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イメージダウンの「免震ゴム」が持つ本来のチカラ

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地震が発生する前に事件が発覚したのは不幸中の幸い

免震ゴムの性能改ざんのニュースは、姉歯事件以来の建設業界の信用を失墜させる大きな事件となりました。大臣認定を取得した製品に問題が発覚したため、大臣認定制度のあり方が問われることにもなります。そもそも大臣認定は、過剰とも思える悪条件での大実験を通じ、所定の性能が発揮されることを証明しなければ取得できない制度です。認定を取得できても、実験結果から性能の限界が明らかになるため、使用条件などが定められ、その条件の範囲でしか使用できないという側面もあります。

ただ、今回の事件は姉歯事件とは異なり、免震支承(装置)に限定した事件だったことが救いでした。ゴム免震支承は、建物の柱や梁のように建物を永久に支え続ける構造にはなっておらず、定期的に点検を行い、劣化していれば交換が可能な構造になっています。結果的にではありますが、地震が発生する前に事件が発覚したのは、不幸中の幸いといえます。

建物そのものが揺れない構造にできるのは免震構造のみ

免震構造は建物の基礎の上に免震支承を配置し、その上に建物(上部構造部)を建てる構造で、理論上、上部構造部は地面から切り離されています。地震で地面が揺れても建物そのものが揺れない構造にできるのは、免震構造のみです。

一方、耐震構造は直接地震の揺れを建物に伝えてしまい、階数が上階にいくに従って揺れ幅は大きくなります。制震構造は、上階の揺れ幅を抑えることに効果はありますが、地震の揺れそのものを抑制する機能はありません。

免震構造は地震被害を防ぐためには究極の工法

以下は私的な見解ですが、免震構造は地震被害を防ぐためには究極の工法です。東日本大震災における福島第一原発の事故で頻繁に耳にした免震重要棟という言葉も、免震構造の有用性を世間に知らしめる結果になりました。あの時、免震重要棟が地震で被害を受けていれば、福島第一原発は今以上に過酷な状況になっていたはずです。

もう一歩踏み込んでいえば、原子炉建屋全体を免震構造にしていれば、被害はさらに抑えられたのではないでしょうか。原子炉の耐震構造は、40年前の技術で作られた古い構造物です。仮に原子炉建屋が免震構造になっていても、電源が確保できなればメルトダウンの危険は残されますが、原子炉につながる配管の破断は防げたはずです。配管の健全性が担保されていれば、計画通り海水も注入可能だったことを考えれば、汚染水が大量に発生することもなかったはずです。

事件でイメージダウンにつながってしまった「免震ゴム」ですが、以上の通り優位な性能を備えていることに間違いはありません。一般の人々の信頼性を取り戻すためにも、今回、どんな経緯でデータの改ざんが行われたのか、なぜ見抜けなかったのか、関係者一同は包み隠すことなく、真相を究明してもらいたいものです。

(福味 健治/一級建築士)

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