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公務員が役所の人事案を盗み見した場合は罪に問われますか?

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Q.

 地方公務員である友人が、休日の役所で、上司の机の引出しを開け、中に入っていた、部門職員の異動案を盗み見ました。その一部を他部署の同僚にメールしたところ、その事を人づてで聞いた他の者が内部告発をし、人事部門の耳に入り人事の組み替えが行われたようです。
 そこでご相談なのですが、友人のした事は、公務員の懲戒規定でいう情報漏洩「職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職にする」に該当するのでしょうか?また、刑法の秘密漏示罪として罪に問われるのでしょうか?

(30代:男性)

A.

 まず、刑法の秘密漏洩罪(刑法134条)は、弁護士や医師など、特殊な立場にある人間が職務上知り得た情報をほかの人に漏らすことを処罰対象としています。ここに地方公務員は含まれていませんので、秘密漏洩罪にはあたりません。
 なお、地方公務員法34条においても、刑法における秘密漏洩罪に似た「守秘義務」について定める規定があります。しかしながら、この規定は、例えば「あるゼネコンが工事を落札しやすくするため他社の入札価格をこっそり伝える」ように、公務員の立場を使って、他を利するために職務上知り得た情報を漏洩することを想定しており、今回のような役所内での非行的行為を対象とはしていません。そのため、守秘義務違反ということにはならないように考えます。

 むしろ、ご相談内容のように、盗み見した人事案を漏らしたという非行的行為が公務員の懲戒規定に該当するかどうかが、主たる問題と言えます。
 懲戒については、地方公務員法29条で規定されています。「条例や、地方公共団体の規則、地方公共団体の機関の定める規程などに反した場合」、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合」、「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」を懲戒処分の対象としています。
 ご相談内容で触れられている「公務員の懲戒規定」は、おそらく各自治体で定められた規則ではないかと思われます。「職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員」という規定の仕方を見ると、すでに述べた「守秘義務」を想定しているのかなとも考えられます。そうすると、今回の行為は守秘義務違反と言いづらい面があるため、ご指摘いただいた規則から懲戒処分を受けることは考えづらくなります。
 しかし、規則に当てはまらず、当該規定を根拠に懲戒処分がなかったとしても、人事案を盗み見て友人に伝える行為は、「職務上の義務に違反する(通常、公務員には誠実に職務を全うする義務があるため、人事案の盗み見はこれに反します)行為」、または、「全体の奉仕者としてふさわしくない行為」と判断される可能性は十分にあります。
 そのため、黙っているよりはやってしまったことを報告し、反省している旨をしっかり伝え、なんとか処分を軽くしてもらうようにお願いするのが、「一人の大人として」大切な対応なのではないかと思われます。

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公務員が役所の人事案を盗み見した場合は罪に問われますか?

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