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「宇宙の真ん中で突然、目が見えなくなった」。元宇宙飛行士が語る、恐怖を克服する方法

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「恐怖を克服すれば、以前は考えられもしなかったことが可能になる」。

そう語ったのは、宇宙飛行士のクリス・ハドフィールド氏。彼はTED Talksで「恐怖を克服する方法」についてスピーチした。

彼がシャトルに乗ったとき、打ち上げ時に大事故が起こる確率は35分の1だったとか。

その恐怖をどのように克服したのか。さらに、彼が宇宙遊泳中に突然目が見えなくなったとき、なぜ冷静でいられたのか。

実体験に基づき、恐怖を克服する方法を語ってくれているスピーチの内容をざっくりまとめると、

Top Photo by wikipedia

1.挑戦することでしか、夢は叶えられない
シャトルはとても複雑な航空機で、どんな最悪なことが起こるか分からない。それでも恐怖に打ち勝ち、挑戦することでしか夢は実現できない。

2.危険と恐怖は全く別のモノと知ること
片手を命綱に宇宙服だけで遊泳しているとき、突然目が見えなくなった。しかし冷静でいられたのは、恐怖を詳細に分解することで、危険ではないと思えたから。

3.繰り返しの練習で、恐怖は克服できる
恐怖心を克服するには、クモの巣に何度も突っ込むように、最悪な事態を想定した練習をたくさん行うこと。そうすることで、恐怖は乗り越えられる。

4.人間は、意識次第で自分を変えられる
人間には適応する能力があり、自分の認識する力でさえも変えることができる。努力すれば恐怖心を克服し、夢を実現することができるのだ。

挑戦することでしか、夢は叶えられない

皆さんが今までにした、最も怖ろしいこと、最も危険なことは何でしょう?そしてなぜ、そんな事をしたのでしょう?

私が体験した今までに一番危険なことは、宇宙へいくことでした。NASAの計算によると、シャトル打ち上げの時に大惨事が起こる確率は、最初の5回の打ち上げでは9分の1。

私が1995年にシャトルに乗った、74回目の飛行ですら、事故の確率は35分の1から40分の1分くらいでした。

宇宙に出発したら、その日の終わりにはフワフワと優雅に宇宙に浮かんでいるか。それとも死んでいるかの、どちらかなのです。

シャトルというものは、史上最も複雑な航空機です。だから宇宙飛行士の間では、「どんなひどい問題でも、さらに悪化することがあり得る」とまで言われていました(笑)。

シャトルが発射されると、機内全体が本当に激しく揺れます。そしてぐんぐん上に向かって加速していくのです。これは信じがたいほどパワフルな体験です。

そんな中で、シャトルが第一関門、第二関門と問題なく進むうちに、徐々に笑顔がわいてきます。最終的に目指していた高度に着くとエンジンが止まり、無重力状態になりました。

宇宙遊泳中、
突然目が見えなくなった

これは本当に素晴らしい体験だと思います。しかし何故こんなリスクを取るのでしょう?あれほどまで危険なことを、なぜするのか。

これから話していきたいのは、どのように「恐怖」を乗り越えることができるのかについてです。

宇宙では、500トンの建物に住み、地球の周りを1日に16回も周っています。

目の下に広がるのは、開いた口がふさがらないほど幻想的な風景でした。常に変化を見せる美しい「地球」を目にします。日の出や日の入りが45秒毎に起こり、それを半年もの間、経験します。

そして最も壮大な経験は、船の外にでて宇宙遊泳することです。宇宙を見上げるのではなく、地球と共に宇宙空間を漂うという全く新しい視点です。片手で捕まりながらすぐ隣で地球が回転するのを見つめますが、その周りには、何よりも深い暗闇が広がっています。その片手は、まさに命綱なのです。

私は、人生初の宇宙遊泳中に、左目に激痛を感じ、突然視界を奪われました。原因は分からなかったのですが、私は目が2つあることに感謝し、そのまま作業を続けました。でも不運なことに、左目からでてきた涙が、無重力状態のため落下せず、右目に入ってしまい、私は完全に目が見えなくなりました。

宇宙のど真ん中で、何も見えなくなったのです!

危険と恐怖は、全く別のモノと知る

皆さんの最も恐ろしい経験は何ですか?

例えば「クモ」ではないでしょうか?気味が悪いし、毒があるのもいますから、クモを恐れる人がたくさんいるのは当然です。だからクモが落ちてきたら、体が反射的にビクッとしますね。

でもここで、事実をお伝えしましょう。世界にはおよそ5万種のクモが生息し、そのうち毒を持つのは24種だけです。そしてカナダは寒いので、730種のクモしかいません。そのうちの1種だけが毒グモです。しかもその毒で死ぬことはありません。

その上、毒クモの背中には見分けやすいように赤いマークが付いています。しかも、良く目にするようなクモの巣は作らず、地面近くの隅っこに巣をはります。

ですから、クモの巣に突っ込んでも、パニックを起こす必要は全くありません。危険と、恐怖とは全くの別物なのです。恐怖は想像でつくられるもので、危険でないと分かれば恐怖は半減するのです。

繰り返し練習すれば
恐怖は克服できる

さらに恐怖心を取り除くには、繰り返しクモの巣に突っ込むことが大切です。そうして、100回もクモの巣に突っ込み続けると、間違いなく今備わっている根本的な行動や考え方は、変わります。クモの巣を恐れることはなくなり、田舎の家の屋根裏や自宅の地下室に入るのも怖くなくなるはずです。

このテクニックは何にでも使えるんです。宇宙遊泳中に目が見えなくなったら、パニックに陥るかと思います。しかし、我々はあらゆる状況を想定して訓練してきました。宇宙服についても詳しく知り、水中で何千回もトレーニングをします。

そういった準備があるからこそ、目が見えなくなってもパニック反応を起こす代わりに、冷静な判断ができるのです。

遊泳を終えて船内に戻ったあと、目の周りの異物はただの曇り止めだったことが判明しました・・・。(笑)

この話で言いたいことは、危険と感じることと、実際の危険との違いに気が付くべきだということです。

何となく嫌な予感がするという、曖昧な恐怖に怯えていても仕方ありません。恐怖を細分化してあげることが大切です。

そうすれば、恐怖を克服し、以前は考えもしなかったことが可能になるのです。

宇宙で見る景色はまるで夢のようでした。恐怖を克服しなければ見ることのできない、美しさでした。

人間は
自分を変えることができる

 

Photo by NASA

私が9才だったときの不可能に限りなく近い憧れの夢は、恐怖と何回も向き合った結果、実現することができました。

さて、最後に、ギターを弾きたいと思います。

デヴィッド・ボウイの曲は、私たち人間には、適応する能力を持っていて、恐怖に打ち勝つことができることを表現していると思います。

こちらトム少佐より地上管制塔へ
とても遠くまで来てしまった
今最高に変わった姿で漂っている
今日は星がとても違って見える

僕はブリキの缶に入って漂っている
これが最後に見える地球の光景
地球は青く、そしてまだやるべきことに溢れている
恐れるな・・・

どうもありがとうございました。

Top photo by NASA/ Reference:Ted Talks

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