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義足のアスリート・女優が語る。逆境にチャンスを見出すために大切な「6つのコト」

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陸上競技のアスリートとして一流であるばかりでなく、モデルや女優としても活躍中のエイミー・マリンズ。彼女には、両脚の膝から下がない。

義足のモデルとしても話題を呼んでいた彼女が、「逆境から生まれるチャンス」と題されたTED Talksのスピーチが大きな話題を呼んでいる。彼女は、逆境にチャンスを見出すために大切な6つのことを語った。(下の写真が、エイミー・マリンズ)

彼女の話をざっくりと6つにまとめると、

1.逆境のときこそ、言葉に気をつける

ネガティブな言葉に触れていると、実際にそうなってしまい、真の力を発揮できなくなってします。ポジティブな言葉に触れることが大切。

2.嫌な経験は、前向きに捉える

嫌なことを嫌なままやっていても、意味がない。前向きに物事を捉えることで、希望が生まれる。

3.逆境は、なくならないもの。だから友達になることが大事

逆境は誰にでも訪れ、避けることができないもの。まるで光の後ろの影のようなもの。逆境と踊るということを意識しましょう。困難に挑戦していくからこそ、道は開かれます。

4.「正常」という考え方を捨てる

「正常」というのは、社会から与えられた間違った思い込みに過ぎない。正常など無視して、自分を信じて努力すれば、逆境は力に変わる。

5.可能性を信じることが、力を引き出す

何もかも無理と諦めてしまえば、何も達成できない。自分や他人の潜在能力を信じることが大切。

6.打ちのめされた心を持たなければ、何度でも立ち上がれる

ダーウィンの言う通り、適応できる人が生き残ることができる。そしえ人は期待されれば、それに応える適応力を誰でも持っている。希望を持って、長所を見出し、好奇心と想像力を持てば、世界だって変えられる。

ここからは、彼女のスピーチを紹介する。

言葉は人を傷つけ、
そして、奮い立たせる

私は数ヶ月前に雑誌の記事を執筆していました。執筆を終えたとき、ふと傍に置いていた類語辞典が目に入りました。そこでふと思い立って「disabled(障害)」という言葉について、引いてみることにしました。

そこには、「無力な」「役に立たない」「体をこわした」「立ち往生した」「傷ついた」「足が不自由な」「手足を切断された」 「健康を害した」「障害を持った」 ・・・

あまりに馬鹿げているので、私は友達に読み上げながら、おかしくなって笑い出してしまいました。でもそのうち、だんだん涙が出てきて、読み終える頃にはすっかりショックを受けてしまっていました。言葉は、人を傷つけるのです。

こんなことが書いてあるのだからさぞかし古い辞典だろうと思って、いつ発行されたかを見てみると、80年代の初期に出版されたものでした。ちょうど私が小学生になった頃です。

小学生の頃は、外に出て、友達と遊ぶようになり、自分について理解をはじめる時期です。当時類語辞典を開かなかったことを、幸運だと思いました。これを見たら「私のような人間に生きていける場所などないのだ」と思ったでしょう。しかし私は、幾多のチャンスや冒険を乗り越えて、今ここに立っています。

気になって最新版のオンライン類語辞典を調べてみると、残念ながら中身はほとんど同じでした。特に対義語とされているふたつの言葉には、違和感を感じます。対義語は「完全な」「健康に良い」と定義されていました。

言葉は先入観を生み出します。古代、ギリシャやローマでは、言葉にしたことは実現すると信じられていました。私たちは、どんな社会を実現していきたいのかを考える必要があります。可能性のない人間を生み出したいのか、それとも力のある人間を生み出したいのか・・・。辞書に載っている定義なんて、一見すると大したことがないように思えるかもしれません。でもこういった言葉が、子どもが真の力を発揮する妨げになってしまうのです。彼らには、チャンスが必要です。そう思いませんか?

