応えはどうですか?

MIYAVI「アルバム? いや、まだまだ満足してないよ」

——してないんだ。

MIYAVI「うん、天の邪鬼な言い方に聞こえるかもしれないけど、ホントに満足してない。もちろん今のMIYAVIがやれること100%、すべてを詰め込んだアルバムであることに変わりはないんだけど、この作品を通して得たことや学んだことがあまりにデカくって」

——次に向けた目線が上がったからこそ、現時点に満足できない。

MIYAVI「そうだね。もう次しか見てない。あのね、去年はホントに日本に帰ってこようかなと思ってくらい」

——しんどくて?

MIYAVI「そう。苦しくて。キャパシティをオーバーしすぎてたんだろうね」

——制作が?

MIYAVI「いや、もう、すべて」

——生活面でも?

MIYAVI「そう、すべてにおいて。去年、四度目のワールドツアーを終えてLAに拠点を移したんだけど、住むところも娘の学校も決めなきゃいけないし、実際に現地に行くまでの準備と実際に生活を始めたプロセスが慌ただしすぎて。ちょうどそのころはジャム&ルイス(2014年9月にリリースされたシングル「Real?」のプロデューサー)と音源を制作しながら、方や映画(MIYAVIが出演したアンジェリーナ・ジョリー監督『アンブロークン』)のプロモーションでヨーロッパやニューヨークに飛んだりして」

——また映画の内容とMIYAVIの役柄的にも、しっかり公の場で、自分の言葉でこの映画に出る意味を伝えなきゃいけなかっただろうし。

MIYAVI「うん、そうだね。責任が大きかった。それと平行して夏はフジロックで帰国したり、スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルに出たり、とにかくいっぱいいっぱいだった。でも、それを求めたのは実際、俺自身なんだよね。それでもやっぱりキツかった、物理的に。音源制作においても英語のニュアンスとか進行に関して慣れない部分も多かったしね」

 

——このアルバムの制作に入る流れはどういう感じだったんですか?

MIYAVI「各国で開催された映画のプレミア上映が終わったのが去年の12月で。紅白(歌合戦)でSMAPさんとのパフォーマンスのために年末に帰国して。そのタイミングで色々と神社にお詣りできたり、自分なりに映画のことも含めてやっと整理がついたんだよね。で、年始の便でロスに帰って、そのままナッシュビルに飛んでこのアルバムの制作に入った感じかな。そこでやっと自分がミュージシャンとしてクリエイティブなモードにフォーカスできた気がする」

——それこそ「Let Go」なんて自分自身を鼓舞するような曲で。

MIYAVI「うん、そうだね。アルバムの曲は全部そうだけどね」

——ドリュー&シャノンにプロデュースを依頼した経緯は?

MIYAVI「ペダルスティールのギタリスト、ロバード・ランドルフが好きでさ。たまたまアメリカのマネージャーとその話をしてたら、彼が昔マネージメントしてて、俺が好きなロバードの曲をプロデュースしたドリュー&シャノンも紹介しようと思ってたって言うわけ。だったら『是非!』ってなるでしょ。それで去年の8月に3日間だけナッシュビルに行ったの。向こうで初めてセッションして、もう、ぶっ飛んだね」

——どんなところに?

MIYAVI「街自体もそうなんだけど、音楽との距離感が、近い。はい、スタジオをブッキングしました、アンプをセッティングしました、エンジニアが来ましたとか、日本だと当たり前に用意されてるそういう行程はなんもない。飯を食いながら歌詞を書くし、トイレで曲を書くし、だから生活と音楽が完全に隣り合ってるわけ」

——ホントにライフワークとしてある。

MIYAVI「そうそう。要は、ここにペットボトルに入ったお茶があるじゃん。それを飲みたいと思う。その行為自体さえも曲に出来るんだよね。そういう点でも彼らとのセッションは刺激に満ちたものだった。たとえばレストランに入るでしょ。そこにいるウエイターが俺よりはるかに歌がうまいわけ(笑)小さな街にいろんなレコード会社やパブリッシングが密集していて。ミュージックロウっていう音楽ストリートがあって、その端っこにRCAビクターのBスタジオというのがあって。なんてことない建物なんだけど、そこで(エルヴィス・)プレスリーやジョニー・キャッシュがレコードしてたんだよね」

——言ったら、聖地みたいな。

MIYAVI「そうそう。やっぱり先人たちが残した気みたいなものが渦巻いてるわけ。うまく言葉にできないんだけど。そこでまた自分のグルーヴをイチから作っていった感じです。ジョー・グレイザーという世界的にも有名なギターテックがいるんだけど、ジョーにギターを見てもらってる時、部屋に小柄なおばさんが入ってきて。さらに若い青年が入ってきて、その子がギブソンのアコギを持ってたの。俺が『ちょっと貸して』って言ってバーッとスラップするでしょ。そしたらおばちゃんが『それはどうやってるの?』って訊いてきて、『こうやってやるんだよ〜。三味線からヒントを得たジャパニーズスタイルなんだ』なんて言ってたら、ジョーが部屋に入ってきて。おばちゃんについて『彼女は70年代に全米ナンバーワンになって、グラミーも獲ったすごいシンガーなんだよ』って言うわけ」

——うん(笑)。誰よ。

MIYAVI「『へぇ〜』ってなって、名前を訊いたら『ジャニス・イアン』って」

——えええええっ!!!! すげえ話だな。

MIYAVI「で、俺は知らないからさ。『OK,あとでYouTubeでチェックするね〜』とかなんとか言って(笑)」

——ヤバいなあ(笑)。

MIYAVI「そういう感じなの。皆、純粋に音楽を楽しんでるし、音に包まれてる。最初は正直『ナッシュビルまで行かなきゃいけないのか……』って思ってたけど、今は呼ばれたんだなって思ってる。泣いたもんね」

——どういうときに?

