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チャーミング井上が本で明かした“お笑い賞レース”の裏側

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 テレビやラジオをはじめ様々な媒体で私たちに笑いを届けるお笑い芸人たち。彼らの生活はトークなどの中で垣間見ることができるが、その実態はどのようなものなのか?

 お笑いコンビ・チャーミングの井上二郎さんの『芸人生活』(彩図社/刊)は、自身の芸人活動や私生活、芸人仲間たちのエピソードを漫画で描いた、爆笑あり涙ありのコミックエッセイだ。
 チャーミングをはじめ、バイきんぐ、ロビンフットなどSMA NEET Project所属の面々を中心に芸人たちのリアルな日常が明かされるのだが、その中でも「お笑い」に対して真摯に向き合う彼らの姿は非常に印象的だ。また、家族のことや結婚のことも描かれており、思わず泣かされるシーンも。

 今回、新刊JPは井上さんにインタビューを行い、この本が出版された経緯や、芸人仲間たちのエピソードについてお話を伺った。その後編をお伝えする。
(新刊JP編集部)

■「キングオブコント」「R−1ぐらんぷり」…賞レースの裏側とは

――「キングオブコント」のお話が出てきましたが、『芸人生活』の中には「R−1ぐらんぷり」などの賞レースのエピソードが出てきます。一般的な視聴者は基本的には決勝戦だけをテレビで観るわけですが、一回戦や二回戦を勝ち抜くことも相当難しいのだなと思いました。

井上:一回戦や二回戦は数日間かけて行われることが多いのですが、日によってお客の入りも違うし、審査員もたくさんの芸人を見ているので、疲れているのか(審査員が)寝ている日もあるみたいなんです。これは、ある後輩が「R−1ぐらんぷり」の1回戦を自分が出る日以外すべて見たことがあって、そう言っていました。
あとは順番もかなり影響します。僕らは大声を出すコントが多いのですが、同じような大声を出すコントが前に続いているときついですね。逆にささやく系のコンビが3組くらい続いて、しかもスベったらこれは大チャンスです。確変に入りますよ。
もう20年くらい芸人を続けていると、順番を気にしたり、日にちを気にするのは結構「芸人あるある」系の話ですね。

―― 一回戦や二回戦落ちを繰り返す中で、それでも諦めないのはなぜなのでしょうか。

井上:『芸人生活』の最後のエピソードじゃないですけれど、お笑いが好きなんだと思います。あとはみんな、自分は売れると思っています。自分が一番面白いと思っていますね。もちろん売れないという現実もありますけれど、自分が一番面白くありたいという気持ちを切らしたことはないです。

――本書の巻末ではラリー遠田さんが解説を書かれていらっしゃいますが、どのように受け止めていらっしゃいますか?

井上:興奮しましたね。こんなに肯定的に書いていただいて嬉しいです。漫画の中で自分がお笑いをやっている理由を言っているのですが、本当は「これでいいのかな? (理由は)合っているのかな?」と考えていたんです。ラリーさんはその部分をピックアップしてくれて、芸人生活の究極の目的が明かされるというニュアンスで書かれて、本当に嬉しかったです。

――井上さんがこれまで見てきた中で「すごい!」と思った芸人さんをピックアップしていただければと思うのですが、いかがですか?

井上:ハリウッドザコシショウですね。『芸人生活』の中にもちょくちょく出てくるのですが、お笑いに対する情熱が素晴らしいんです。毎日動画をアップしていますし、昔は単独ライブを4時間やってたんですよ。しかも笑いを取れる。最後の方はお客さんも笑い過ぎてクッタクタになるんです(笑)。最近では(単独ライブが)2時間になりましたけれど、ずっと笑わせっぱなしです。

――芸人としての目標といいますか、憧れている人、目指している人はいらっしゃいますか?

