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他国のスパイやその協力者野放しにする日本は異常事態にある

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 多くの日本人が知らぬ間に、嵐のように過ぎ去った一つの事件がある。

 大阪府警外事課は3月2日、中国籍の貿易会社代表取締役の男を逮捕した。容疑は、男が長男の外国人登録を新規申請した際、長男は大阪市都島区に住んでいたのに、東京都江戸川区在住と偽ったという外国人登録法違反容疑である。

 この事件がにわかに注目を集めたのは、大阪府警がこの男を「スパイ活動」に関与していたのではないかと見た“別件逮捕”だったからだ。

〈(男は)諜報部門を傘下に持つ中国人民解放軍総参謀部と定期的に連絡を取っていたことが(3月)20日、捜査関係者への取材で分かった。同時に、軍事転用が可能な技術を持つ機械工業メーカーなど複数の日本企業関係者とも接触していたという〉(産経新聞ウェブ版3月21日配信)

 さらに記事によると、男が卒業した中国の人民解放軍系の学院は、〈スパイ養成学校の性格が強く、外国の軍事情勢を偵察する任務を負う人材を育成していた〉という。男は卒業後、日本に来て大阪外国語大学(現在の大阪大外国語学部)で日本語を学び、10年ほど前から現在の貿易会社の代表取締役を務め、月1~2回の頻度で日中間を往来していたそうだ。

 この記事の背景には、「捜査関係者がこれを国際問題にまで発展する大ネタだと考え、記者に情報を流したようだ」(在阪の主要紙記者)という事情がある。産経の同日記事には、〈警察当局は男の捜査を通じ、諜報活動の暗部に迫りたい考えだ〉とまで書かれている。当局の熱の入りようが伝わってくる。

 ところが、この報道からわずか2日後、事態は一転する。大阪地検がこの男を、処分保留であっさり釈放したのだ。地検は釈放の理由を明らかにしていないが、関係者の見方は一致している。スパイを取り締まる法律がないからだ。

 スパイ活動そのものに関する容疑で逮捕することができない日本では、今回の外国人登録違反容疑のような別件での逮捕でしか、容疑者を拘束できない。その法的限界が、今回も露呈した格好だ。3年前にも在日中国大使館の1等書記官が、警視庁公安部からスパイ活動の容疑をかけられながら法的根拠がなかったため出頭要請を無視して中国へ帰国したことがあったが、何も変わっていない。

 奇遇なことに一方の中国でもこの3月、「スパイ」が話題となった。同国初の空母「遼寧」の写真などの軍事情報を外国人スパイに売り渡したとして、中国人男性2人が6~8年の禁固刑に処されたと報じられたのだ。

 ただしこうした中国のやり方は、世界的に見て全く不当とは言えない。国際社会では、他国への諜報活動を行いながら、他国からの諜報を防ぐ「防諜」に力を入れるのは当然のこと。中国は当たり前のことをしているに過ぎない。むしろ、日本国内で活動する他国のスパイやその協力者を野放しにしている日本こそが、異常なのだ。

※SAPIO2015年5月号


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