ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

砂をめぐる争奪戦「SAND WAR」。意外と知らない、砂不足が引き起こす深刻な問題とは?

DATE:
  • ガジェット通信を≫

いま世界中で、砂をめぐる争奪戦が起きていることを知っていますか?

①砂は生活に欠くことのできない資源。建築材だけでなく多くの日用品にも使用されている
②世界各地の都市開発により需要が拡大、砂の争奪戦が始まった
③砂の乱採掘は海底にもおよび、それが原因で世界の70%のビーチがすでに失われている

建築資材・洗剤・携帯電話
じつは砂は不可欠な原料

考えもしないでしょうが、砂は人間の生活に大きく関係している貴重な資源なのです。
たとえば、ガラスやコンクリートなどの建築資材として。そして、光ファイバーやパソコン、携帯電話の製造にも。さらには、洗剤にもトイレットペーパーにも、歯磨き粉にさえも使用されている砂。こうやって見ると、私たちのライフスタイルに、砂が深く関わっているかが分かりますよね。

何よりも多く砂を必要とするのは建築資材。コンクリートの主原料となる砂が、大量に必要となるからです。世界各地で進む都市開発の波が、近年その需要を急速に引き上げています。

さらに、シンガポールは砂の需要が最も高い国のひとつといわれています。アジアの金融センターとしての地位を固めつつあるこの国では、過去30年間で人口も2倍に急増。緊急対応策として政府はすでに、2割近くも国土を広げました。

大量の砂で海を埋め立てることによって、人工的な土地を増やしてきたのです。近隣隣国からの砂の輸入に頼らざるを得ないシンガポール。この状況にASEAN(東南アジア諸国連合)は、過度な砂の輸出禁止策を取って対策をしています。

砂は金よりも貴重な天然資源

現在、世界中で採掘される砂の量は150億トンを超えています。シンガポールだけでなく、砂を輸入に頼る国は多く、世界規模での取引が原油や天然ガスと同じように行われています。

不足する砂の利権を巡っての争奪戦は、いまや「SAND WAR(砂の戦争)」と形容され、ビッグマネーが飛び交う市場と化しています。砂は金(GOLD)よりも貴重な資源だと唱える人々もいるほどに。
これに目をつけた、採掘権を持たない違法な砂採掘業者は「サンドマフィア」と呼ばれ、盗掘や密輸を専門に行うブラックマーケットも存在するほどに、逼迫した状況が続いています。

すでに世界の海岸から
70%近くの砂が消えている

なかで説明。砂が移動する。

では、彼らは砂をどこからかき集めてくるのでしょう。山や河川から採取してきた採掘業者たちは、陸上の砂の採取が難しいと判断するや、海砂に白羽の矢を立てました。「何万年もかけて堆積した海底の砂を根こそぎ採ることは、海底の生態系を壊滅させる結果を招く」。動画のなかで地質学者のMichael Wellandは危惧しています。

海砂採取が引き起こす影響はそれだけではありません。砂は風や波、潮の流れを受け、長い時間をかけて移動を繰り返しています。海砂が失われると、残った陸に近い砂が海底へと移動し始め、海のなかへと引き込まれるように砂浜がのみこまれていく現象が実際に起きているのです。

この海砂採取の影響でインドネシアのいくつかの小島が、現に海底へと沈みました。天然資源にまつわる紛争と汚職を監視する団体(Global Witness)の調査では、驚くことに世界の海岸からすでに、70%近い砂が姿を消しているというのです。

食料や水の不足と違って、ライフラインに直結しづらい砂問題。その分、深刻さが掴みづらいのも当然かもしれません。でも、もはや状況は一刻の猶予もない様子。原油や天然ガス、レアメタルなど他の天然資源と、すべて同じ目線で考えた方がよさそうです。

Top photo by Eugenijus Radlinskas/ Reference:WIRED

関連記事リンク(外部サイト)

「教室は橋の下」インドでは1200万人の子どもたちが、学校に通えない現実を知っていますか?
「毎日100頭の象が人間によって殺されていることを知っていますか?」 ドローン技術で密猟から守る「Air Shepherd」 プロジェクト
モルディブ政府が発表した「世界最大の浮島計画」。温暖化による海面上昇に新たな一手。

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
TABI LABOの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP