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旅する壁画ユニット「へキカキカク」はアートのチカラで国境を越える

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創造の面白さを伝えたい!旅する壁画プロジェクト【ヘキカキカク2014 in GUATEMALA】

こんにちは。TRiPORTライターの大善です。

「クリエイティブは国境も言語も超える」
どの国も価値感などは千差万別で、それぞれ魅了されるものがあります。何気ない背景が、新しい感情を湧き立たせてくれ、そこからクリエイティブが生まれてくることもあります。私がグアテマラへ滞在しているとき、岡田杏里さん、長谷部美紅さんが行っている「へキカキカク」というプロジェクトに出会いました。今回は、このプロジェクトのコーディネーターである長谷部さんにお話を伺いました。  

「創造することの面白さ」を伝えたい

―「へキカキカク」というプロジェクトはどういった経緯で始まったのですか?

このプロジェクトは私と岡田がグアテマラでのんびりと散歩しているとき、偶然行き着いた小学校の壁を見て岡田が言った「あそこに壁画が描けたら素敵だな」という何気ない一言から始まりました。 彼女(岡田さん)は、小さいころから絵を描くのが好きで、以前から世界中の様々な土地に自分色の壁画を描いて、現地の住民や旅人たちに「創造することの面白さ」を伝えたいと思っていたんです。そんな中、偶然散歩中に見つけたグアテマラの壁をその第一歩として、彼女は壁画を描く企画の立ち上げを決意しました。 そして私はもともと「世界中の人々がお互いの文化や生活を知るきっかけを作ること」に興味があり、岡田が作りだす絵の雰囲気にすっかり惚れ込んでいたので、彼女の話す夢や想いに強く賛同し、一緒にこの企画を立ち上げることにしました。

―この企画には2人のどういった気持ちが込められているのでしょうか?

「ヘキカキカク」は、私たちが世界を闊歩しながら壁画を描くプロジェクトです。その土地で出会った住人と旅人をアートで繋げ、「創造の面白さ」を共有するきっかけを作りたいと思っています。 人と人が出会えたからこそ生まれるクリエイティブな壁画の制作を通して、世界中の人々に様々な「気づき」を与えることがこの企画のミッションです。 そして旅人と住人の文化交流の機会を作れたら、壁画に秘められたロマンを感じてもらえたら、表現の自由さを実感してもらえたら、1歩踏み出す勇気を与えられたら…という願いも込めています。

何もわからない国で始めた「へキカキカク」

最初は真っ白な何もない壁から始まった。

―知らない土地で始めるにあたって、どういう気持ちで挑まれましたか?

散歩中の何気ない岡田の一言で始まったこのプロジェクト。カタコトのスペイン語、慣れない土地での壁画制作許可の交渉、制作材料集め、制作協力の依頼など、 最初は困難ばかりでした。さらに制作期間も限られていたため、急ピッチでこのプロジェクトの準備を始め、企画立ち上げから3日後、第1弾となる「ヘキカキカク2014 in GUATEMALA」をスタートさせることができました。 始まってからも困難は続き、雨季に差し掛かる季節の変わり目の時期だったので、 天候が心配でした。他にも、手伝いに来てくれる旅人はいるのか、予定通り完成できるのか、土地の住人たちは喜んでくれるのだろうか、「創造の面白さ」を伝えられるのかなど、不安は絶えませんでした。

現地の住民も積極的に参加してくれました。

しかし「今日は何するの?」「私はここが好きなの!」と目を輝かせて話しかけてくる子供たちや、「こういう作業はすごく楽しい!」と喜んで色塗りをする旅人たち、「チョコバナナで休憩しましょう!」と優しくしてくれる土地の住人など、様々な形で関わってくれる人々の笑顔や気遣いに毎日励まされ、次第に当初抱いていた不安が消えていきました。徐々に参加者との距離も近くなり、とても和やかな雰囲気で作業を進めることができました。

―私が手伝いに参加したときはもう完成間近ということもあって、岡田さん・長谷部さんと生徒・先生との距離は、確かに近いように感じました。そのアートの力のすごさに驚いたことを覚えています。完成の日はどのように迎えられたのでしょう?