MIYAVI「セッション中に。改めて、俺、音楽したいと思った」

——あらためてセッションの流れについて詳しく教えてもらえますか。

MIYAVI「持っていったモチーフをもとにリフを弾いて始めたり、ビートをもらってその上でギターを弾いたり、そこでいいテイクがあったらピックしておいて、そこから固めていく感じ。すごくフランクだよ。そこで作った曲は全部このアルバムに入ってる」

——世界との距離を確実に縮めることができたという実感もあるでしょ?

MIYAVI「いや、グラミー(賞)は遠いなって実感したよね。このアルバムでは獲れない。ただね、前はその距離すらもわかってなかった。なんとなく方向はわかるけど、距離感はまったくわかってなかった。でも、今ははっきり距離感が、見える。と同時にグラミーがゴールじゃないんだよね。もちろんひとつの大きな指標ではあるけど」

——あと、今回はギターをテレキャスターに変えて、ほとんどスラップしてないじゃないですか。これはとても大きな変化だよね。

MIYAVI「そうそう」

——スラップ奏法がMIYAVIの音楽的なアイデンティティであることは間違いないんだけど、今回はそれすらも再構築したんだなって。

MIYAVI「そうだね」

——サウンドがギター云々というよりも、全体がビートでありグルーヴであり歌であるというものになってると思った。

MIYAVI「うん、まずメッセージがあるじゃん。生きる意味、ある種、作り手の人生が映し出されるでしょ。だから、クリエーションの一つひとつに意味があって。楽曲自体がメッセージだから、そのメッセージを伝えるうえでのリズム、グルーヴ、メロディ、ギタープレイ、歌詞があって。その一つがスラップ。曲に呼ばれればやるし、必要でなければやらない。べつにスラップに飽きたわけじゃないんだよ(笑)」

——でも、必要以上にスラップしなくていいと思った。

MIYAVI「そういうことだよね。今までの俺は特にギターに関してはいい音であるという前に、唯一無二のスタイルであることのほうが重要だったわけ。でも、今回の制作でそういう考えはなくなった。このアルバムの曲はライブでもっとおもしろくなると思うよ」

——MIYAVIは作品ごとに新たなフェイズに突入して、作品ごとに生まれ変わってると言ってもいいと思うんだけど。

MIYAVI「そうだね(笑)。ライブハウスで化粧をしてやってたころの自分に今の自分を見せてやりたいね。『おまえ、やれる子だぞ、あきらめるな』って」

——ここからの展開をどう見据えてますか。

MIYAVI「これからも東京とLAをベースに世界中を飛び回ることになるとは思うんだけど、このアルバムの制作でも映画のことでもひとつの作品で人の人生が変わるということがはっきりわかった。自分の音楽でもたくさんの人の人生を後押ししたいって、今ポジティブに思えてますね」

 

撮影 太田好治/photo  Yoshiharu Ota

文 三宅正一/text  Shoichi Miyake(Q2)

 

MIYAVIサイン入りチェキを1名様にプレゼントします。空メールを送信するとプレゼントに応募できます。(←クリック)ご応募お待ちしております。
後日当選された方にはいただいたメールアドレス宛にNeoL編集部よりご連絡させていただきます。

 

MIYAVI

『The Others』

4月15日発売

http://www.amazon.co.jp/【Amazon-co-jp限定】The-Others-初回限定盤-DVD付-Amazon-co-jpオリジナル絵柄ポストカード付/dp/B00UBEPKOQ

 

 

MIYAVI

1981 年生まれ大阪府出身。
ソロアーティスト/ギタリスト。 エレクトリックギターをピックを使わずに全て指で弾くという、独自の“スラップ奏法”でギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに北米・南米・ヨーロッパ・アジア・オーストラリアなど約30カ国250公演以上のライブを行い、今年開催された “SLAP THE WORLD TOUR 2014″ を含む 4 度のワールドツアーをこれまでに成功させている。 2010 年 10 月にアルバム『WHAT’S MY NAME?』、2012年11月には、様々な“サムライ”アーティストとのコラボレーション楽曲を収録した『SAMURAI SESSIONS vol.1』、そして 2013年6月には自身のアーティスト名を冠した世界デビューアルバム『MIYAVI』をリリースし、アジア、ヨーロッパ、北米など世界各国でリリースされワールドツアーと共 に話題を呼んだ。2014 年 9 月には JAM & LEWIS とのタッグによるシングル「Real?」をリリース。 また、UNIQLO/東芝/日産自動車/LOTTE/大塚製薬などへのCM 音楽提供をはじめ、SMAP のシングル「Top Of The World」 (2014 年 7 月リリース)への楽曲提供、そして布袋寅泰/野宮真貴/Good Charlotte といった数多くの作品に参加する など、国内外のアーティスト/クリエイターからも高い評価を受けている。 さらに今年のクリスマスに世界公開予定のアンジェリーナ・ジョリー監督映画「UNBROKEN」では、俳優としてハリウッドデビューも果たした。 常に世界に向けて挑戦を続ける「サムライ・ギタリスト」であり、ワールドワイドに活躍する今後最も期待のおける 日本人アーティストの一人である。

http://myv382tokyo.com

 

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
NeoL/ネオエルの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP