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出産女性が仕事を続けないのは「おじさん管理職」のせい? 根強い「性別役割分業」の意識

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出産女性が仕事を続けないのは「おじさん管理職」のせい? 根強い「性別役割分業」の意識

先進国の中でも「働く女性」の割合が低い日本。その原因は育児支援体制が不十分で「結婚・出産を機に仕事を辞めるから」と考えられてきたが、それだけではないようだ。

NHKのクローズアップ現代は「シリーズ いまを生きる女性たち」として、2015年3月30・31日の2夜連続で、働く女性たちを取り巻く環境や本音を取材していた。
「やりがいある仕事なら続ける」浮動層が6割

シンクタンクの調査によると、女性は自分のキャリアを積極的に考えられないのは、男性優位の社内で「仕事への行き詰まり」を感じたり、「チャンスが与えられない」とモチベーションを下げたりしていることも関係しているという。

NHKが20~50代の男女1500人に行ったネットアンケート調査でも、女性の多くが出産後も仕事をしたいが、「男性社員しか出世できない」「働き続けても先が見えない状態」など、育児をしながらの仕事は希望や展望が持てないという回答が多かった。

日本女子大学教授の大沢真知子さんは、出産後に働く女性でキャリア志向の人が全体の2割、仕事より子育てに生きがいを感じるのが2割だが、残りの6割は状況によって「どちらにも動く」層であるとし、環境づくりの重要性を説く。

「やりがいのある仕事を与えられれば続けるし、大した仕事でなければ辞める。それは本人の意識だけでなく、企業の姿勢も問われます」

調査では「女性が輝く生き方とは?」という質問に、男性からは「家族やパートナーとの生活」という回答が半数近くにのぼったのに対し、女性の大半が「仕事とプライベートの両立」と答えており、男女間のギャップが浮き彫りになった。

男性の回答は、まるで「女性は家族やパートナーのために生きているのが一番幸せ」と思っているかのように見える。しかし女性の側から見れば、犠牲を強要されていると感じるかもしれない。「なぜ男性だけが自分勝手に生きられるのか」と。
一時的な「スローキャリア」の許容は男性にも必要

ただ、男性でも34歳以下を境に、女性の「仕事とプライベートの両立」に理解を示す割合が高まっている。中学生の時に男子も家庭科が必修になり、大学時代には女性の4年制大学進学率が3割を超えている世代だ。大手電機メーカー勤務の藤本慶久さん(34歳)は、

「男女は関係ない。男性がこうあるべき、女性がこうあるべきという型にはめて考えることは、すごく無駄なこと」

と、結婚後は家事も育児も分担して行っている。大学時代には研究室に優秀な女性が沢山いて、就職後も現在の女性上司をはじめ同僚の女性たちが職場の理解や家族の協力を得て、子育てと仕事を両立する姿を見てきた。

そこで自分も、妻をサポートしたいと自然に考えるようになった。淑徳大学教授の野村洋子さんも、「女性が輝く社会」とは、フルタイムで頑張ったり一時期スローキャリアにしたりという選択肢を、男女とも手にする社会であると指摘した。

しかし、中高年の職場の上司はまだまだ固定的な性別役割分業の意識を持つ世代で、それを職場でも押し付けてしまいがちだ。東レ経営研究所・研究部長の渥美由喜さんは、このような意識の中間管理職を「粘土層」と呼び、「いくらレクチャーしてもなかなか浸透しない」と嘆き、この層の意識をどう変えていくかが重要になるとした。

例えば10年後、介護ラッシュが必ずやってくる中で、短時間労働などのスローキャリアが必要なのは女性だけではない。それを踏まえ「少しでも効率の良い働き方を職場で模索すべきです」と渥美さんは断言する。
均等法から30年「女性の選択肢広げたい」

第2夜は「男女雇用機会均等法」制定から30年経ったいま、均等法第一世代のその後を取材していた。ロールモデルのない中で、子育てとの両立に葛藤し、介護で必死になりながら男性並みに働いてきた3人の女性たちが登場した。

彼女たちは、自分が仕事をしたいという気持ちと同様に「少しでも世の中を変えたい」「女性の選択肢を広げたい」という思いで仕事を続けていたという。そのひとり、NTTドコモ・教育事業推進担当部長の伊能美和子さんは、6時以降に会議を設定しないなど働きやすい職場を心掛け、女性の起業支援も始めている。

これから働く女性たちには、ただ「粘土層」の存在のせいにして思考停止するのではなく、少しずつでも世の中は変わって行くことを信じ、変えようと努力してきた人がいることに希望を感じて貰いたい。(ライター:okei)

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