人間はいくつもの逆境に
適応してきた

子どもの頃、病院に通っていたときに親切にしてくれた医師のことを、今でも思い出します。彼の名前はピッツティーロ。イタリア系の名前で発音が子どもには難しかったので、みんな「ピー先生」と呼んでいました。ピー先生はいつもカラフルな蝶ネクタイをして、子どもにいつも楽しく前向きに接してました。

病院に行くことは好きでしたが、ひとつだけ嫌だったことがあります。理学療法です。足の筋肉を鍛えるために、いろいろな色の太いゴムバンドを使っていました。わたしはこのゴムバンドが大嫌いで、わずか5歳にして逃げ道を探してピー先生と駆け引きをしたほどです。もちろん上手くいきませんでしたけれど・・・。

ある日、先生が私の理学療法を見にきました。そのとき先生は、こう言ったのです。「わあ、エイミーはとっても強い子だね! ゴムバンドが今にも切れそうだ! エイミー、もし君がこのゴムバンドを切ることができたら、100ドルあげよう」。

これはお金が欲しいという以上のモチベーションを、私に与えてくれました。先生は毎日やらされる嫌な運動を、前向きな希望溢れる経験へと変えてくれたのです。先生は私のことをよく理解してくれて、強い子だと言ってくれました。これが今の私に与えた影響は計り知れません。そして私は今、アスリートになりました。

大人は子どもの力を引き出すことができます。しかしさきほどの類語辞典は、個人が自分の才能を信じる可能性を潰しています。社会はどんどん変化しています。私の足はもちろん、視覚障害者のためのレーザー手術、人工関節などの研究によって、人間本来の力を取り戻すどころか、元の体力の限界を超えることさえ可能になっています。ソーシャルネットワークが登場したことによって、自ら世界に向けて発信することで、世界中の人と繋がりを持つことができます。こうしたテクノロジーは、私たち人間の最大の力は「適応力」だということを教えてくれていると思います。

逆境は影のようなもの

「逆境をどうやって乗り越えたの?」そう聞いてくる人は数え切れないほどいました。しかしそのたび、居心地の悪さを感じていました。「逆境」というのは、ネガティブな言葉です。「逆境を乗り越える」という表現は、悲しいことや辛いことにできれば出会いたくない、というニュアンスがあります。私だけが特別な逆境にいるような言い方です。

しかし逆境とは、誰にとっても生活の一部であるはずです。逆境とは影のようなものです。はっきり現れることもあれば、ほとんど見えないこともある。でも必ず側にある。人生から逆境を消すことはできません。しかしそこに挑戦するからこそ、私たちは変わるのです。

大切なのは、逆境を避けることではなく、逆境とどう出会うかです。子どもが自分の力に自信が持てないとき、それは私たち大人のが原因です。私には足がありません。これは客観的な事実です。しかし私が障害者かどうかということは、主観的な社会の見方にすぎません。私が向き合ってきたたったひとつの障害とは、さきほどのような定義で、私のことを決めつける社会です。

誰かを不完全と見なせば、潜在能力は消えてしまいます。私たちは人の価値をランク付けしてはいけません。病状に囚われずに、可能性に目を向けなくてはならないのです。逆境には、必ずチャンスが眠っています。可能性を信じ時には一緒に踊ることが重要です。その過程で、逆境が役立つものだとわかれば、落ち込むことは何もないのです。

「正常」であるという
考えを捨てる

チャールズ・ダーウィンは、150年前に「種の起源」を執筆しました。彼は人間についてこう言っています。「生き延びるのは、最も強い種ではなく、最も賢い種でもない。最も環境に適応できる種である」。これは人間にも当てはまると思います。葛藤は創造の起源です。人類の繁栄は、葛藤しながらも突き進むその精神によって生まれたものです。私たちが一体何者なのか、それはやってみるまでわかりません。だとしたら、逆境は私たちに、自分が何者か、何ができるのかを教えてくれる存在であり、自分への贈り物です。逆境とは、まだ私たちが順応できていない、そしてこれから適応していく変化なのです。

私たちが作り上げた最大の逆境。それは「正常」という考え方です。正常な人とは、誰のことでしょう? 平均や典型はあっても、正常は存在しません。「正常」という言葉を「可能性」「潜在能力」・・・こうした言葉に変えていくことができれば、多くの子どもたちの力を引き出すことができるでしょう。