合計 13日間に及ぶ壁画制作作業では、総勢24人の旅人と、数え切れないほどの現地住人が毎日交代しながら協力してくれました。完成した瞬間は協力していただいた多くの人の顔が浮かび、本当に感謝の気持ちと喜びが込み上げてきました。 制作終了の翌日には、制作場所であった小学校の校長の計らいで、生徒や地域住人を前に壁画を披露する場を設けていただき、多くの人たちに向けて壁画に込めた様々な想いを伝えることができました。 そのほかにも「日本の文化」を伝えるために、小学生に向けた『てるてる坊主作りワークショップ』や「表現の自由さ」を伝えるための『絵描き旅人・おがちゃんの似顔絵の展示』を行い、イベントは大成功で幕を閉じました。

美術の授業がない学校へ、クリエイティブの力を

無機質な壁がカラフルに塗られていく。

―グアテマラでの壁画制作を無事に終え、次の候補地として挙げられたのが、 ネパールのカトマンズですが、なぜこの街で開催することを決めたのでしょうか?

ネパールは多くの旅行者が訪れる魅力がいっぱいの国で、その首都カトマンズにはたくさんの神様が住むと言われています。 しかし一方で近年、人口増加と経済発展が急速に進んでおり、停電・断水や交通渋滞などが頻発してしまい、インフラ整備が追いついていない都市になっています。そしてそれは学校も例外ではなく、太陽の光も電気もない暗い教室で勉強をすることがしばしばあるようです。 また、ネパールの教育方針は詰め込み暗記式。時間割を見てみると、算数や国語などの勉強科目のみが並んでおり、美術や音楽などの時間を設けていない学校がほとんどで、子供たちがアートに触れる時間は少ないそうです。 そこで今回、私たちは「へキカキカク」の場所をネパールのタメル地区の中心にある大きなストゥーパ前の、4〜18歳の生徒が総数1,000人ほど通う学校に決めました。 ここで「ヘキカキカク」を開催し、アートで自分を表現する大人や、暗い学校に描かれた壁画を見て明るい気持ちになってほしいと思いました。

―今は4月16日の完成に向けて日々作業で、コーディネーターとして現地の住民と旅人が交わって作業している姿を見て、どのように感じていますか?

グアテマラのときと同様、毎日多くの人がお手伝いに来てくれました。言語も文化も違うのに、今は同じ空間で同じ作業をしていると思うとなんだか、とても感動できました。これからもこのような企画でその土地の住人と、旅人、そして私たちの作り出すアートという一見交じり合わないような3つが合わさることにより、世界中の人たちに気づきを与えたいという想いを大切にして活動していきたいと思っています。

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[岡田杏里:2013年、東京芸術大学院に進学後、2014年4月から1年間、石橋財団国際交流油画奨学生として中米メキシコ・グアテマラにて小学校やカフェでの壁画制作、個展を開催するなど精力的に滞在制作を行っている。

長谷部美紅:理系大学建設工学修士課程を修了し、ゼロから自分の愛着の湧くものを創造するDIY( Do It Yourself )精神に魅了され、2014年春に世界中のモノづくりを巡る旅を開始。2014年夏、彼女たちは当初一人で中米グアテマラの旅をしているところ、たまたま同じ宿で偶然知り合い、【へキカキカク】プロジェクトが生まれる。2014年のグアテマラでの制作活動を終え、2015年はネパールで制作を始め、今回クラウドファンディングにも挑戦している。]

(ライター:大善)

グアテマラ・ネパールのログブックはこちら

*Haruka Noro「Khushi and Ramly in Nipal

*Ami Matsuzawa「Nepal Tripへの旅

*Aya Murase「Antigua Guatemala

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