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非正規雇用15万人減、額面通りには受け入れられない現実

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非正規労働者数が15万人減少、正規労働者数は58万人増加

2015年3月27日、総務省は労働力調査の結果として「非正規労働者の数が15万人減少し、正規労働者が58万人増加した」と発表しています。雇用全体は51万人増加しているので、安部首相が言う「雇用は増えている」は、「一応そうだ」ということになるようです。

また、数値上では「非正規から正規へシフトした」とみることもできます。しかし、実際にはどうなのでしょうか。

女性の非正規雇用者数の減少が1万人であるのに対し男性は14万人

非正規労働者に属する労働者は、パートタイマー、アルバイト、派遣労働者、有期雇用労働者など、雇用態様はさまざまです。これらの中には、「正規よりも仕事がみつかる確率が高い」との理由から、正規労働者の職が見つかるまで「非正規業務に就いておこう」という労働者も数多くいます。

一方で、定年退職者は、大手企業を中心に嘱託(俗にいう契約社員など)などで再雇用される場合が多くあります。今回の労働力調査の発表を詳しく見ていくと、アルバイトは25万人、嘱託は11万人減少しています。男女別では、女性は正規が35万人増加し、非正規は1万人の減少にとどまっているのに対し、男性は正規が24万人増加し、非正規は14万人減少しています。

つまり、「非正規労働者15万人減少」とは、「男性の嘱託やアルバイトが減少に転じたことによるもの」とみることができます。

非正規から正規へのシフトには企業の人材不足が

また、非正規労働者減少には、正規と非正規の賃金の差が理由としてあることも否めません。従来は、パート・アルバイトや契約社員といえば、人件費を低く抑えられながらも正社員の仕事を任せられていました。非正規労働者も、正社員の働き口を確保することが困難であったことから、そういった業務をやむを得ず受け入れていました。

しかし、有効求人倍率が1.15倍と上昇するなど現在は状況が異なり、企業の人材確保が困難になり、人手不足が顕著になっています。いざ人材の確保を実現しようと思えば、たとえ非正規でも賃金を上げざるを得なくなり、「であるならば」と正社員を雇用する方向になってきています。

つまり、「企業の人手不足が理由で非正規から正規へ雇用がシフトし、非正規労働者が減少に転じた」と見ることもできます。

ユニクロなどでの限定社員化の動きも正規雇用増加の要因

さらに、ユニクロや東京ディズニーランドといった大手企業などで、人材戦略として非正規労働者を限定正社員化する動きがあります。職種や勤務地を限定した雇用契約のもとで就労するとはいえ、表面的には正社員として捉えられています。つまり、「限定正社員化の動きが非正規労働者の減少に現れている」とみることもできるのです。

建設業や宿泊・飲食業などでは、人手不足であっても応募者に敬遠されて働き手が集まらない状況になっています。円安により製造業などでは仕事が増加しているので、いっそう人材が必要になっています。

また、非正規労働者が減少したのは、2014年1月以降で初めてであり、非正規労働者数が前年実績を下回るのも2012年4~6月期以来となっています。これらを加味すると、今回の非正規労働者の減少は一時的なものかもしれません。今後の動向に注目する必要があります。

(亀岡 亜己雄/社会保険労務士)

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