可能性を信じることが
力を引き出す

数年前、私は子供時代を過ごしたペンシルバニアの食料品店でトマトを見ていました。夏だったので短パン姿で足を出していたのですが、背後から「エイミー・マリンズじゃないか」と声がしました。驚いて振り返ると、見知らぬ高齢の男性が立っていました。

「すみません、以前にお会いしたことがありましたか?」と言うと、彼はこう言いました。
「無理もないさ。君が生まれるとき、私がお産をしたんだ」。

彼は産科医のキーン先生でした。私は自分が生まれた日のことを母から聞いていました。私は出産予定日より2週間遅れて生まれてきたため、主治医が休暇に出てしまっており、初対面の医師がお産に立ち会ったのです。私は生まれつき腓骨がなく、足は内側に曲がり、指が足に入り込んでしまっていました。初対面の先生は、この重い事実を両親に伝えなくてはならなかったのです。

キーン先生は言いました。
「この子は将来歩くことはできない。他の子供のように動き回るのは無理だ。つきっきりで介護をしなくてはならない。そう両親に伝えなければならなかった。なのに・・・君は僕を、嘘つきにしてくれたね」

キーン先生は、私が新聞に出たとき、必ず切り抜きを取っておいてくれたそうです。小学校のときにスペリング競争で勝ったとき、ガールスカウトで行進したとき、ハロウィンのパレードに出たとき、大学で奨学金を得たとき、スポーツ競技で優勝したとき・・・。先生はこの切り抜きを、大学の授業や研修医の指導に使っていました。人の意思が持つ潜在能力を教えるためです。人の可能性は、予測できません。先生はさらにこう言いました。

「支えがわずかなものだけでも、否定的なことを繰り返し言われなければ、子どもは与えられたものだけで、やってのけるものだ。」

それを聞いて、私は考えました。もしも15歳のとき、義足と本物の足を交換できると言われたら、喜んでそうしたでしょう。でも今はわかりません。私は義足だったからこそ、私の可能性を信じてくれる人と多く出会えたと思っています。

ひとりでいい。誰かが可能性を信じてくれれば、道は開けます。自分で自分の可能性の扉を開くための鍵を手渡すこと。これこそが教育だと思います。「educate(教育する)」という言葉の語源は「educe」で、これは内面にある潜在能力を引き出す、という意味です。さあ、可能性を引き出しましょう。

唯一のハンディキャップは、
打ちのめされた心

60年代、イギリスでこんな研究が行われました。生徒をA、B、C、Dと能力順に4つのクラスに分け、Aクラスには最高のカリキュラムと最高の教師を与えるというものです。しかしコースを始める前に、一番下のDクラスの学生には、こう伝えられました。「君たちはAクラスの学生だ。最高のカリキュラムと最高の教師で授業を受けてもらう」。結果は驚くべきものでした。3ヶ月後には、Dクラスの成績は、Aクラスと同じレベルに到達したのです。

逆にAクラスの生徒は、Dクラスだと伝えられました。結果、多数の中退者を出し、残った生徒もDクラスの成績に落ちてしまいました。この研究の重要な点は、教師も真実を知らなかったことです。本当は生徒が入れ替えられていると知らず、こっちがAクラス、こっちがDクラスとだけ伝えられていました。これが生徒への教え方や、対応の仕方に繋がっていったのです。

ここからわかることがひとつあります。それは、唯一真のハンディキャップと言えるのは、打ちのめされた心だということです。打ちのめされ、希望が持てず、美点が見えず、持っているはずの好奇心と想像力がなくなった状態。もしも希望を持ち、自分と他人に美点を見出し、好奇心と想像力を持つことができれば、私たちは力を発揮できるのです。私たちは、新しいあり方を創り出すことができるのです。

友人が教えてくれた、14世紀のペルシャの詩人、ハフィスの書いた詩を朗読して、締めたいと思います。

「4つの言葉しか知らない神様」
どの子どもも 神様を知っている
悪口の神様ではない 禁止の神様でもない
4つの言葉しか知らない神様だ
神様は繰り返し言う
Come dance with me ― 私と共に踊ろうよ
私と共に踊ろうよ

Reference:TED Talks

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