井上:リアクションで笑いが取れる芸人さんを目標にしているので、ダチョウ倶楽部の上島竜兵さんや出川哲朗さんですね。特にと言われると上島さんです。ただ騒いでいるだけのように見えますが、すごくフレーズに気を使っているようにも思えます。あの“分からなさ”はすごいですよね。

■破天荒なエピソードを遺していった父親に本を捧げたい

――この『芸人生活』を誰に捧げたいとお考えですか?

井上:亡くなった父親です。この本の中にも出てくるのですが、すごいエピソードをくれたので…。まずは父に「ありがとう」と言って本を捧げたいです。

――お父様が亡くなった際のエピソードも描かれていますが、まさに笑いあり涙ありというもので、最後はうるっときました。

井上:お葬式のエピソードはそうですね。それだけじゃなくて、破天荒ぶりがすごくて、いろいろやってくれたことに感謝しています。
これは本には書いていないと思うのですが、父が山で掃除をしたあと、ゴミを燃やしていたんですね。それで燃え切るのが遅かったので一度家に戻って休憩をしていたんです。そうしたら火が燃え広がって山火事のようになってしまって、母がびっくりして父を探していたところ、彼は自分の部屋で「ボンバーマン」をやっていたそうです。
こういう奇跡のようなエピソードが何個もあるのですごいなと。もともと、漫画を描き始めたのも父の影響というか、父から漫画を読ませてもらって好きになったという経緯があるので。

――具体的な作品を教えていただけますか?

井上:『Dr.コトー診療所』の作者である山田貴敏先生の初期の作品で『風のマリオ』という漫画なんですけど、とにかく面白くてハマったのが最初ですね。高校の頃には4000冊くらい漫画を所持していて、結構な漫画マニアだったと思います。ただ、そのときすでにダウンタウンさんに憧れて、お笑いの道を志していたので、こういう形で自分の漫画を本にできるとは…という感じです。

――この『芸人生活』が空前の大ヒットとなって、10万部、20万部と売れたら、その印税を何に使いたいですか?

井上:2巻を出すための生活費ですね。やはりお笑いで売れたいので、もちろん漫画は2巻出したいですけれど…お笑いで売れたいです。

――本書を特にどんな人に読んでほしいですか?

井上:芸人には読んでほしいですし、あとはお客さんですね。お笑いが好きな人たちに読んでほしい。要はみんなに読んでほしいです。

――いろいろな芸人さんが登場されますし、好きな芸人さんのエピソードが載っているかもしれませんね。

井上:ああ、そうですね。芸人仲間からは(似顔絵が)結構似ていると言われるんですよ。ハリウッドザコシショウって本当は毛が一本もないんですけど、ハゲ感が薄いので漫画の中では毛をちょっと生やしてあげたんです。それでも似てるって言われて。シショウは「なんであんな毛を生やすねん!」って怒っていましたけど(笑)。

――ちらっとですが、実は日本エレキテル連合も出てくるんですよね。

井上:そうなんですよ。友達なので。(掲載は)本人たちの了承を得ているのですが、僕の漫画を読んでくれているそうです。

――どの部分かはぜひ本の中を探してみてほしいですね。

井上:そうですね。似ていると思いますので。

――では、ファンや読者の皆さんにメッセージをいただければと思います。

井上:まず読んでいただいた方、買っていただいた方には本当に感謝をしています。続きを読みたい方は、ぜひ2巻を出すための援護射撃として口コミしていただければありがたいです。ツイッターもやっていますので、ぜひ感想をください!

(了)

■井上二郎さんプロフィール
1977年、福岡県出身。お笑いコンビ「チャーミング」のツッコミ。コンビのネタ作りは相方の野田航裕が担当。大阪NSC17期生、吉本をはじめ、いくつかの事務所を渡り歩き、現在はSMA所属。2015年には芸歴20周年を迎えたが、一向に売れる気配なし。売れないフラストレーションを漫画にぶつけ始め、Twitterで少しだけ話題になる。(書籍より引用)

■イベント情報
4月9日 『芸人生活』出版記念飲み会開催!
場所:ネイキッドロフト
OPEN 18:30 / START 19:30
詳細は下記URLにて。
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/naked/31864


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